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専門家、コロナを語る。#3は墨田区保健所長の西塚至さんへのインタビューです。

全国でワクチン接種が加速しています。パンデミック前からの準備の不足や政権の説明のまずさなど大丈夫かよと思うことが多い中、それでも人口あたり死者数が世界の中で低い水準に保たれているのは、疫学調査や検査の体制を整え、医療へのアクセスを少しでもよくするために日々、知恵を絞ろうとする現場での工夫があってこそ。


今回、私は、2回接種済ませた人の割合が「全国水準の3倍」で進む墨田区保健所長の西塚至さんにインタビューしました。政策決定の中枢にもいろいろ問題がありますが、「事なかれ主義」は市町村の現場にもある。


西塚さんの墨田区はそうでなく規制緩和の通達を見逃さずに民間検査機関を誘致する(だから区独自の変異株PCRも)、あるいはワクチンを小出しに要求せず100%確保する。そうした積極姿勢に応じて地元医師会が「墨東病院(地域唯一の感染症指定医療機関)を守れ」と協力したことで、あの第3波の1月以降「入院待機者ゼロ」を続けられるーー自己責任、リスクを取って住民の不安に応えようとする姿勢が、結果につながっているように感じます。

行政のコロナ対応で日本がぶちあたっている壁は「官邸主導」の限界だと思います。これは別稿にまとめていますが、西塚さんの話を聞いていると、「官邸主導」が温存される背景として、リスクを取らない方がいいという、隠然と続く「事なかれ主義」が行政にあるのではないだろうか、と思えてきます。

昨日も今日も明日もその先もずっと、そして危機が来てさえ変わろうとしない体質と決別し、さまざまな取り組みにチャレンジしていかないと、なかなかコロナ収束後の社会を見通すことはできないのではないかしら、と考えさせられました。


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