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銀行から、身に覚えのない電話がかかってきた話

佐藤ひろおです。会社を休んで、三国志の研究をしてます。

書こうか書くまいか、迷ってた話なんですけど、書きます(笑)
ただの出来事の報告だったら、書くことじゃないと思うんですけど、youtubeで、関わりのある動画を見たので。

2000ゼロ年代前半のテレビ番組、「トリビアの泉」で、銀行には、窓口対応の演技を競う大会がある、ってのが、youtubeで流れてきました。
ひらたく言うと、茶番なんですよ。同じ銀行の職員同士が、行員とお客さんに扮して、舞台の上で、台本どおりの寸劇を演じるんです。
お客の役回りは、クレーマー、サギ被害者、反社会勢力など。

・2ヵ月前から練習をしてます
・一生懸命、台本を考えてます
みたいな当事者のコメントがあって。役者ではないので、寸劇は、あんまり上手ではないです。滑稽です。

これを、タモリを筆頭としたタレントが、面白がるんです。
あれから、15年ぐらい経っています。いま見ると、タレントたちが、どういう文脈で笑っているのか、いまひとつ読み取れないんですよ。時代が変わったせいですかね。
もはや、歴史資料です。
銀行のような社会的に地位の高いひとたちが、こんな滑稽な努力(すら)していて、経済を安定させている…という、尊敬と羨望が入り交じったネタなんでしょうか。
それとも、ただ、シロウトの寸劇が下手でおもしろい?真面目の代名詞のような銀行員が、慣れないことをしているからおもしろいのか?

笑いというのは、いちいち言語化し、「こういう理由で、笑っていますよ」って説明するとヤボです。おもしろくなくなります。だから、後世において、常識が変遷したあとだと、一気に分からなくなりますね。

文学作品の分析でも、「笑い」系のものが、とくに難しい。
これは間違いないです。

2000ゼロ年代という時代背景からすると、証券会社とか、ある種類の銀行の倒産は終わっていて、金融ビッグバン(死語)は終わっているはず。
黒田バズーカがぶっ放される前であることは、確実。
うーん、ぼくは、このころ、大学生だったのに、もはや、よく分からないですね。銀行が、就職活動ランキングで高かったころのはず。

さて、昔のテレビの感想をダラダラ書きましたが、

ぼくが先月(2021年3月)に体験した話

大学院の授業料を納めるため、銀行に行ったんですよ。ネットでナンボでも振り込める時代に、振込用紙?で、銀行の窓口にいかないと、いけないらしい。ATMでもダメ。

理由は分かりません。常識を軽く超えてくる、予想だにせぬタイプのトラブルを防ぐためなのか。
8万円振り込むため、決済手数料で1000円弱かかりました。

なんやそら、不合理だな、と思いつつも、
「指定の方法で振り込むというルールを理解し、遵守し、関連費用も負担できなければ、授業への出席はお断り」というメッセージが出ていますから、その通りにやってきました。
大学の事務局からしたら、過去のルールとか、惰性かも知れませんが、ルールはルールです。そこは、しゃーないっす。

用紙を窓口に提出すると、番号札を渡されました。
この番号札が、すごく美しいプラスチック製で、その銀行のコーポレートカラーに染め抜かれ、分厚くて、くっきりと印字されているんです。
ほー、特注品で、立派なもんだなと。
美術品とは言えないまでも、工業製品として、こんなに作り込まれた、キレイなもの、あんまり見たことないなと。高級品だなあと。ぼくが子供だったら、これを折り紙とかで作って、ごっこ遊びがしたくなるレベル。

待ち時間があったので、なにげなく見渡すと、駅前の一等地に、大きなビルをでーんと構えて、明治か昭和か分かりませんが、博物館に建っていても恥ずかしくないビルに、
昭和のSF小説に登場しそうな機械が、ずらっと並んで、
なにをしているか分からないひとが、いーっぱい立ったり、座ったり、していて、窓口のなかには、パソコンの前で凝固しているおじさんが、五列、六列にずらっと並んでるんです。パソコンじゃなくて、フリーズしているのが、おじさんですよ。
ここに就職したら、マジ地獄だったな…と思いつつ、
決済手数料が1000円弱するのは、まさに、これを維持するための費用なんだなと思うと、ため息しか出ないっす。

記念のため、美麗なプラスチックにフダを、スマホで撮りました。順番が回ってきたら、返却するものなので。
いちおう、ほかのお客さんとか、もちろん職員さんが映り込まないように、足もとの床に向けてです。顔を撮った、撮らないなどで、肖像権が…、みたいな話はしたくないです。
スマホ時代のリレラシーだろうと。
それにしても、フダは、ちょっとお高い趣味グッズや、フィギュアでも、ここまでの作り込みはなかろうと。すごいな、キレイだなと。
みがき上げられて光沢があり、そういう加工なのか、ひかりが反射して、うまく撮れないので、3回、4回と撮りました。

ぶじに決済が終わって、銀行を出てから、20分ぐらいしたら、知らない電話がかかってきたんです。
へんな投資の勧誘とか、しょっちゅう電話がかかってくるので、ふだんは取らないんですけど、交差点で信号待ちしてたんです。

「佐藤ひろおさんの携帯で宜しいですか。××銀行です。このたびは、ご入学おめでとうございます」っておっしゃるんです。

いやーすごいですね。
いまの時代、振込をした用紙から、支払いの目的を判定して、メンタルのアフターケアとか、祝辞まで述べてくれるのか。なんてこった、それならば、決済手数料を安くしてくれたらいいのに、
と、交差点で立ち尽くしていました。
というのは、半分冗談でして、
銀行から電話ということは、支払いの金額が間違っていた、という以外に考えられないので、ヤバイな、と思っていたら、そうではなくて、

「さきほど、行内で、写真撮影をされていましたか。行内は、写真撮影は禁止となっております。削除をして頂けませんでしょうか」
とのこと。

行内は写真撮影は禁止というのは知らなかったんですけど、禁止といわれてば全然それでいいですし(あちらの建物のなかですからね)、言われたとおりに削除したので、フダの写真は残ってないんですけど、
※ noteなどに書くなら、写真があったほうが絶対によいのですが

ぼくが驚き呆れたのは、警備員や監視役がいっぱい立っているけれど、ぼくが3回、4回と、角度を変えながら撮影をしているときは、その場で注意することはなく、
あとで、監視カメラで確認したんですかね。もしくは、目撃した行員が、上司に「相談」していたんですかね。そして、本当に撮影しているぞ、という事実を確定させた。
ぼくは名札をつけていないので、支払いの順序とかから、どの振込用紙にあたる人物か特定し、記入された電話番号を確認し、
処理を担当したひとか、おそらく年次がいちばん低いひとに、電話をしなさいと指示を出して、
しかし、トラブルにならないように、「入学おめでとうございます」みたいなことも挟んで、説客のテクニックをふるい、数十分後に、電話をくれたんですね。演劇大会でロールプレイして、例文が、マニュアルに織り込まれていたのかな。

いやー、写真を削除することは、ぜんぜんいいですし、銀行内は写真撮影禁止というのは、「知らなかったお前が悪い」と言われたら、ぼくが悪いんですけど(ことの性質上、どっかに掲示してあったのでしょう)、
「フダの秘密」
を守るために、ものすごくコストが掛かりましたね。
それがユーザーに転嫁されてますね。

すでに結果が出始めているように、それほど遠くなく、社会的な役割を終える業態だろうなと思ったのでした。
ネットで振り込ませてくれたら、銀行内の写真は、撮れませんよ。

ブルシット・ジョブは、ぼく自身が(働き手の側として)とても苦しめられたことなので、ちょっと敏感になってしまいます。

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