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井原監督を解任しない(方がいい)10の理由。(後編)

(前編はこちら)

こんにちは。ひろりんです。
前編でのプレゼンいかがでしたでしょうか?井原続投論者の皆さんからは「お前も所詮そっち側かよ」「それ解任論者の消極的続投論の理由じゃねえか」といった厳しい言葉とともに石が飛んできそうですが、慌てないでください。これからです。石は投げないで。顔はやめて。ボディで。
ただ、結局長くなってるじゃん、という批判は甘んじてお受けします。では後編です。

6.財政面
ズバリお金です。わがアビスパ福岡の近年の歴史はまさにこれに泣かされてきたと言っても過言ではありません。財政難による減資→突発的な昇格による人件費の拡大→降格による各収入の減少→債務超過という目も当てられないプロセスを踏んできた(なんか泣けてきた)わがクラブ。もし解任するとなるとその後任を探すことになり、新たな財政支出が発生することになります。運よく後任が見つかり、解任できたとして、当然違約金が発生します。人件費に支出の5割程度をつぎ込むわがクラブなので、その出費は痛い。ただ、責任感の強い井原監督のこと。双方合意のもとの契約解除にして、違約金は発生させない、たぶんさせないと思う、させないんじゃないかな、ま、ちょっと覚悟はしておけ。

7. 統計学的な話
皆さんは「監督解任ブースト」という言葉をご存知でしょうか。J2の歴戦を戦い抜いた猛者である皆さんなら一度とは言わず二度、三度いやもっと聞いたことがあると思います(吐血)。
では実際に「ブースト」は存在するのでしょうか?
これには統計学的に興味深いデータがあります。それは、エールディビジ(オランダ)で20年近く採取されたデータですが、連敗して調子を落としたクラブを比較対照したところ、解任したクラブと解任しなかったクラブと有意差は存在せず、ほぼ数試合内でまた勝ち点を得だした、というショッキングなものです。
つまり、調子が悪い状態が続くのは様々な要因が重なるという例外的な状態であり、いずれ元の状態に戻っていく、ということになり、「ブースト」と思われているのは、単に元の状態に回帰する、ということだったのです。
このことは、「平均値への回帰」という言葉で詳しく説明されていますので、興味のある方は調べてみられてください。
このように、「監督解任ブースト」は存在しない、ということは極々例外を除き、統計学的にも証明されています。まあ平たく言うと解任してもしなくても状況は劇的に変わることはほぼないよ、ってことです。

8. 戦術
解任論者の方の口に上がるのは、だいたい「戦術がない」というものです。本当にそうでしょうか?自分は現代サッカー戦術のトレンドをきちんと押さえていると思います。ただ、皆さんが思っているようなペップ・グアルディオラ的な見た目にもスペクタクルな戦術ではありません。「暗黒の預言者」モウリーニョに近いスタイルです。
それは自らが主導権を握らないスタイル。低く設定されたDFライン。ポゼッションの放棄。そしてロングボールを供給することも厭わないその潔さ。なんと甘美なアンチフットボール的響きでしょう!聞いているだけで耐えられない方もいるかもしれません。しかし、最大限リスクを排除し、相手の弱点を分析、執拗に突く様はまさにモウリーニョを彷彿とさせます。退屈だけれど、大崩れしないサッカー。それこそ正に井原イズムです。
ただ、簡単にやられてしまうこともあります。本家と同じように分析通りに相手が来ないとき、もしくは相手が戦術を放棄したときです。サッカーって難しい。
ここらへんについては、後日詳しく述べていきたいと思いますので、本日はここまで。

9.人材面
上記の点を受けたうえで恐縮ですが、誤解を恐れずに言えば、井原監督はまだ日本トップレベルの監督とは言えないと思います。ただ、次のグループ、セカンドトップぐらいの位置にいると考えられます。まがりなりにも初監督で守備を構築し失点を激減させ、そして少しずつ実を結びつつある攻撃戦術のマイナーチェンジと、監督業を始めて4年目としてはかなりの実績を残しています。ただ、やはり経験がまだ少ないところが露呈し、交代戦術で逡巡してしまう場面を見ることも散見します。
では、いま解任したところで同程度、もしくは上のクラスの監督が来るという保証があるでしょうか?答えは限りなくノーに近い状況だと思います。たぶん一番可能性が高いのは内部昇格です。そうすると、奥野コーチが監督の任に就くことになると思われますが、山形の監督時代を勘案するに、おそらく現状から少し攻撃的な方向にシフトするだけではないでしょうか。
また、外部から連れてくることに成功したとして、日本の監督マーケットは、ほぼ同じような顔ぶれで回っている状況です。これは、「実績」や「失敗の回避」という点では仕方のないことであるし、親会社や責任会社があればリスクマネジメントとして当然のことだと思います。
いまS級保持者で監督経験があり、昇格経験のある人でフリーといえば、小林監督。ただ、以前我がクラブの統括の職に就いていた際のゴタゴタを考えると、招聘は難しいのではないでしょうか。あと、絶対井原監督より守備的。あ、そういや松木安太郎もいたっけ。

10.競争
最後になりましたが、チーム内の競争について。井原監督は結構シビアな人選をします。それは多分ネルシーニョの薫陶を受けたことによるかもしれません。基準に達しない選手は使わない。逆に基準に達していればルーキーでも補強すぐの選手でも使う。ここのところははっきりしています。これにより、人気のある生え抜きが使われないこともあり、一部の方はそれが不満、というのもあると思います。あと、厳格な線引きがチームマネジメント上も控え選手との温度差を作ってしまうのではないか、という批判も時々耳にします。
ただ、厳しい言い方になりますが、選手もプロです。基準に達しない準備しかできない、つまり、監督の要求に応えられないのであれば、試合に出られないのはある意味当然ではないでしょうか。サポーターが監督にプロフェッショナリズムを要求する以上、選手にも要求しないのはある意味不公平です。選手への愛情を監督へのヘイトに転嫁するのは極限すれば贔屓の引き倒しであり、お門違いではないでしょうか。ご覧になっているのは賢明なサポーター諸氏ですので、そういったことはほとんどないとは思いますが。

以上が続投論者としての私のプレゼンです。結局長くなってしまいました。社会人として失格です。大変申し訳ありません。
また、各々方がお持ちの意見は様々でしょうし、自分が述べたものの中で、きっと的を射ていないものもあるでしょう。ただ、今回は議論の俎上に上げられるよう、ちょっと投稿してみました。
もしこのことについてもう少し話してみたい、という奇特な方がおられましたら、是非蜂番会へ。お待ちしています(ダイレクトマーケティング)。

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