【ゲーム紹介】NEEDY GIRL OVERDOSE
■概要
メーカー:ワイソーシリアス
ジャンル:カレンダー型ADV
プラットフォーム:Steam,Nintendo Switch(10月27発売予定)
発売日:2022年1月21日
価格:1680JPY(2022/07月時点)
・同棲中のメンタル不安定気味な彼女を動画配信者として30日間育成するゲーム。カレンダーを基本進行としてパラメータ調整によってイベントが発生するADV。ときメモやペルソナ3以降などを想像するとわかりやすい。
■全体評価
・10点満点中7点。1周プレイする時間は初回で2~3時間程度、2周目以降は何日目からやり直すか選択できる他スキップなどを使えば1時間程度で回せると思うが、面倒になってくる。どこまでが「メンヘラ彼女の相手をする」というテーマの問題でどこからがゲームデザインやUI上の問題かの線引きが難しい(笑
■ストーリー
・同棲中の彼女である「あめちゃん」が動画配信者になる!と言い出し、30日間やってみよう?と言われる。彼女は「超てんちゃん」という名前で動画配信の世界に足を踏み入れ、プレイヤーは彼氏兼彼女のマネジメントを始めるのだった…という導入。
・あめちゃんは美少女の設定らしく、ライブ配信中は「顔が良い」「顔は良いけど話がつまらない」「病んで滅茶苦茶な配信してるのに相変わらず顔だけは良くて逆に悲しい」といったコメントが執拗に表示される。
・パラメータ調整や配信の選択によってマルチエンドを迎えるという内容。
■サウンド
・Aiobahnさんという方が担当。チップチューンを基調としたクラブサウンドで、場面場面によってBPMが上下する、ローファイになる、音程含め色々サイケなノイズミュージックになる等の仕掛けが多く飽きさせない工夫を感じるサウンドが秀逸。
・全体的にどれも作品世界を端的に表現しており素晴らしい内容だと思った。ピアノやオルゴールメインの曲などもあるのだが、個人的にはドット絵系のイラストなのでもっとチップチューンに振り切っても良かったのでは?と思ったり。
・ゲーム自体のボリュームが短めなので曲数は多い方ではないと思った。
■映像
・シナリオライターのにゃるら氏へのインタビューにも書いてあるように、WindowsがXPなどのNT系に進化せず現代まで続いていたら…という90年代レトロ感のあるGUI OSをメイン画面としてゲームが進む。パッドコントローラは必要なく、マウスだけで遊べる。
・ドット絵風に描かれたヒロインであるあめちゃん/超てんちゃんは可愛らしくまたよく動く。基本的に彼女以外の人間キャラクターは一切出てこない。
・文字フォントなどもドット風でありこれまた90年代レトロ感がよく表現されている。
・後述するが、あめちゃんのメンタルが不安定になった時の映像演出なども目新しくはないがゾクッとする感じがあって良いなと思った。
■システム
◆ゲーム進行
・前述のようにカレンダー型ADV。昼、夕方、夜で行動を選択し、フォロワー数、ストレス、好感度、やみ度(闇か病みかは不明)という4つのパラメータを調整しながら30日間を過ごす。動画配信が可能なのは夜だけ。
・動画配信の他にはネットを見て配信ネタを探すとか、デートでどこかに出かけるとか、家でイチャついてご機嫌を取ったり等でパラメータ調整をする。向精神薬や違法っぽい薬物の類を摂取するというコマンドもある。
・隠しも含めると23種類のEDが用意されているらしく、○日目までにフォロワー数○人とか、好感度が○以上といった感じで分岐するようだ。
◆あめちゃんとの連絡
・ひっきりなしにあめちゃんからLINEが来る。(※作中ではJINE)
基本的にはこれがストーリーラインで、「企業案件が来たよ!」等の連絡はすべてJINEで行われる。
・返信は基本的にはスタンプで行い、「OK」とか「ごめん」といった相槌を打つことになる。が、たまに選択型のやり取りもある。
・「一生一緒にいてくれる?」「もう嫌だ消えたい…」「煉炭買いに行こう?」等のパワーメッセージに対して「大丈夫だよ」「好きだよ」「死ねば?」といった究極の選択を迫られる場面も。
・これがこの作品の最大の賛否両論点だと個人的に思っているのだが、これらのメッセージを5回未読スルーすると問答無用でゲームが終了する。周回プレイ時にこれはストレスでしかなかったですね。リアルだけど。
◆各パラメータ
・フォロワー数
10日目までに10万人達成できないと収益化が通らず、家賃が払えなくなるのであめちゃんは実家に帰ってしまう。その他ED分岐の条件などに影響。基本的に減ることは無いように思ったが、配信の内容で増加数の多少が変化する。
・ストレス
これが溜まりすぎると配信の内容にも影響が出てくる。送られてくるJINEメッセージも返信に困るきついものが増えていったり。画面が斜めにズレたり、色合いが変になったりといった映像効果で日々の迷走が表現されていく。基本的には低めに保っていた方が安全に日常が推移するが、高ストレスの状態でしか見られないEDも存在する。ほとんどホラー。
・好感度
下がりすぎると別の男に乗り換えられる。基本的にはデートに連れ出したりイチャついていれば高水準を保てるが、逆に上がりすぎても恋愛依存になってしまい「配信者とかもうどうでもいいや」と投げ出してしまうEDもある。
・やみ度
安定剤から始まり咳止め薬の乱用、睡眠薬と推移していき、最終的には謎の草や謎の切手に手を出すようになる。上げすぎるとどんどんスピリチュアルな方向へ傾倒していき、最終的には宇宙意志とチャネリングして世界のすべてを理解してしまう。
「病み度」だとストレスの方と役割がかぶるのでやはり「闇度」なのかなぁ。
■まとめ
・前述のように20種以上もEDがあるのに何周も繰り返すのが作業的でやや苦痛なゲームデザイン。特に一瞬で既読が付き即返信のくるJINE対応はマジで面倒。早く寝ろよ。私の場合5,6種類見て残りは動画サイトのまとめで見た。
・配信視聴者や匿名掲示板、SNSでの反応などはあるある感満載。「オタクどもが勝手なことばかり言いやがって」というあめちゃんの裏垢での愚痴も見ていて悲しくなる。
・いわゆるネットネタあるあるも豊富に盛り込まれており、元ネタが分かる人はさらに楽しめるのではないかと。
・なんで俺は金払ってメンヘラの相手してるんだとふと我に返る。そういう意味でもリアルな病み彼女との同棲体験をしてみたい人にはいいんじゃないですかね。
・「Serial Experiments lain」とか「ゆめにっき」のような雰囲気を持ったちょっと怖めのゲームが好きな人にもまぁおすすめできるかもしれませんね。
・頭では分かってはいたけどこのゲームをやったせいでYouTuber/VTuberを素直に見られなくなった。それなりの毒を持った作品なのでプレイ時はご注意。
おわり。
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