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国内洋上風力がようやく始動・・・

2/20の日経新聞に、ようやく日本で大規模な洋上風力発電が始動した、という記事が出ていた。しかしその発電コストは世界標準の3倍もの水準という。そして、気になるのは、その後も大幅には下がらないというコスト。

日本で大規模な洋上風力発電が始動した。丸紅が主導する洋上風力発電所が能代港(秋田県能代市)に続き、秋田港(秋田市)でも1月末から商用運転を始めた。洋上風力は脱炭素に向けた切り札の一つだが、欧州に比べて導入が遅れた日本では2020年時点の発電コストが1キロワット時約30円と世界標準の3倍近い水準だ。政府は35年までに8~9円まで下げる目標を掲げるが、専門人材の不足や日本独自の規制がコスト低減の壁となる。
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ようやく本格始動した日本の洋上風力だが、欧州など先進地からは大きく遅れる。10年前後から洋上風力の建設が拡大した欧州連合(EU)では21年時点で既に1460万キロワットが稼働する。
後発の日本での洋上風力普及に向けた最大の課題は発電コストだ。経済産業省によると、20年時点で新たな洋上風力発電所を建設・運転する場合のコストは1キロワット時当たり約30円、その後も大幅には下がっていないもようだ。

2023/2/20 日経新聞朝刊

どうもこの記事を読んでいると日本においては以下のような点が課題のようである。

①専門的な技術を持つ人材の不足による人件費の高騰
今までやっていないのだから仕方ないか?これから育成していくしかない。となるとやはり人材をもっとシフトさせるべきなのに人材の流動化が乏しい。リストラなどをしにくいのは経済も会社も上向きであればよいが、このように経済が停滞して、技術革新が起きるような変動の多いなかでは色々と弊害があるか。やはり人材流動化が進むような仕組みを国としても整えるべきではないか。

②開発規模が小さいこと
今回、3海域すべてで三菱商事連合が総取りしたが、漁業権などの制限もあって1つの海域での出力は大きくないようだ。結果、三菱商事連合は3海域すべてを取ることでスケールメリットが活かせることを考えていたということが上記の記事には書かれていた。しかしこの総取りが問題になったということが以前にニュースで取り上げられていたが、「22年12月には第2弾として4海域合計で約180万キロワットの事業者の募集が始まった。今回の公募では早期稼働を重視する配点としたほか、複数海域で落札できる上限を100万キロワットに抑える制限が加わった。多くの企業の参画を促す狙いだが、前回の三菱商事連合のような規模のメリットは享受しにくくなる。」ということのようだ。
3海域の総取りには賛否があると思われ、新興企業の敗北なども見てきたが、やはりグローバルに出ていかないと技術力やノウハウなども磨かれていかない。これを考えると開発規模で取れるのであれば取らせて、グローバルに打って出てもらうように、一方で新興企業を育てるような2本立てで進めてはいけないのだろうか。どうも1か0の議論になってしまっていて、もったいない。結果「三菱商事のグループ会社は、昨年11月までに、公募対象の1つである秋田県八峰町・能代市沖での環境アセスメント(影響評価)の中止を決めた。事前の環境アセスは事業者選定で有利に働くとされる。三菱商事は現状では意向を明らかにしていないが、応札を見送る可能性が高い。」とあり、三菱商事は応札を見送ってしまう可能性すら出ている。

③規制の大きさ
本記事に書かれている中で「環境アセスに時間がかかり、調査期間を含めると稼働までに8年程度を要する。欧州などでは4~5年程度とされる。」という点。このような時間がかかっていれば、流石に不確定要素が高くなり、事業化するのは難しい。またコストもかかる。
一刻もはやく規制を取り除くように国が主導をすべきではないのか・・・このようなときにこそ。

日本では海域以外の制約もある。発電事業を実施するための環境アセスに時間がかかり、調査期間を含めると稼働までに8年程度を要する。欧州などでは4~5年程度とされる。開発期間が長ければ、建設コスト上昇などの外部要因の変化も読みにくくなる。「一つの案件に対して複数の規制に対応する必要がある。重複する部分もあって追加で手間がかかっているケースもある」とAOWの岡垣社長は話す。
EUは30年までに現状の約4倍となる6000万キロワット超を導入する目標を20年に掲げた。一方、日本も洋上風力産業ビジョンで30年までに1000万、40年までに3000万~4500万キロワットの導入を目標にする。急ピッチで欧州を追い上げるには人材育成策や制度設計の抜本的な見直しが急務となる。

2023/2/20 日経新聞朝刊

GDP3位すらも危ういなかで
2/19の日経新聞には、「名目GDP、ドイツが肉薄」という記事が。サブの見出しが「日本、世界3位危うく デフレや円安響く」と書いているが、そもそもデフレや円安というところではなく、構造的に生産性が悪い点がこれを招いているのではないか。
エネルギー問題は資源の少ない日本では率先して解決しなければならない上に、洋上風力発電は海に囲まれる日本では必須な技術。その取り組みも新しい時代に即した規制に変えて、もっと生産性を高くし、世界に打って出れるようにしなければいけないのではないだろうか。
そして日本のエネルギー問題も解決していかなければいけないのではないだろうか。

今回のこの記事はいろいろな意味で危機感を感じた。各課題が明確であれば、それに向けて国は動くべきではないか。きっとそこに企業がついていくはず。


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