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介護教育、もっとなんとかならないのか?

これまでに常勤派遣とを問わず、いくつかの介護施設で働いてきた。そこで、そもそも現場レベルでの教育に大きな欠陥があることを痛感しています。
 ずさんな教育指導のもとでも、適応力のある新人はすぐに現場に慣れるでしょうが、そうじゃない職員もいるでしょう。その問題点や、どう改善していけばいいのか、自分なりの考えを記します。

1 入職して初日、“全体”から入らずにいきなり“部分”から教えようとする。
 初日なら、ふつうは施設の概要を説明したり、シフトや希望休の書き方、遅刻や欠勤の際の連絡先や書類、職員が使用してもいいトイレはどこなのか、どこで昼休憩をとっていいのか…等々、そういった管理的なことから説明すべきではないだろうか。
 それから、各フロアを案内して、建物の構造から、汚物室の位置とか医務室の位置とか、必要な物品はどこから取っていけばいいのかとか、そういった事柄を説明すべきではないのか。
 実際には、そんなことをまったくやらないで、いきなり現場に放り込んで、「とりあえず見守りしてて」みたいな施設が多い。

派遣だろうが常勤だろうが、最初の2〜3日はオリエンテーションだけに費やしてもいいくらいだと思う。施設の概要をつかめたら、今度は職員の後をついていかせて「ジョブ・シャドウ」で、仕事の流れを見学させて観察してもらうのである。
 そうやって“全体”をなんとなく把握させた上で、それから入居者のケアに実際に入らせたらどうだろうか?

2 そもそも基本的な感染予防をまるで教えようとしない
 わたしは看護師出身だけど、教育のはじめは標準予防策(スタンダードプリコーション)から始まっていた。まずは、感染予防。手洗いとかディスポ手袋の着脱とかディスポエプロンの着脱とか、そういった事柄からまずは教えるべきではないだろうか?
 そんなことは知ってて当たり前、とみなすのではなくて、感染症パンデミックの時代にはとくに基本的で重要な事柄なんだから、なおさら復習の意味をこめて感染予防策については入職時にきちんとおさらいするべきではないのか?
 介護の現場は感染予防の意識が低く、入浴介助の際に手袋もつけずに素手で介助してる職員なんかザラにいるから、ちょっと呆れて驚かされます。

3 ルーチンを一方的に説明するだけで、相手の理解のレベルを確認しようとしないし、質問を促すこともろくにしない。
 
看護師の教育では、「なんでこうするの?」「なんのためにそうするの?」みたいに、質問づくしでうっとうしかった記憶がある。しかし、これは相手の理解のレベルを確認する上で必要なことだと思う。
 とくに、科学的根拠を考えさせる面があったわけだけど、その点については介護の教育はまったくだめだなと感じる。指導者が一方的にいいたいことをいって、相手の理解も確認しない。節目節目に、「なにか質問はありますか?」と、相手に訊ねることもやらない。
 こうした教育の弊害は、知識の定着がわるいだけじゃなくて、根拠を考えないから結局応用がきかないのだと思う。変化のある状況では対応できない、使えない人間しか育たないでしょう。はっきりいって。

看護教育では、“プリセプター”や“教育ラダー”というシステムもあったけど、介護施設は病院を模倣してるようにみえるくせに、こうした教育のシステムは取り入れていないようである。
 ただし、施設によっては“教育担当”の介護職がいたり、“教育指導記録簿”みたいなものを付けて、新人教育の申し送りのためにノートを活用している施設もあるようだった。


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