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ブルーカーボン事業の広がり

ブルーカーボン事業の広がり
以前にテレビでも取り上げられていたブルーカーボン事業が日本全国の港湾で広がりつつあるとの記事が載っていた。日本は海に囲まれていることから陸地で森林を増やすことでのカーボンクレジット獲得は難しい中において、ブルーカーボンが積極的に行われているというニュースは嬉しい。様々な企業が参入しているということもあり、カーボンクレジット獲得にもつながるからであろうか。

海藻などの海洋植物を育て、二酸化炭素(CO2)を吸収させる「ブルーカーボン」事業が全国の港湾に広がりつつある。国内の大手企業が地元関係者と連携し、藻場の整備を進めている。温暖化抑制の効果は世界的に注目を集め、日本も脱炭素への有力な手段に位置づける。国土交通省は全国の港湾で調査に乗り出し、普及につながる制度を検討する。
日本製鉄は2022年秋に北海道増毛町や三重県志摩市など全国6カ所で、漁業協同組合をはじめとした地元関係者と組んで藻場の整備に乗り出した。藻場には鉄鋼を製造する際に副産物として出る鉄鋼スラグを加工した資材(施肥材)を提供する。スラグには海藻の生育に役立つ成分が含まれている。
日鉄はこれまで全国約40カ所で同様の取り組みを実施してきた。18年からの5年間で海藻が吸収した49.5トン分のCO2はカーボンクレジット(削減量)として認められた。国交省も「大手企業の先進的な事例」として評価する。
ENEOSホールディングスも大分、山口両県でウニの食害で減少していた藻場の回復に取り組んでいる。Jパワーや住友商事、商船三井など幅広い業種の大手がブルーカーボンに関連したプロジェクトに参画している。

2023/2/21 日経新聞

ブルーカーボンとは?
ブルーカーボンについては経済産業省のホームページでもまとめられている。そこからの定義を抜粋すると、以下の通りであるが、これを見ているとアマモなどは稚魚の隠れ場や魚の産卵場所としての役割も果たすことができるので、単純に温室効果ガスを減らすという効果のみではなく、水産資源を守るということにも大きな役割を果たすと思われ、一石二鳥の効果があるようにみえる。

1.ブルーカーボンとは
2009年10月に国連環境計画(UNEP)の報告書において、藻場・浅場等の海洋生態系に取り込まれた(captured)炭素が「ブルーカーボン」と命名され、吸収源対策の新しい選択肢として提示。ブルーカーボンを隔離・貯留する海洋生態系として、海草藻場、海藻藻場、湿地・干潟、マングローブ林が挙げられ、これらは「ブルーカーボン生態系」と呼ばれる。

2.ブルーカーボン生態系の特徴
海草(うみくさ)藻場:アマモ、スガモ等、主に温帯~熱帯の静穏な砂浜、干潟の沖合の潮下帯に分布。
海藻(うみも)藻場:コンブ、ワカメ、主に寒帯~沿岸域の潮間帯から水深数十mの岩礁海岸に分布。
湿地・干潟:海岸部に砂や泥が堆積し勾配がゆるやかな潮間帯の地形、水没~干出を繰り返す。
マングローブ林:熱帯、亜熱帯の河川水と海水が混じりあう汽水域で砂~泥質の環境に分布、国内では鹿児島県以南の海岸に分布。

https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_tk6_000069.html

海の積極活用と国際貢献
日本においては、東京都では今後の新築住宅には太陽光発電の設置を義務付けるなど、再生可能エネルギーがカーボンニュートラルに向けた一つのキーになると思われるが、やはり海に囲まれているということを考えると、海上風力発電や、このブルーカーボンなどの組み合わせが大きな効果を生み出すのではないか。
先日に洋上風力発電では色々な規制が絡んでしまい、うまく規模を追求した事業ができないということがあるようだが、このブルーカーボンなども組み合わせたような形でもっと大体的にできないものだろうか。

そしてきっと増加する人口を考えると、より多くの水産資源が消費されるとも思われ、日本発でブルーカーボン事業を世界にも広げ、その水産資源が少しでも飢餓にも役立てるような形にも繋げられないものだろうか。


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