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仙台89ers:2023-24シーズン 第3節(10/21,22 Away Game vs 千葉J at 船橋アリーナ)雑感

今節のプレビューはこちら。


◯試合前トピック

・鹿児島国体 宮城県少年男子 3位獲得(仙台89ers U-18所属 阿部真冴橙参加)

ご覧の通りの結果ではありますが、タイトルにもありますようにU-18所属の阿部君が選手として参加、準々決勝では21得点、準決勝では18得点と力を発揮。大会を通じてはPPG16.3を記録する活躍でした。

昨季の終盤にはU-18選手としてチーム帯同もしていたことがいい経験になったでしょうか。下部組織からこうした優れた選手が輩出されるのはクラブの未来にとってはとても大事なこと、今後大学への進学をするのかトップチーム昇格となるのかは分かりませんが、阿部くんに続く選手が下部組織からもっと出てきてくれると嬉しいですね。

そういえば今季チアーズに加入したFuさんも確かチアーズのジュニア出身でしたよね?

◯Game1(10/21 15:05 TO)仙台83千葉J72

Game前に以下のアナウンス。

ヤンは前節で少し膝を痛めたところがあったのでお休み、キャプテン青木は家庭の事情で帯同もなし、とのこと。

Game1のエントリーメンバーはボックススコアにて。スターターは以下の5人。

13 阿部諒
15 渡辺翔太
21 渡部流
25 ラショーン・トーマス
52 ヴォーディミル・ゲルン

青木のところには渡辺、ヤンのところは渡部をセレクト、少しヤングな顔ぶれ。

千葉Jの方もムーニーがベンチ入りしてるもののステフェンズがどこか痛めているのかベンチ外。EASLを含めた連戦続きはやはり少し辛いものがありそうです。プレビューでは警戒すべき選手として原を挙げていましたが、W杯後にネズミ除去の手術をしていたのでしたね、確認不足でした。

立ち上がりはブースの3Pがヒット、シュートタッチが戻ってきたでしょうか?返す形でマッツも3Pを沈めてきます。仙台はディフェンス良く、千葉Jからターンオーバーを誘い、ポインツフロムーターンオーバーからの得点で先行しますが、次第に千葉Jも落ち着きを取り戻すとクロススコア気味になってくるのですが、ここから仙台の課題であるシュート精度の悪さが顔を出し始め、なかなか千葉Jを引き離すまでいきません(もちろん千葉Jのディフェンスも良いのですが)。少し攻めあぐねているうちに、警戒しているはずの富樫が巧みにズレを作ってしっかり3Pを決め切る相手ながらさすがの働きで突き放され、1Qは17−21と4点ビハインドで終了。

2Qh立ち上がりで渡辺が3Pをスウィッシュするもすぐさま富樫がお返し。その後仙台も3Pを積極的に狙い、粘り強いオフェンスリバウンドからセカンドチャンス、サードチャンスを作り出すも決めきれず、ビハインドを9点に広げられてしまい、これまでの同様の展開か、と少し嫌な感じ。しかしディフェンスの方をしっかり踏ん張ると今季目指しているのであろう、トランジションからの速いオフェンスが決まりだし、じわりじわりと追撃開始。インサイドでも少し手薄な千葉Jをゲルンがうまくつくことができているのはいい感じ。

そのゲルンのインサイドワークで繋ぎ続けると小林の3Pが決まって一旦逆転。しかし千葉Jはそういう流れが良くない時に止められる人間、富樫がいるのは強豪の所以、すぐさま3Pを決め返しリードは再び千葉Jへ移るとクロスゲームな展開になりかけます。仙台が一歩前に出ていた残り30秒ほどにゴール下で渡部と荒尾が交錯すると荒尾の肘が渡部の顔に入ってしまいこれがアンスポーツマンライクファウル。その後のプレイでマッツがフロッピングファウルを取られますがそれは流石にちょっと微妙なジャッジ。この2つのプレイでもう少しリードを取っておきたかったところですがFTを決めきれず、前半終了時は仙台が38−35とリードし予想外(と言っては失礼か)の健闘を見せています。

戦前の予想通り、千葉Jはやはり少しコンディションの面で苦しそう。ステフェンズがベンチ外、ムーニーもベンチ入りしているもののここまでプレイタイム0でおそらくGameを通してDNPの中、荒尾の稼働時間が長くなっているあたりに苦しさが見て取れます。富樫だけはエースとしていつもと変わらぬ活躍ぶりですが、他の選手はやはりやや精彩を欠いているような・・・。

相手方のコンディションの悪さはあれど、ならばそういう時にはきっちり勝っておきたいところ。昨季も相手メンバーが揃い切っておらず有利かと思われたGameで勝ちきれないことも多かったので、昨季からの成長のバロメーターとも言えそうです。もっとも、こちらも青木、ヤンと主力2人を欠いているので状況としては5分とも言えますが。

3Qは互いにディフェンシブな立ち上がり。しかしトーマスが2連続スティール(3Qですでに3本目)を決めてトランジションから得点を決めたところから流れは仙台よりに。阿部がいいプッシュで自ら得点を決めたり渡辺に技ありアリウープパスを決めたりの出色の活躍で仙台を引っ張ります。千葉Jは外国籍が1人と少ない中、荒尾や金近がファウルトラブル気味でますます苦しい形。仙台も一時は12点リードとするなど千葉Jの隙をどんどんついていきたいところですが、やはりシュート精度の悪さという課題が顔を出してくるとなかなか突き放しきれません。その間に千葉Jが小川の3P、富樫のフローターなどで繋いでいくとじわりじわりとリードは溶けて、金近に3Pをねじこまれるとリードは4点までに縮まります。うーんよくない展開・・・。それでもなんとかサイズの優位性でもってリバウンド、ディフェンスを踏ん張り、3Qは56−52と1点だけリードを広げる形で終了。

4Qはいきなり西村に3Pを沈められてやはり地力ある千葉Jにまくられてしまう嫌な展開か・・・と思うも、すぐさまトーマスが自らのプッシュで押しきりゴールを決めると浮足立たずに済みました。調子が上がってきたトーマスがさらに3Pを決めてみせ、阿部が金近の4つ目のファウルドローンを誘う技ありのタフショットが決まるとリードは一気に9点差。千葉Jもやはりフィジカル的に苦しいところがありそうで、いつもの仙台を見るかのようないい形を作ってからのシュートを決めきれない状況が続くのは仙台にとっては助かる状況。

12点リードとしたところでまだ残りは7分、全く油断はできません。しかし今Gameの仙台は今シーズンの勝利を渇望しているとは思うのですが慌てることなく落ち着いたGame運びを続け、じっくりオフェンスをしていくとシュートが決められなくても時間をしっかりと浪費、また前2節とは違いトーマスや阿部などのアーリーオフェンスがちゃんと決まっているのはいい感じです。

OTO後もしっかりと落ち着きを保ったまま千葉Jのオフェンスでは時間を使わせた上でしっかり止めて、こちらのオフェンスも時間を使った上でシュートを決めたり、シュートが決まらないまでもオフェンスリバウンドをがんばりセカンドチャンスを得ては時間をうまく使う理想的な展開が続きしっかりリードは保ち続けると、トドメは片岡の3P。これで残り3分弱で13点差とするとさすがの千葉Jも意気消沈。西村や富樫の3Pで食い下がりますが仙台は慌てることなくクローズすることができ、72−83と強豪千葉Jを相手に嬉しい嬉しい今季初勝利となりました。

気になった選手:富樫(千葉J)
日本のバスケファンなら誰もが知る千葉Jだけでなく日本代表のエースプレイヤー。今季千葉JはBリーグと並行してEASLも闘う超過密なスケジュール。メンバーは稼働できない選手も多く、チームとしてコンディションが整わない中一人気を吐くさすがの活躍で、疲労も溜まっているであろう中今Gameも23得点と、対峙した渡辺・小林もよく守ってはいたのですがやはりさすがのプレイぶりでした。

◯Game2(10/22 15:05 TO)仙台90千葉J99

Game2のエントリーメンバーはボックススコアにて。スターターは以下の5人。

13 阿部諒
15 渡辺翔太
21 渡部流
25 ラショーン・トーマス
45 ネイサン・ブース

Game1からゲルンに替えてブースがin。

千葉JはGame1でDNPだったムーニーをスターター起用、仙台相手に連敗は絶対にできないという構え。

序盤からややお互いにハイペースなスコアリング。千葉JはGame1よりしっかりパスが回る感じで外からのシュートがよく決まって一歩リード。仙台もトーマスが順調にスコアリングを重ねてしっかり食らいつく形。ただ仙台は序盤からファウルがかさみ、千葉Jに少しFTを多めに与えてしまっているのは少しもったいない。しかし千葉Jに先行されながらもGame1に引き続きディフェンスで頑張るとブースの3Pがヒットすると逆転。その後は千葉Jのオフェンスをしのぎ続けるとGame1同様の速い展開や、オフェンスリバウンドからのセカンドチャンスを生かす形で得点を重ねていくとこのQだけで31得点、千葉Jの得点は24にとどめさせて7点リードと願ってもない展開に。

2Qは少しスコアが動かないディフェンシブな展開が続きますが、立て直しが聞いてきたのは千葉Jのほう。仙台がいつもの悪癖というべきか肝心なところでシュートをこぼす状況が続くとムーニー、西村の3連続3Pでリードはたちまち溶けてしまいます。決めるべき時に決めきる西村もさすがなのですが、これがまだ仙台に足りないところか。

OTOが明けても流れはすっかり千葉J。仙台がやや攻めあぐねてタフショットを打たされる形になり決めきれないでいるうちに千葉Jが得点を着々と重ねていくと2Q残り3分で追いつかれる苦しい展開。過去2節のように少し前のめりになって攻め急ぐ形が続くとシュートミスを重ねては得点を伸ばせず、千葉Jに少しずつリードを広げられてしまいます。過去2節のように決めきらないといけないゴール下のシュートもぽろぽろこぼしては9点ビハインドとされますが、後半ラストポゼッションでブースが3Pをしっかり決めきることができ、48-54となんとかビハインドを6点の2ポゼッション差までにとどめて後半につなぐことができました。

2Qでは過去2節のように仙台の良くなかったところを見せては大きく失点を重ねてしまい、30失点超のビッグQをまたしても相手に与えてしまいましたが1Qで仙台がビッグQを作れていたのはまだよかった。とはいえ、互いに前半だけで50点前後をとりあうハイスコアゲームは仙台のペースとは言い難いところもあるので、後半はもう少しディフェンスから巻き返したい。

3Qは千葉Jに9点のビハインドとされたところから一進一退の展開が続くと仙台はなかなかビハインドを詰められない展開。どうしても決め切りたいシュートが決め切れなかったりの仙台にとってはよくない形。ここでしっかり決められるようになるとだいぶ違うんですが・・・。じわりじわりどビハインドは広がり気が付けば13点差。それでもなんとかディフェンスで踏ん張りたかったところですが、ファウルもかさんできてはますます分が悪くなってきます。結局3Qも千葉Jの勢いを押しとどめることができずに71-80とビハインドを9点に広げられて終了です。

9点差はまだまだ逆転できない差ではないとはいえ、ややファウルトラブル気味な仙台にとってはやや厳しいか。巻き返したかった4Qも先に千葉Jに走られ一時はビハインドが18点にまで広がります。いい形でゴールを決めたと思うとバイオレーションがあったりと仙台はなかなかの拙攻ぶりでかなり厳しくなってしまいます。それでもトーマスの個人技などで少しずつ差を縮めると、OTO前にはなんとか11点ビハインドまでには押し戻すことに成功。OTO後にトーマスがFTをしっかり決め切りさらに9点ビハインドと少し仙台に流れが傾きかけたか・・・?と思うもその流れに乗り切れず、ビハインドがなかなか詰められないまま時間が過ぎると、残り1分のところで激しく富樫へのディフェンスに行った阿部がアンスポーツマンライクファウルを宣告されては万事休す、3Qまでにつけられた9点のビハインドを最後まで詰められずに90-99の敗戦、連勝はならず。

気になった選手:トーマス
仙台のエーススコアラーとして27得点と気を吐く活躍。ファウルトラブルに陥りながらもなんとか我慢し続けて、微妙なところではありましたが最後のオフェンスファウルでファウルアウトするまでしっかり攻守に貢献。それでもやっぱり不用意なオフェンスファウルやハンドリングミスからのターンオーバーにはもうちょっと気を付けてほしいかな。

◯最後に

まずはEASLも並走する過密日程の中、それでも現状ベストの力で仙台と対峙してくれた千葉Jの選手たちとスタッフにリスペクトを。Game1ではさすがにコンディション的に苦しかったであろうところ、Game2ではしっかりとカムバックして勝ち切っていく地力はさすがBリーグの強豪として君臨しているだけのものがありました。仙台も近い将来の優勝を目標とするのであればそうした地力をつけていかなければなりません。

ただ千葉Jも負傷からコンディション調整中だったムーニーはできれば出場させたくなかったのではないかと思いますが、Homeで連敗はできないという強い意地でもってGame2ではスターターから起用。プレイタイムこそマッツ、ブラウン、荒尾とタイムシェアしながら20分程ではありましたが、オンコート時はやはりインサイドで抜群の存在感でした。

一方仙台もヤンが負傷によるコンディション調整と青木のプライベート事情による欠場とメンバー構成的には千葉J同様少しにつらいところはありましたが、外国籍選手3人が今のところ怪我なくプレイできているのはまずは一安心。しかし澤邊がGame2で久々に持ち味を見せる活躍をしかけたと思うと無念の負傷、左足首を痛めた模様ですがかなり痛そうで一度ロッカーに引っ込んで戻ってきた時には松葉杖をついていたのは少し心配。長いシーズン、こうした怪我との闘いも始まりますが、なるべくなら自クラブ他クラブ問わず、選手たちには怪我なく過ごしてほしいものです。

今節、特にGame1についてはこれまでの反省を踏まえてまずはディフェンスをしっかりできたのが良かったところ。激しいディフェンスでファウルが嵩むのは痛し痒しなのですが、千葉Jから両GameでTOを17誘っては、あの富樫も思わずイラついた顔を何度か見せていました。

また今節はトランジションからファストブレイクでの得点が千葉Jを大きく上回り、今季仙台が目指している速い展開からのバスケの片鱗を見せてくれた、といったところでしょうか。そういういい形も多かったところで惜しむらくは、Game2ではシュートアテンプト自体が千葉Jより7回も多かったにも関わらず、仙台の課題である「大事なところでのシュート精度の悪さ」が顔を見せてしまったが故に殴り合いのすえ最後は力負けしてしまったところ。

ヤン、青木のDNPで渡辺や渡部、岡田の若手がプレイタイムをある程度得た今節、渡辺は富樫に対するマーク、オフェンス時の積極的な飛び込み等持ち味を存分に見せていましたが、渡部、岡田は局面ではいいプレイを見せてくれるもののまだ少し物足りない。2人に求められるのはやはりスコアリングだと思うので、10点前後をコンスタントに獲れるようになってほしい。それぞれ大学時代にはスコアラーとして名を馳せていたのですから、きっとやれるはず。

正味な話をすると連敗も織り込み済みだった千葉Jとの対戦で今季初勝利をあげることができ、選手たちもまずは気持ちが軽くなったことでしょうし、1勝1敗とはいえ今節の闘いにある程度の手応えは感じているのではないでしょうか。そんな中で次節はWeekDay GameをHomeゼビオアリーナにて群馬と対戦。群馬はこのオフシーズンに大型補強を敢行していますが、それを置いても群馬はB2時代はずっとシノギを削りあってきた負けたくない相手。昨季よりもさらに手強い相手となっていそうですが、是非ともHome今季初勝利といきたいですね。

それではまた。

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