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何でも自分でできる人になってもらうこと

今日のおすすめの一冊は、、沼田晶弘氏の『「変」なクラスが世界を変える!』(中央公論新社)です。その中から『「世界一」の卒業遠足』という題でブログを書きました。

沼田晶弘氏の別の本『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』(中央公論新社)から素敵な文章を抜粋してみました。

1)ボクが考える「教育」の目的とは、自立支援です。 教育とは、子どもたちが受け身になって知識を先生から教えてもらうことでしょうか。 自分の頭で考えて、仲間たちと話し合って、自分たちで判断して、みんなに伝えていく。ボクは、子どもたちがそんなふうに自立していくのを支援することが、教育の役割だ と思っています。 自分の力で課題と向き合い挑戦した体験は、自信を育みます。
2)ボクが考える「子ども」とは、体の小さい一人の人です。 みんなの前に立ち、教師という役をやる子どもたちは、何ヶ月もかけて準備しなければなりません。授業の日、本番に臨むときは堂々たるティーチャーに変身します。 子どもだから心配。できないかも?なんて考え方はボクの中にはゼロ。 子どもたちを「子ども扱い」しません。 大人と比べれば体は小さいけれど、一人の人として信頼し、どんどん任せていろいろ やってもらう。そうすると、次から次へとできるようになっていくから不思議です。 信頼し任せることで、子どもたちの可能性は驚くほど膨らんでいきます。
3)ボクが考える「学校」とは、生きていく力を身に付ける場所です。 学校と、学校の外をくっきりと線引きしたくはありません。 教育が社会と切り離されてしまったら、何の意味もないからです。 学校は、子どもたちが「社会で生きる力をつける」ための学びの場所だから。 世の中の空気や社会の出来事を教室の中に呼び込み、毎日の授業とつなげていくような学びの体験を、ボクは子どもたちと共有したいと思っています。
4)ボクが考える「友達」とは、 チームワークの楽しさを分かち合う相手です。 クラスは、一つのチームです。 一人一人が全体の目標に向かって努力を重ね、得られた成果をみんなで分かち合うの がボクのクラスの特徴です。クラスが一つのチームになれば、一人でやっている時よりも何倍も楽しい。挑戦する 勇気も湧いてくる。 仲間たちと力を合わせれば、元気ももらえる。 掃除でも授業でも運動会でも、チームワークの楽しさを体験して、いつまでも忘れる ことのない最高の思い出にしてほしい。それが人生を生き抜く力になると思うから。
(5) ボクが考える「教師」とは、子どもたちの能力を引き出す人のことです。 子どもたちが持っているもの。それは無限の可能性。 どんな子でも、一人一人が可能性を持っています。先生の仕事とは、それを見事に開花させる、きっかけを生み出すことです。 この五つが揃えば、「世界一のクラス」と胸を張って言えると思っています。
(以下、読売新聞より)「書き順いくよ。一、二、三」。黒板の前で新しい 漢字を教える「先生役」の児童に合わせ、全員が空 中で指を動かす。3月、東京・世田谷区の東京学芸大学附属世田谷小学校4年1組。先生役の児童の席には担任の沼田晶弘教諭 (35) が座り、ノートを代筆する。「自分が教えると思うとよく勉強するよ」 と女子児童。 このクラスは、みんなで選んだ「内閣」が学級を リードし、授業の運営にも関わる。
総理は班の中で 交代で務め、文部科学、環境、厚生労働の各大臣の 下に各省を置く。国民ならぬ「クミン(クラス民)」 のため、「文科省」はテストの予想問題も作る。毎 週の選挙で「政権交代」もあるから、成果にはこだわる。 沼田教諭は、アメリカでスポーツ経営学やコーチ ング論を学び、大学教員から転じた異色の経歴の持 ち主。2年前、担任になった初日、「君たちを信じ て任せる」と宣言した。
以後、最も意識してきたの は、やる気のスイッチをあえて「切る」ことだった。 授業の45分間集中し続けるのは難しいが、緩急を つければ勢いづく。朝の会で30秒間限定のスピーチ 練習。わっと騒いで一瞬で沈黙する練習。3度手をたたいたらその人に注目。最初はゲーム感覚だったが、すぐに子どもたちは、「オン」「オフ」を切り替 える快感に目覚めていった。
忍者のように校内を静かに移動。全校集会が始まった瞬間、全員で姿勢を正す。給食を毎日完食する。 自分たちで考えて達成するのが面白くなり、一体感 も生まれた。 給食後の掃除は、内閣の段取りの力の見せ所だ。 先生がパソコンで流す3曲の間で終わらせるため、 係は決めずに全員で流れを見て動く。ほうきは同じ 方向に掃き、使ったぞうきんを誰かがまとめる間に 机運び。子どもたちがテキパキ動き回る中、先生は 机で家庭学習ノートにコメントを返すのに集中して いた。
やる気の秘密の探求心引き出す 「納得感」 「今2曲目の半ば。急いで」。トランシーバーで内閣メンバーが特別教室への出張掃除組に連絡した。 ダンダンダンダン。全員席につくまで机を打ち鳴ら し、総理の合図でハイ、終了。一瞬で子どもたちは遊びに散った。開始から約1分。当初の半分に短縮 し、昼休みに遊ぶ時間も増えた。「子どもがいいから先生が取材されるんだよ」。 子どもたちの冗談交じりの言葉に、先生はニヤリ。「自分たちならできる」という自信こそ、クラスの最大 の財産だ。 (『読売新聞』 2011年5月20日朝刊「教育ルネサンス」)

沼田氏の授業はありとあらゆるところで工夫されています。やる気という言葉を使わないで、やる気が自然に出てしまう方法です。目標はたったの二つ。一つ目は「世界一楽しいクラスにすること」、二つ目は「何でも自分でできる人になってもらうこと」。これは、子どもだけではなく、大人にも使えるメソッドです。「ぬまっち」の授業、恐るべし!です。

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