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朝が来る

辻村深月著 朝が来る

あらすじ 

長い不妊治療の末に特別養子縁組で息子を授かった清和と佐都子。朝斗と名付けたその子は幼稚園に通うまでに成長した。そんなある日、二人のもとに一本の電話がかかってきた。その電話の主は意を決したように言う――
「息子を返してほしい」と。

特別養子縁組とは?

特別養子縁組、聞いたことはあったが内容については良く知らない。本の中で触れられているが特別養子縁組とは普通養子縁組とは違い、戸籍上養親の子となり実親と親族関係がなくなる。特別養子縁組が出来るのは6歳未満の子どもに限られる。という風に普通の養子縁組とは内容が違うらしい。

戸籍上養親の子として認められる点で不妊治療等をしても授かることが難しかった方々が養親になることが多いらしい。ということがなんとなくわかる。

感想

この作品は二つの視点から描かれる。一つは佐都子、もう一つは電話の主であるひかりだ。私はいつの間にか佐都子ではなくひかりの視点に立ってこの本を読んでいた。

親を持つ子として、もし「息子を返してほしい」なんて電話がかかってきたら…と思いながら最初は読んでいたはずなのに、気付いたらひかりの視点に居たのだ。

あまり書くとネタバレになるので難しいけれど、ひかりの人生とは何だったのだろうかと思ってしまう。強くて弱くて、けなげでしたたかで。けれど、救いの手はなかなか差し伸べられない。そんな人生。

読後感はいいと思うので、色んな人に薦めたい一冊。過去の自分のような(別にそんなに波乱に富んだ人生送ってないけれど)ひかりに手を差し伸べたくなる本だった。ひかりに手を差し伸べられる私になりたい。



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