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「点と点をつなぐ」ということ

今日のおすすめの一冊は、小野和俊氏の『その仕事、全部やめてみよう』(ダイヤモンド社)です。この中から『「谷」を埋めるな、「山」を作れ!』という題でブログを書いてみました。

本書の中に、ブログには書ききれなかった、小野和俊氏の素敵な文章があったのでシェアします。

国産RPGの金字塔『ドラゴンクエストⅢ』には「遊び人」という職業があり、レベル20まで育てると、「賢者」に転職することができる。子どもの頃は「なぜ遊び人が急に賢者になれるのだろう?」と疑問に思ったものだ。だが大人になって考えてみると、このシステムは極めて示唆に富んでいるように思える。というのも、現代においては、「遊び」を極めることで賢者への道が開けることが往々にしてあるからだ。
例えば、iPhoneの発明などで知られるAppleのスティーブ・ジョブズには有名な逸話がある。スティーブ・ジョブズは大学時代、学校に通い続けることに意味を見いだせなくなり、退学を決めた。そこからは必修科目ではなく、興味のある授業にだけ潜り込むようになった。そこで出合ったものの1つが「カリグラフ」。文字の形状の美しさに関する学問だ。当時は何の役に立つとも思えなかった経験が、後に「美しいフォントを持つコンピュター」であるマッキントッシュの誕生につながったのである。
スティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学卒業祝賀スピーチにおいて次のように話し、このカリグラフの事例のように、「役に立つようには思えない」ことが将来につながっていく様子を“Connecting the dots”(点と点をつなぐ)と言った。
もちろん当時は、これがいずれ何かの役に立つとは考えもしなかった。ところが10年後、最初のマッキントッシュを設計していたとき、カリグラフの知識が急によみがえってきたのです。そして、その知識をすべて、マックに注ぎ込みました。美しいフォントを持つ最初のコンピュターの誕生です。もし大学であの講義がなかったら、マックには多様なフォントや字間調整機能も入っていなかったでしょう。
もし私が退学を決心していなかったら、あのカリグラフの講義に潜り込むことはなかったし、当時は先々のために点と点をつなげる意識などありませんでした。しかし、いまふり返ると、将来役立つことを大学でしっかり学んでいたわけです。繰り返しですが、将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎあわせることなどできません。
できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない。運命、カルマ…、何にせよ我々は何かを信じないとやっていけないのです。私はこのやり方で後悔したことはありません。むしろ、今になって大きな差をもたらしてくれたと思います。
この話は極めて示唆的だ。「役に立つように思えなかった何か」に没頭したことが、ある日、自分の取り組むべき仕事に直結し、それがイノベーションにつながる。だが、とり組んでいるときは何も見えない。没頭してとり組んだすべてが、何かに必ずつながるわけではない。しかし、こうした引き出しを持っているかどうかで人生は違うものになってくる。
「役に立つかどうか」だけで物事を判断すると、すでに役立つことが証明されていることにしか時間を使わなくなる。だが、「役立つ」ことが明らかになってからでは遅すぎる。「役だつ」ことが証明されている分野では激しい競争が起きるからだ。

まさに、「役立つかどうか」で判断しないで、好きなことをやっていくというのは、今日のブログのテーマである「山をつくる」につながります。誰もが考える「役立つこと」はもうすでにレッドオーシャンです。それよりも、今までやってきた一見全く関係なさそうに見える何かと何かをつなげる、すなわち「点と点をつなげる」と、とんでもないところ(ブルーオーシャン)へ到達するのかもしれません。

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