出生率低下、なにか問題ですか?

国や東京都の出生率が過去最低だと、先日ニュースで報じられていた。ここでふと立ち止まって考えるのは、出生率が低いとなにか問題なの? という根本的な疑念である。

反対に、出生率が高い国がどんなところなのか、想像してみるといい。たとえば、アフガニスタンとか、サハラ以南のアフリカ諸国は出生率が高そうである。そういった国々では、そもそも国民の識字率は低く、女性の地位は低く、教育を受ける機会はほとんどなく、女は子供を産んで育てるだけのマシーンとみなされるような国なんじゃないかな。
 そういった国になることを望んでいますか? ということ。成熟した社会なら例外なく、女性の地位は向上していくし、必然的に出生率は低下していく。これに対して、対策を取ろうにも限度があるのではないだろうか?

一国の問題としてではなく、もっと大局的にみて地球環境全体からも考える必要がある。出生率が低くて人口が抑えられている方が、地球環境に与える負荷も小さくて済むとは考えられないだろうか? 
 
フランスの人口統計学者、家族社会学者のエマニュエル・ドットは、「人口が増大する局面よりも、人口が減少していくほうが管理しやすい」ということをたしか述べていた。

そうはいっても、労働人口減少はひとつの国家としては悩ましい問題には違いない。国の税収は減っていくし、一方高齢化で社会保障費ばかりが増大し、国の債務はどんどん膨らんでいく。
 ただし、人口減少を子供を増やすことで補う時代ではもはやない、ということである。より現実的な方策は、よくいわれているように移民受け入れである。海外から、意欲と能力のある外国人を受け入れ、日本への定住をめざすことである。移民を受け入れている先進国は、出生率も比較的維持されている傾向があるように見受けられる。
 これに対して、「へたに移民を受け入れていくと、欧州がそうなってるように社会が混乱して治安もどんどん悪化するのではないか?」という右寄りの人たちからの批判もあるだろう。日本国内だと、埼玉県の川口市がクルド人の住民問題で揉めているニュースを見かけることがある。
 しかし、移民受け入れは慎重にやっていけば、労働人口を補うことができるし、国としての活力を取り戻すことにもつながるのではないか。問題は、日本という国がもはや外国人を惹きつけるだけの魅力を失いつつある、ということだろう。日本政府としては、外国人に定住するよりも安い労働力としてこき使いたいだけ、だろうから。そういう安直な、問題のある考え方をしている限り、外国人の方にも見透かされて、どんどん日本から離れていくでしょう。

わたしは数年前まで婚活パーティーに参加したり、いま思えば恥ずかしい、下らない行事に参加していた憶えがあります。いまでは、独りで生きるほうがいいと考えて、生涯独身でいようと考えています。
 社会が成熟して、価値観も多様化しており、これに対して国や自治体がどうのこうのと対策を講じては出生率を上げていこう、とするのは間違いというか限界があるのではないだろうか。
 先日も東京都が、AIを活用した婚活用のマッチングアプリ(要は出会い系サイト)を開発するとか言い出しているが、これなんぞはまったく失笑モノであろう。こんな下らないことに都民の税金を使うつもりかよ、まったく呆れてしまうものを感じています。