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ContextLogic(Wish):FY2021 3Q 決算|箸にも棒にも掛からない決算、事業はマジやばい

足元では経済が再開し、外出制限が緩和されたことを受けて、EC各社の売上成長の鈍化が見られる中で迎えたWishの決算

激安Eコマースとして注目していた1社ではあるものの、決算内容が酷すぎて目も当てられない結果ではありますが、WishはIPOから記事にしてきたので、2021年11月10日に発表された激安EコマースのContextLogic(Wish)の2021年度第3四半期決算も解説していきたいと思います。
(もしあまり読者がいなければWishは今回で最後かも・・)

また最近Youtube始めたのでこちらも合わせてご覧下さい!

なおWishのビジネスについてお知りになりたい方は以下の記事をまずはご欄ください。

0. Wishとは?

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まずはFY2021 第3四半期(7-9月)決算に入る前に、Wishの事業を簡単に振り返ってみてみましょう。

Wishはノーブランド品が「激安」で買えるEコマースで、ナイキ風の靴やレゴ風の子供向けおもちゃなど数十ドルで購入することができます。

この激安の価格設定を可能にしているのは、中国をはじめとするメーカーや工場などの出品者で、Wishを通じて中間流通業者(卸など)を介さずに直接ユーザーに販売することでその安さを実現しています。

1.FY2021 第3四半期(7-9月)業績ハイライト

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2021年度第3四半期(7-9月)Wishの売上高は̠▲39%となる$368m(約400億円)、営業利益は▲$63m(約70億円)の赤字となりました。

続いて事業セグメント別にみましょう。

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主力事業Core marketplaceは売上高は前年同期比▲55%となる$183m(約200億円)、広告宣伝費を大幅に抑制し、前年同期の売上高に対する広告宣伝費の比率を64%から、今回、売上高の40%にまで縮小しているため、売上高が減少したと会社は説明しています。

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またマーケットプレイス内の広告事業からの売上高も主力のマーケットプレイスからの売上高の減少に伴い、前年同期比▲24%となる$37m(約40億円)に減収。

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そして頼みの綱であるロジスティックス事業の売上高も前年同期比▲3%となる$143m(約165億円)となり、いずれのセグメントでも減収する結果となっています。

特に今回の会社の説明で気になったのが、広告宣伝費を抑制したことで月間のアクティブユーザー(MAU)数(月に1度でも起動するユーザー数)が40%も減少し、6,000万人になったことや、それにともない購入ユーザー数も32%減少したのとのことです。

ここで明らかになったことは、広告宣伝費を投じて新しいユーザーを獲得しないとMAUが維持できないということは、ユーザーの継続率が思った以上に悪かったということです。

つまり、既存のユーザーはあまりWishのサービスを利用しなくなってきているということを物語る結果なのではないかと思います。

2. 決算発表のハイライト


というわけで会社が説明していることをこれ以上ふかぼっても仕方ないのでなぜここまで売上高が減っているのかの原因を3つ考察していきたいと思います。

1.中国工場の操業停止の影響

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今年の9月頃に中国恒大集団のニュースとともに話題となった、中国のエネルギー不足の問題で、工場を休止せざるを得ない事態になっているということです。

Wishのサービスは多くの中国の出品者が中国直送で激安商品を届けていたのに、今はモノが作れないという事態がおきています。

モノが作れなければモノも売れません。

2.配送料の上昇

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以前の記事でもご説明した通り、Wishの商品は船便で中国からアメリカや欧州に輸送されています。今年の前半から海運株が上昇していることは皆さんも周知のところかと思いますが、コンテナ運賃が上昇していることで、Wishの配送料(実際には商品価格に内包されている)が上昇し、結果商品価格が上昇してしまい、最大の売りであった「激安」ではなくなってしまっていることも、ユーザー離れの一因と考えられます。

3.モノが届かない

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Wishの主戦場はアメリカや欧州です。いまアメリカの西海岸(ロサンゼルス港、ロングビーチ港)では年末商戦のために荷揚げ待ちのコンテナが多数あります。ニュース等でご覧になった方も多いかと思いますが、米西海岸ではコンテナ船の入港までに平均16.9日間も要する事態となっています。

1と3はタイミングによってはこれから解消されるため、問題にならないかもしれませんが、2は旧正月まで高止まりしそうです。

3.市場の反応

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11月に入って連日ダウやS&P500が最高値を更新する中で、決算発表前から株価は右肩下りとなっていましたが、今回の決算発表を受けてガツっと下がるのではなく、ズルズルと下がり続けていることから、市場の関心は既になくなってしまったことが伺えます。

4.最後に

最後まで読んでいただいてありがとうございます。この記事を気に入ってくれたら”スキ”ボタンを押して頂ければと嬉しいです^ ^

またこれからもGAFAMを中心とする米国や中国の高成長テック銘柄を取り上げて記事にしてますので、これを機に是非フォローをお願いしますm(_ _)m

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