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100年学習時代と生成AI

今日のおすすめの一冊は、本間正人氏の『100年学習時代』(BOW BOOKS)です。その中から「年齢は言い訳にならない」という題でブログを書きました。

本書の中に「100年学習時代と生成AI」という心に響く文章がありました。

二〇二二年一一月、自然言語で作動する生成AI、ChatGPT が登場し、世界を震撼 させました。これまで過剰に重視されてきた「言語レベルの情報処理能力」が一気に価格破壊を起こした状況です。 

たとえば、「難関国立大学」の二次試験で「平安末期の荘園制度が崩壊した理由について三百字で述べよ」「宗教革命がヨーロッパ社会にもたらした変化を四百字で述べよ」といった論述問題に適切に解答するためには、教科書を読み込み、事実関係を深く理解し、要点を簡潔に作文する能力が求められます。

こうした能力を獲得するために、人間は少 なくとも数カ月、通常は数年にわたる学習が必要です。ところが Chat GPTは、ものの 数秒でスキのない答えを出してくるのです。 もちろん、こうした知識を持つことはとても大切ですが、これを試験で評価する項目の中心に据える時代は終わりました

社会で起こるさまざまな出来事を歴史的な視座でとらえ、意味づける能力は極めて重要です。しかし、これまでの論述試験が問うてきた「模範解答との一致度」を評価する仕組みの相対的重要性は確実に低下したと言えるでしょう。

むしろ、歴史的事象に関して、「私はこう思う、こう考える」という自分なりの解釈を述べる力が求められます。「そのために知識が必要だ」という反論が聞こえてきそうですが、自論を語る目的で歴史を学ぶのと、試験で模範的に解答するために歴史事項を暗記するのとでは、スタンスが全く異なるのです。 

Chat GPTが注目を集め始めたときに、多くの大学で「学生が Chat GPTを使ってレポートを書いたらどうしよう」という議論が行われたと聞いています。しかし、教育者が新しい技術を学ぶことに消極的で忌避する姿勢では、時代に取り残され、学生に舐められます

私は、レポートの課題を発表する時点で学生がChatGPTを使うことを想定してこう伝えています。 

「この課題に対して、ChatGPTはこんなふうに回答します。これは要点をしっかり押さえていますが、それだけなので単位を認められません。みなさんは、これを超える水準のレポートを書いてください。それは、自分自身の体験を踏まえ、自分自身の意見をしっかりと自分の言葉で書くこと。その部分を評価します」 

「Chat GPTの出力をそのままコピペしてきたら?」という疑問もありました。しかし、 少なくとも現時点では、生成AIに特有の文体やクセがあるので、経験を積むと判別できるようになります。 英語ネイティブなので翻訳調になるのです。 

心配な場合には、学生のレポートをコピペして、 Chat GPT に質問すれば、「これはChat GPTが生成した文書です」「九八・七%の確率でChat GPT が生成した文書です」などと答えてくれます。 スマホで簡単に使える現状ですし、学生の使用を禁止するのは不可能であり、非現実的です。

官庁や会社の場合には、企業秘密や国家機密、個人情報が漏洩する危険性がゼロではないので、入力する情報には注意すべきでしょうが、禁止するのはもったいない。 Eメールが普及するときに、「アドレスの文字を打ち込むのは面倒だ」「やはり紙でな ければ」「FAXのほうが図表が送れる」といった反対論がありました。

今となっては、 笑い話ですが、生成AIに関しても過剰に臆病な議論が行われています。 ビジネスパーソンにとっては、「英語で業務マニュアルを作成する」のは、極めてハードルの高いタスクでした。

しかし、今や、生成AIを用いれば、ものの数分で骨格をつくることが可能です。最初に必要となる自己紹介が苦手な人は、谷口恵子氏の「自分のことを一〇〇ネタ話すためのAI英作文』(コスモピア)を活用すれば、あっという間に、 自分だけの宣材を用意できます。 

学生にとっても、教科書は文科省や学校から与えられるものではなく、自分のテーマに沿って自分でつくることができる時代が訪れているのです。今後、ますます急速な発展を遂げることは間違いありません。使わないなんて選択肢はあり得ないでしょう。

◆人類史上、これほどのスピードで、しかも高頻度で、知的な革命が起こることはなかった。まさに、「人類の歴史の転換点」とも言える革命だ。今後、インターネット上を流れる情報やデータは、何が本物か偽物かの区別がつかなくなってくる

教育界だけでなく、あらゆる業界において、この生成AIを使いこなせるかどうかが問われている。

100年学習時代…
さらに生成AIについて、学習を深める人でありたい。

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