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結婚に至るまで共に歩んできたマンガたち

子どもの頃、マンガは子どもだけが読むものだと思っていた。
だから、電車の中でマンガ雑誌を読む大人を見て不思議に思ったことをよく覚えている。

それから何十年と経ち、自分も子どもをもち年齢的にも充分大人になったけど、今も毎日マンガを読む。マンガを読むこと、マンガを読む時間に癒やされる日々。

そんなマンガ好きな自分を構成するマンガを5つ。
5つ選ぶこと。いやーー難しかった!!!けれど、選んだ5つそれぞれに思い入れがあるので、じっくりこってり語りたいと思う。

1 言語化できない魅力『お父さんは心配症』

「りぼん」「なかよし」「ちゃお」と言えば、三大小中学生向け少女マンガ雑誌。
女子同士なら「断然りぼん派」「いやいやなかよしでしょー」「え、ちゃおが好きなんだけど・・・」「全部読む!!」・・・なんて、それだけで数時間盛り上がれてしまいそう。
私は「りぼん」を愛読していた。王道の恋愛ものが多く、「ときめきトゥナイト」「姫ちゃんのリボン」「天使なんかじゃない」等の名作を数多く輩出している「りぼん」だが、当時異彩を放つ作品があった。

それが「お父さんは心配症」

佐々木光太郎は、高校生の娘を持つ中年のサラリーマン。妻に先立たれ、娘が非行に走ってしまわないかと心配するあまり、常軌を逸した行動に出てしまう。一方、心配症の父を持つ典子は、父の心配など必要ないほど、よくできた娘。彼氏の北野くんも、近年まれにみる好青年であり、清い交際を続けている。ところが、父の心配症は、ますますエスカレートして、友人・知人を巻き込んだ、異常な大騒動を繰りひろげる。(Wikipedia参照)

ストーリーを読む限り、心配性が過ぎるお父さんと娘のお話かな・・・。
いえいえ、読んでビックリ!!そこには常軌を逸したギャグマンガが繰り広げられている。お父さんことぱぴぃは「心配性」ではなく「心配症」。そう「心配という病」であるぱぴぃが繰り広げる壮大なギャグマンガなのだ。それだけでは犬猿されそうだが、読むと少女漫画を読んでいるとは思えぬ斜め上のストーリーに、笑わされ泣かされ、気がつくとすっかり虜になっている。(印象深いキャラクターは、ぱぴぃのお見合い相手の寝棺竹子さん。病弱で不良息子の一郎がいるんだけど、何かいい親子なんだよね〜。)

30代~40代女性であれば読んだ人も多いであろう、岡田あーみん作品。
いい意味ではじめて体験する変態な世界。連載3作品のみなのに、多くの人の心に何かしらを残していく伝説の漫画家。
岡田あーみんを見いだし載せようと決めてくれた、りぼん編集者さんの先見の明と勇気に感謝しかない。

今も実家に捨てることが出来ず・・・いや捨てたくないマンガの筆頭として鎮座している。どうしても無性に読みたくなるあーみんワールド。なぜこんなにも取り憑かれるのか。未だにうまく言語化できない。それこそが魅力なのかもしれない。あぁ、あーみんワールドを語り明かしたい。


2 愛憎って言ったら『海の闇、月の影』

「りぼん」から「別マ(別冊マーガレット)」へ。という王道恋愛漫画路線を歩んでいたのだけど、もちろん「花とゆめ」や「少女コミック」を読む友人たちもいた。

その影響を受けどっぷりとハマったのが「海の闇、月の影」。

仲の良い双子の姉妹・小早川流風と流水。
送別会としてハイキングに出かけた女子陸上部の面々は、雨宿りで入った古墳の中で壁が崩れた途端に異臭を感じて倒れる。皆が息絶えていく中で、双子だけが生き残った。
ウィルスにより超能力を得た双子。他人をウイルスに二次感他者を自由自在に操る力を身につけた流水と、それに対する免疫抗体を体内に持つ流風は、争いながら時には協力しながら、新たな能力者たちと出会い、それぞれの愛憎が絡んで行く。(Wikipediaより抜粋)

SFです。
しかも、バッサバッサ人が殺されていく(ウィルスに感染させることも含め)。でも絵がとても綺麗で、あまり抵抗感なく読めてしまう。
ウィルスにより得た能力で、たくさんの人を自分の思うとおりに動かすのに、最愛の人だけは手に入らない双子の姉、流水(ルミ)と、能力を使いこなせずたくさんの人を失ってしまったけど、最愛の人だけは側にいてくれる妹、流風(ルカ)。
一人の男性をめぐる双子の葛藤と、ウィルスによる能力が周りの人たちを巻き込み、世間を揺るがす事態に。壮大なSFなんだけど、根底にあるのは双子の愛憎。「愛憎」なんて、サスペンス物でしか出会ったことがない中学生時代。はぁ〜、愛すると憎むって表裏一体だし、体力がいることなんだな。と読めば読むほど感じ、「愛憎」と言ったら「海の闇、月の影」を思い出してしまうように。
こんなにもハラハラドキドキ、次巻が待ち遠しくて仕方ないマンガは初めてだった。(ちなみに登場人物の中で、犬のシンが一番好き。ツンデレ感と頭のよさと多分イケメンなので最高!!犬だけど・・・。)

物語のラストシーンが、悲しいし悔しいけど、これしかないって思えて涙が溢れて溢れて・・・。マンガでこんなにも感情が揺さぶられ涙が出たのは初めてで、忘れられない作品になった。

全11巻となかなかの量だったので、妹と二人で半分ずつ買って全巻揃え大事にしていた。でも引っ越しの際、二人で納得して売っちゃったっけ。あぁ、もう一度全巻大人買いしたい!!


3 甘えてもいいんだよ、と教えてくれた『きみはペット』

今思えば、大学生はあまりマンガを読まなかった気がする。
部活やらバイトが忙しく、誰かと過ごすことに重きを置き一人で過ごす時間をあまりもたなかった。その反動か、社会人になってからまたマンガをたくさん読むようになった。

だんだんと読みたくなる作品も働く女性、悩める女性ものが多くなった。そんなときにピシャリとハマったのが「きみはペット」。

巷談新聞社に勤める巌谷澄麗(スミレ)は、モデルの様な容姿と明晰な頭脳を持つ才色兼備のキャリアウーマンだが、本当は繊細で恋愛に不器用。失恋と左遷でストレスを抱えていたある日、スミレは家の前に転がっていたダンボールに捨てられた青年・合田武志を見つける。かつて飼っていたペットに似ている彼を見て、スミレはペットとして暮らす事を提案すると、意外にもすんなり受け入れられた。そんな2人の奇妙な同居生活を描いた異色ラブコメ。

当時、一人暮らしをはじめて買った手触りのよい抱き枕に「モモ」と名付けてしまうくらい、このマンガにハマっていた。酔って帰った日には「モモ〜!!」と抱き枕をぎゅうぎゅうして眠ったなぁ・・・。

三人兄妹の真ん中っ子で育ったせいか、妙に小さい頃から自立心が強く、親にも恋人にも友人にも甘えるということが苦手だった。
そのせいか、主人公のスミレちゃんのハイスペックさは1ミリも持ち合わせていないけど、不器用で人前で泣けないスミレちゃんがほんの少しだけ近く感じて、そのままを受け入れてくれるモモ(武志)の存在が羨ましかった。
犬のモモの前では何でも素直に言えて泣けるスミレちゃん。もちろん人間のモモ(武志)は、なんでも黙って聞いていてくれるだけではない。それでもモモ(武志)はスミレちゃんを絶対的に信じている。自分を信じてくれている人がいるってなんて心強くて安心できるんだろう。安心できると人って甘えられるんだよね。

つい「わたしは、大丈夫」と言って甘えられない。自分なんて・・・とついネガティブになってしまう。そんな悩める女性にオススメしたい!!
あれ、そういえば抱き枕のモモはどこへ行ったんだろう・・・。


4 自分で自分の枠を決めるな!と教えてくれた『もやしもん』

マンガは恋愛ものが大好きなんだけど、実生活ではマンガのようにうまくいかない・・・。人生でどん底に悩み精神的にまいっていた頃、出会ったのが日本酒。(お酒に逃げたとかではありません。)
もともとお酒を飲める体質で、学生時代から男子に混じって飲んでいた。甘いお酒からショットで飲むようなお酒も節操なく飲んでいくうちに、うまくはいかなかった恋と引き換えに日本酒にどっぷりハマることに。
(noteでは日本酒のことも多く書いています。)

そこから、飲むことはもちろん座学も楽しくて仕方ないときに出会ったのが「もやしもん」。

「農大で菌とウイルスとすこしばかりの人間が右往左往する物語」(作者の説明より)

あらすじが簡単すぎるので少し補足すると、農大に入学した菌が見えてしまう男子大学生とその仲間たちのお話。日本酒に興味をもった人は読みたくなる菌やら醸造の話が盛りだくさん!!これで楽しく知識が・・・という気持ちもあったけれど、純粋におもしろかった。
大学って専攻によって学ぶものは全く違ってくる。よりニッチな大学・学部を専攻するってことは、自分の進みたい道がより明確に見えているようで羨ましかった。農大なんてその最たるものでは!?そう思っていたけれど、彼らも農大を目指す理由も入った理由も様々。そして将来について悩む気持ちは同じなんだな〜と。

そして一番心に残っているのが「もやしもん」8巻。
過去にSNSであげた言葉を引用すると

自分の枠をとっぱらえ!
頭でっかちで、食わず嫌いで、素直じゃないわたしの頭をガツンと殴られた感じ。
そして、わたしが求めてるもの、理想としているものがここにありました。
自分で自分の枠を決めちゃいけないね。

8巻では地ビールにあまりよいイメージを持っていなかった武藤(主人公の先輩女性)が、ビールと向き合うことで自分自身とも向き合い、自分が出来ることは何なのか。考えて動いて導き出す答えが最高で、読んでいるうちに泣いちゃったよね。なんなん、マンガで泣いてばっかり。
8巻が発売されたのは今から10年以上前のこと。今はクラフトビールと呼ばれることが主流となったが、当時は地ビールと呼ばれ少し感覚的に違うところもあるけれど、今読んでもうなづく言葉がたくさん並んでいる。最初に書かれているビールの基礎知識もとても勉強になる!!

ビールを通して大好きな日本酒のことを改めて考えさせられた大切な作品。お酒好きはもちろん、発酵に興味がある人にもゼヒ読んでもらいたい。知識量がハンパない。


5 結婚への背中を押してくれた『恋のたまご』

30代、悩みの中心には結婚が・・・。
周りはどんどん結婚していき、一人暮らしの期間は長くなる一方。子ども?欲しいかな・・・でも怖い気もする。えっと、みんな結婚相手とどうやって出会ったの!?運命ってあるの!?え、好きってなに!?いやーもう分かんない。

そんな迷走真っ只中に出会ったのが「恋のたまご」。

30歳のOL・小日向眞子。恋も仕事もうまくやってきたつもりだったけど、思いもしない人生の転機が次々と訪れて!? 眞子の恋の行方と成長を描いたステップアップ・ラブストーリー。

「おいしい関係」「Real Clothes」などドラマ化もされている槇村さとるのマンガ。
正直他の作品に比べると主人公もストーリーもどちらかと言えば地味で平凡。でも、だからこそリアルで刺さる部分がたくさん・・・。主人公が「好きってなんだ?」と悩んだり、夢の中で本音と建前が交錯したり。「一緒に暮らすって結婚しよってことじゃないの!?」とパニくったり。
この漫画、主人公の眞子と対比的でメンター的存在でもあるともちゃんの言葉がまた、うぅぅ痛い!!ってくらい刺さるのだよ。本音でしか生きられないともちゃんは、理解されにくいし敵も作りやすい。でも、自分にも他人にも素直に生きている。すごい!!でも今更そんな風には生きられない・・・友人として近くにいてくれたらいいな〜。イラッとするだろうけど。

そんな「恋のたまご」の中で、眞子が結婚について考える中で出した答えが

「私 ひとりでも生きていける人間になりたい
 不安でも自分をはげましていける人間になりたい」
「約束のできる自分になりたい
 私と約束を交わしてくれる人に出会いたかった」

どこかに結婚までのレールがあるんじゃないか。
結婚すれば今ある不安や迷いは消えるんじゃないか。
一人では不安だけど、二人なら何とかなるんじゃないか。

そんな風にどこかで思っている自分がいた。でもレールなんてないし、結婚したって不安は次から次へやってくる。自分の不安は(相手がいることで減ることもあるとは思うが)自分でうまく付き合っていくしかない。
旦那さんは結婚は覚悟だと言う。それが納得できたのはこの作品に出会ったのが大きかったと思う。覚悟と約束はちょっと違うけれど、納得できた。納得できたから結婚しようと思えた。そして今、自分は自分の不安と付き合いながら、側で受け入れてくれる人がいる安心感で想像よりずっと楽しくやっていけている。
結婚してよかったと思えている。


***

マンガが自分に与えた影響は大きい。
要所要所でマンガは、背中を押してくれたり、進みたい道を見せてくれたり、自分の視野を広げてくれたり、心に残り続けたり・・・。
今もどんどん新しい作品が世に出てきている。これから自分はどんな作品に出会え、どんな作品に心惹かれるのか。そんなことを思うとワクワクする。
はぁ、マンガって最高に楽しい!!

***

noteで出会ったマンガの師匠でもあるたけのこさんが、この#自分を構成する5つのマンガをもとに、なんと性格診断をしてくれた!!
※現在性格診断の募集等はしていません。

これがまた恐ろしいことに、えらく当たっている!!もうね、たけのこさんのマンガ知識量がすごい。そして分析力がまたすごい。他の方が読んでも当たってる!!という楽しみはないと思うが、その分析力を見てもらいたく貼った次第です。

「バカになれたらいいのに」これが心の奥にあるから、「お父さんは心配症」に心惹かれるのではないか!?と合点いたしました。
ありがとう、たけのこさん。

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