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炭素予算(カーボンバジェット)

さらにカーボンニュートラルについての知識を深めようと思って、本屋で手にとったのが「脱炭素経営入門」。やはりCOP26の後だったりということもあり、遅まきながらもカーボンニュートラルについての書籍が増えてきた気がする。

まだ読み途中ではあるが、これまで読んでいた本よりも丁寧にその背景などが書かれていたが、まず最初に、そもそも地球温暖化(Global Warming)という言葉はパリ協定では出てきていないようで、気候変動(Climate Change)という言葉で統一されているらしい。あたたかくなる、というようなことを言っている場合ではないということが、このような言葉からも見えてきて、日本と世界のその認識の差が見えてくる。
その日本の気候変動の深刻さに対する認識不足が、私も知らなかったが、環境省のキャンペーンに垣間見れるとある。COOL CHOICEというキャンペーンで、萌えキャラクターが出てくるようで、確かに全くその深刻さが伝わってこない。

気候変動がどのように深刻なのか、その指標が炭素予算(カーボンバジェット)というようだ。CO2の累積排出量と気温上昇の関係を示しており、Webで検索をしていると以下のようなページにわかりやすく書いてある。

ポイントは「累積」排出量であり、CO2をはじめとする温室効果ガスは、一旦放出されると非常に長い期間大気中にとどまるため、出せば出すほど溜まっていくということ。
そして人間社会は2017年度までの累積排出量が2200Gtに達していて1度の気温上昇を引き起こしていて、1.5度度の気温上昇に抑え込もうとすると累積排出量は2600Gtくらいと想定され、つまりはもう400Gtしか残されていないという状況。現在の年間のCO2排出量は約40Gt前後とのことで、このままでは10年で使い切ってしまうという本当に切迫した状況にあるようだ。

この炭素予算を元に、現在非常に厳しい目標をそれぞれ立て始めており、CO2を排出しない代替の手段があるのであれば、それに変えようということでまずは真っ先に電力を火力発電から風力発電や太陽光発電に変えようという動きが世界の主な動きとのことのようだ。だから先の環境省のキャンペーンのような切迫感のない状況ではなく、非常に切迫した状況。さらに高性能な火力発電で発展途上国を支援しようとしていた日本が叩かれたのも、そもそも火力発電で効率的に化石燃料を燃やしたところで、400Gtの枠を使うことに変わりはないという状況とのことであったようだ。

この炭素予算(カーボンバジェット)という言葉を、そしてその根拠となるグラフを見て、あと残りがないということを改めて知り、愕然とした。。。

2021年のノーベル物理学賞に真鍋淑郎さんが選ばれたが、二酸化炭素の温暖化影響を予測する研究も、ここに活かれているのだろう。


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