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逆境にあっても笑える人に

今日のおすすめの一冊は、『生き方の流儀』(渡部昇一&米長邦雄/致知出版社)です。その中から渡部昇一氏の『「心学」は人間学の基礎』という題でブログを書きました。

本書の中に米長邦雄氏のこんな素敵な文章がありました。

私の場合は、勝てば褒められ、負けると叩かれる。そういう世界で生きてきたから、叩かれても大丈夫なように精神的にタフになるしかないですね。負けると必ずマスコミに悪口を書かれるんです。女性問題とか金の問題とか。でも、しょうがないと思うしかないですよ。
人生というのはそういうもんだ、世間の評価とはそういうもんだ、と。要するに、負けたのが悪いんです。勝てば褒められるのですから。逆にいうと、私がいくら品行方正にまじめに将棋を指していても、それを褒めてくれる人は誰もいませんよね。
それと、逆境のときは笑うことなんです。これは非常に大事ですよ。将棋で負かされるは、人に悪口を書かれるは、今まで親しくしていた人まで手のひらを反すようになるは、という状況ですからね。癪(しゃく)に障(さわ)るじゃないですか。そういうときに怒ったり、ひがんだり、腐ったりするのが人間の常だと思います。でも、そうすると余計だめになってしまう。
だから、笑うんです。また、笑うためには、その前に無心になることが大事です。たとえば、胃のあたりに何か引掛かりがあると、「胃癌になっているんじゃないか」と心配になりますよね。そういう状態ではなかなか無心にはなれないし、人がみんな笑っていても笑えません。わだかまりがないという状態になることが大切ですね。
一度自分をそういう状態に置いて、そして笑う。寄席に行って落語を聞いてもいいし、水戸黄門を見てもいい。スランプのときは本業から一回離れることだといいましたが、これは逆境のときも同じです。逆境のときに、まじめに本業をやった人はだめになります。だから、本業から一回離れて、無心になって笑うことです。

「笑い」は「肯定」だと言われます。その逆の、「怒り」は「否定」です。だから、怒ったり否定しながら笑える人は、この世にはいないということです。特に、バカになって「ワッハハ」と大笑いする呵呵大笑(かかたいしょう)は、すべてを受けいれる全面肯定です。

逆境にあるときにも、笑いがある人は余裕があります。余裕とは、自分に起こった逆境を客観的に見ることができる、ということです。つまり無心の状態。逆境にあっても、笑える人でありたいものです。

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