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オーディエンス・デザイン

今日のおすすめの一冊は、堀田秀吾氏の『「勘違い」を科学的に使えば武器になる』(秀和システム)です。その中から『明らかに「いまのほうがいい」』という題でブログを書きました。

本書の中に「オーディエンス・デザイン」という興味深い話がありました。

友人と2人で楽しく話していたとき、たまたま通りかかった別の友人が話しかけてきて、それまでの話ができなくなってしまう......みたいな経験はありませんか? 

これは、とくにその友人に聞かれたくない話をしていたわけではなくても、2人だけで話していたのを、ほかの人に聞かれていたかもしれないと思うと、何かしらの戸惑いが出たからだと考えられます。 

アラン・ベルと いう社会心理学者が提唱した「オーディエンス・デザイン」という考え方があります。 これは、話の聞き手は、目の前の相手だけではなく、まわりにいる人、たまたま通りかかる人、盗み聞きしている人の4層に分かれるというものです。 

先ほどの例で言うと、目の前の相手にだけ話していたつもりだったのに「たまたま通りかかる人」の存在を急に意識することになって、自分なりのモードの切り替えがおこなわれたのだと推測できます。 

この4層を、どこまで意識するかで、話し方や内容はまったく違ってきます。 オーディエンス・デザインのような考え方を意識していても、無意識的であっても、 私たちはそのことを理解しています。ちょっと言いづらい話をするとき、ほかの人に聞かれる状況でしたら、ヒソヒソ話になるのは、その典型です。 

近年、インターネット社会になって、政治家のパーティーなどでの失言がニュースになることが多くなっていますが、これも完全にオーディエンス・デザインの問題です。つまり、オーディエンスに関する勘違いが原因になっているのです。 

政治家になれるような人たちは、頭が悪いわけではなく、むしろ優秀です。だからこそ、目の前の相手がウケるようにと、場合によっては際どい発言もします。 ただ、インターネットやSNSの負の面を十分に理解していない人もいるため、その発言が目の前の相手以外に広がったときのこと、すなわち目の前以外のオーディエンスが意識できないのでしょう。

 実際、ニュースで失言とされている発言も、パーティーの現場では、ドッカンと受けていることがほとんどなのではないでしょうか。「目の前のオーディエンスには大受けしても、その外側のオーディエンスが聞いたら大炎上」という話題は、政治家でなくとも日常的にしている人はかなりいるはずです。

実際、内輪の会で話した「ここだけの話」が、あっという間に広がってしまっていることは多々あることです。「誰々が〇〇さんを嫌いと言っていた」などのおいしい話題はすぐに広がります。

特に政治家の内輪のパーティでのスピーチも、前後の文脈からすればかなり気の使った話であったとしても、悪意を持って、センセーショナルな部分だけを切り取られてしまう場合があります。

SNSの時代は「オーディエンス・デザイン」を考え、まさに「壁に耳あり障子に目あり」という意識が必要なのだと思います。

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