これからの10年で、これまでの1世紀を上回る富が創造される
今日のおすすめのお一冊は、ピーター・ディアマンディス&スティーブン・コトラー氏の『2030年すべてが「加速」する世界に備えよ』(NewsPicksパブリッシング)です。ブログも同名の「2030年すべてが「加速」する世界に備えよ」で書きました。
本書の中に「エクスポネンシャル」に対するこんな文章がありました。
新たなエクスポネンシャル・テクノロジーが生まれるたびに、そこにはインターネットと同じ規模の機会があると見ていい。インターネット自体について考えてみよう。音楽、メディア、小売業、旅行、タクシーなど多くの産業を破壊してきたと思われがちだが、マッキンゼー・グローバル・リサーチの研究では、インターネットによって消滅した雇用が1とすれば、新たに生み出された雇用は2.6であることが明らかになった。
これからの10年で、同じような機会が何十という産業で生まれるだろう。インターネットがベンチマークになるならば、これからの10年で、これまでの1世紀を上回る富が創造されるだろう。起業家にとって(幸い最近は環境や社会に対する意識が高い起業家も多い)、これほど恵まれた環境はなかった。
シードキャピタルを調達するまでにかかる時間は数年から数分に縮まった。ユニコーンが誕生するまでの期間、つまり「いいアイデアがあるぞ」から「10億ドル企業を経営している」という状態にいたるまで、かつては20年かかった。それが今日では、たた1年の冒険でそこまで到達できるケースもある。
残念ながら、既存の大手組織はなかなかついていけない。今日の大企業や政府機関は別の世紀につくられた。その目的は安全と安定、言葉を変えれば「時代を超える生存」だ。急速かつ劇的な変化に耐えられるようにつくられてはいない。イェール大学のリチャード・フォスターが今日のフォーチュン500企業の40%が、まだ私たちが聞いたことのないようなベンチャーに取って代わられ、10年以内に消滅すると予想するのはこのためだ。
社会制度も同じように適応に苦しんでいる。教育制度は18世紀の産物で、子供たちをバッチ処理して、工場労働者に仕立てることを目的としていた。しかし今日の世界はまるで違っている。教育制度が今日のニーズに対応できないのはこのためだが、苦境に陥っているのはそれだけではない。
なぜ離婚率はこれほど高いのか。理由の一つは、結婚は4000年以上前にできた制度だということだ。当時は10代で結婚し、40歳までに死んでいた。つまり結婚制度はせいぜい20年の拘束という前提で成り立っていたのだ。しかし医療の進歩や寿命が延びたことで、今では結婚生活は半世紀も続くようになった。そうなると「死が二人を分かつまで」の意味もまったく変わってくる。
要はこういうことだ。すぐ先に待ち受けている未来を見通し、来るべき事態に適応する機敏さを持つことが今ほど重要だった時代はない。
【2028年の朝】ときは2028年。あなたはオハイオ州クリーブランド郊外の自宅で朝食をとっている。立ち上がり、子供たちにお別れのキスをして、玄関へと向かう。今日はニューヨークのダウンタウンで会議がある。あなたのパーソナルA1はスケジュールを把握しており、ウーバーの自動運転車をすでに呼んでいる。一歩外にでると、玄関前に自動運転車が滑り込んできた。ここまで時間は10秒もかかっていない。
睡眠センサーを装着しているので、A1はあなたが睡眠不足であることをわかっている。自動運転車での移動中は仮眠のチャンスだ。ウーバーはもちろん、横になれるフラットシートと清潔なシーツを用意している。
車兼ベッドは最寄りのハイパーループの駅まで運んでくれる。そこですっきり目覚めると、高速ポッドに乗り換えてクリーブランドの中心部に向かう。高層ビルの屋上からマンハッタンのメガ・スカイポートまではウーバー・エレベートで飛ぶ。地上に降りると、ここでもウーバーの自動運転車が待っていてい、ウォール街の会議の会場まで運んでくれる。ドア・ツー・ドアの所用時間は59分だ。
コンピューティング用語を使うと、この未来像は「人間のパケット交換」だ。つまり優先項目(スピード・乗り心地・コスト)を選択し、始点と終点を指定すれば、あとはシステムがすべて引き受けてくれる。手間もかからず、すべてが行き届き、バックアップ体制も万全だ。
「エクスポネンシャル」とは今日のブログにも書きましたが、「指数関数的」のことです。普通は1の次が2で、次が3というふうになっていますが、「エクスポネンシャル」は1の次が2で次が4で、次が8というふうにこれを10回繰り返すと幾何級数的な数字になります。グラフでいうと急カーブを描いて上に上がっていく感じです。ある時を境に、急に世の中がまるっきり違う世界になってしまうということです。シンギュラリティという概念もこれが基本になっているそうです。
秀吉と曽呂利新左エ門のこんな話を思い出しました。
あるとき、豊臣秀吉は曽呂利新左エ門の功績をたたえ、何でもほしいものをやろうと言いました。すると、新左エ門は、今日は1銭(米1粒という話もある)、翌日には倍の2銭、その翌日には更に倍の4銭と、毎日倍のお金を100日間もらうことを希望しました。それくらいならたいしたことはないと秀吉は簡単に承諾しましたが、数日後にもう一度計算してみると、100日後には大変な金額になることがわかり、頭を下げて褒美を変えてもらったという話があります。
1銭を今の1円として計算すると、1ヶ月後にはなんと10億円を超えます。これを成長曲線(成功曲線)といいます。最初のうちはまったく変化のない一本の線ですが、あるときから爆発的に右肩上がりに急上昇するのです。まあ、努力もこれと同じで、最初の頃は全く変化がありませんが、続けていくと、ある時を境に脅威的な成果が得られる、という話でもあります。
「これからの10年で、これまでの1世紀を上回る富が創造される」…
エクスポネンシャル思考、恐るべしです。
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