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研究内容を話す相手の人口ピラミッド&お金の流れ

佐藤ひろおです。会社を休んで早稲田の大学院生をしています。
三国志の研究を学んでいます。
昨夜、ひとつ記事を書きました。大学院生や学位保持者で、生活費が捻出できないひとが多くいるようです。「どの市場を狙えば、生活費を得られるか」を考えてみた記事です。

研究内容を話す相手の数(人口ピラミッド)と、その内容、おまけにお金の流れについて、見通しを整理してみたいです。

研究内容を話す相手は、人数が少ない順に、
①自分の指導教員(1人)
②同じ&隣接分野の研究者(50人)
③その分野のマニアックなファン(500人)
④その分野のライトなファン(5000人)
⑤その他、潜在的なファン(5万人~500万人)

数字はザックリですけど(分野によって違うでしょう)、てっぺんがものすごく「先細り」した、「富士山の上に立てた東京スカイツリー」みたいな形をイメージして頂ければ、感覚が合ってくると思います。

①たった1人の自分の指導教員には、ゼミで研究成果(情報収集から思考のプロセスまですべて)を伝える。プレゼンとしておもしろくなくても構いません。楽しさより中身です。
②50人はいるであろう研究者=同業者には、学会報告や学術雑誌で説明する。学会報告は、調べたこと・考えたことを全部ぶつける場ではなくて、プレゼンとしてのおもしろさ・完成度が求められ(始め)る。ゼミではないのだから、「ひたすら情報を読み上げて終わり」ではもの足りない、という考え方もあるようです。学術論文は、字数制限が厳格。

お金の流れについて。
指導教員には、お金を払う(大学・大学院の授業料)。
ほかの研究者=同業者には、お金のやりとりが発生しない。プラスマイナス・ゼロの関係です。

多くの大学院生は、研究内容を伝える相手が、以上①②で止まる。
学位を取り査読論文を積み重ねたら、あとは大学の正規雇用の職を求めたり、文部科学省などから予算を獲得するためにがんばる。

①先生には、授業料を支払う。②ほかの研究者=同業者とのあいだでは、金銭の授受が発生しない。成果を伝える範囲をここで止め、絞ってしまったら、金銭的にはマイナスの一辺倒です。学問以外から「輸血」しないといけない。そして正規雇用や予算獲得は、期待値が低いので、茨の道。
収入を得る、べつの経路について考えていきます。

学者には、一般向けに本を書くひとがいます。
ただし、(自費出版ではなく)商業出版ができる学者は、ほんのひと握りです。しかも、継続的に書かせてもらえる確約はなく、生涯でもチャンスの回数が少ない。コケたら次はない。
商業出版のターゲットは、④ライトなファン(5000人)でしょう。ライトなファンの全員に行き渡れば、「ベストセラー」と言って宜しいが、もちろん全員に買ってもらえるわけではない。1000部~3000部でも十分。

著者は、印税というかたちで収入を得られる。

④ライトなファン向けの商業出版は、収入経路として期待値が低い。
他方、⑤潜在的なファン(5万人~500万人)にリーチするひとがいる。ただし学問の内容について発信するのは、多くの場合、学者本人ではない。内容を広く浅くし、エンタメ要素を強くし、「見やすい」コンテンツにする必要があるので、学問とは別のスキルが必要となる。困難。

いちばん儲かるのは、ここなんですけど。youtuberなど。単価が安くても、数量がケタ違いなので。

もちろん、学者が⑤に向けて話すことも素晴らしく、新たなファンの獲得のために、呼び水となるコンテンツを作るのは良いことです。
テレビなどのメディアに出るのは、この普及活動だ。※同業者には後ろ指をさされることが多いですが。

ぼくには、学者が③マニアックなファン(500人)に、ダイレクトにプレゼンするという「市場」が、現状から抜け落ちているのではないか、という見立てがあります。
③マニアなファンには、①指導教員や②学術雑誌と同じ内容を伝えても、分かってもらえないかも知れない。もしくは、かえって喜ばれるかも知れない(いい意味で、変態ですよね)。
かたや、マニアなファンに向けてならば、④ライトなファン向けの商業出版よりは、「好きなこと」「やりたいこと」を伝えられるだろう。⑤大衆を念頭に置き、内容をくじけさせなくてよい。

③マニアックなファンからお金をいただく。このカテゴリ・仕組みは、世に存在感がないが(ぼくが勝手に定義したものなので)、
②同業者へのプレゼンと違って、お金を受け取れる。
④商業出版をするよりは、チャンスの回数と期待値の総額が高く、内容を好きにしても許される。

②と④の中間地点に、ファン人口と市場があるのではないか、と思っています。そこに市場があれば、生活費を得ることが期待できます。まだ妄言の段階ですけど、そういうことができる世の中になればいいなあと思いました、という感じです。すみません。

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