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あとには引けない状況をつくる

今日のおすすめの一冊は、ケイティ・ミルクマン氏の『自分を変える方法』(ダイヤモンド社)です。ブログも同名の「自分を変える方法」と題して書きました。

本書の中に「あとには引けない状況をつくる」という心に響く一節がありました。

先日、コミットメント装置を使って人生の進路を変えた、作家でテック起業家のニック・ウィンターと話をした。

ニックは「もっとバランスの取れた、充実した人生を送るにはどうしたらいいだろう?どんなことをしたら楽しくなれるだろう?自分はどういう生き方がしたいのだろう?」と考えた。そして、これからいろいろな冒険に挑戦しようと決意した。

スカイダイビングをする、スケートボードを習う、明晰夢(めいせきむ)を見る、5000m走のタイムを5分縮める等々――そして自分の変身を本に書く。これらすべてを実行するために、3か月の猶予を自分に与えた。 

ニックは現実を理解していた。こんなに短期間に人生を変えることは相当に大変だろうと考えた。また、計画を友人たちに宣言するだけでは十分ではないこともわかっていた (口先だけで終わったら少なくとも恥ずかしい思いをするよう、宣言はしていた)。 

目標を達成するには、もっと後には引けない状況をつくり出す必要があった。そしてある日、とても型破りな契約を結ばせる会社のことを聞いて興味を持った。 ニックはその会社と次の契約を結んだ。 

「3か月以内に本を執筆し、スカイダイビングをする」という目標を達成しなかった場合、 約1万4000ドルの大金を支払う。 1万4000ドルは、億万長者にとってははした金かもしれないが、ニックは金持ちではなかった。預金のほぼ全額を賭けたから、本を執筆し、飛行機から飛び降りないわけにはいかなくなった。 

夢を実現しなくては、という強力な動機に駆り立てられたニックは、自分の冒険をつづった(そして大人気となった!)本、『モチベーション・ハッカー (The Motivation Hacker)』(未邦訳)を3か月以内に書き上げた。

そしてガールフレンドと一緒にスカイダイビングを決行した――幼いころから高所恐怖症だった彼にとっては、こちらのほうが誇らしいのかもしれない。 

私がニックの物語を好きなのは、現金のコミットメント装置の力と簡単さを見事に表しているからだ。 またこの物語には、現金のコミットメント装置のやや矛盾した特徴もよく表れている。

この手法は一方で、「自由は少ないより多いほうがいい」という経済学の一般原則に逆らっている。 だが他方では、「望ましくない行動を抑制するためには、その行動のコストを増やしたり制約を課したりすればいい」という、経済学の一般原則を活用している。 

つまりこの手法も、消費を減らすためにタバコや酒に課税したりマリファナを禁止したりするのと同じ、経済学的な解決策なのだ。

自分を強制的に「あとには引けない状況をつくる」という方法は、中国の孫子の兵法にもある。

それが、『死地に陥れて然る後に生く』という言葉。戦力差が何倍もあるような相手と戦う場合、自軍を滅亡しかねない状況に追い込んでこそ、そこに生き延びる「生き筋」が見えてくる。ここぞというとき、自らを厳しい状況に追い込むことによって、普段の何倍もの力がわいてくるということ。

まさに、自分を絶体絶命の状況まで追い込み、あとには引けない状況をつくることは、究極の自分を変える方法だ。

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