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見えない障がい者雇用

障がい者雇用の記事で私の文章が止まってしまった。事実だけを書いても「障がい者」と「健常者」の溝は埋まらない。伝わらない。文明が出来てから数千年たっているのに、それを文章にして伝える言葉がない。

見えない見えないと言っても仕方がないので、それをともかく思うままに雑文にしてみようと思う。

伝わらない障害・伝わる痛み

私たちの人間の脳は、人の痛みを目で見て伝播するという能力があるらしい。映像でみた傷やケガと苦しむ人に共感する事が出来るし、この時に脳に痛みに似た信号が発せられているという。

だから私たちは「見える障がい者」に対しては、昔から問題視する事が出来たし、解決の努力がされてきた。

しかし、人の身体は「見える部分」だけに痛みや問題が発生するわけではない。頭痛には身体スキャンして異常が見えるものもあるが、現代の医学では問題個所の画像が粗すぎて分からない事の方が多い。なにせ脳の神経細胞シナプスやニューロンはマイクロメートル(1000分の1ミリ)単位の世界であり、CTスキャンの解像度は0.5ミリ、MRIスキャンの解像度が1mmほどであって、現在一般的に臨床に使われているレベルでは血管以上は確認できても神経異常は見つけられない。※研究レベルではもっと細かい画像のものも存在します

機械でも見えない障がい者をどう認知するか

機械が分からない問題を、人間が理解するのは難しい。障がい者が「共感してほしい!」と口で頼むのは簡単だが、相手がそれを受け取ってくれるとは限らない。ひとりひとりに障がい者手帳を見せて歩くのも奇妙な行動だ。見えない障害をバッヂ等で表すのも手だが、相手がそれを認識してくれるかは別問題だろう。

見えない障がいを認知する。ただ知るだけの事が、私たちには出来ない。これは一般社会だけでなく福祉や医療現場でも感じる事だ。医師や看護師が、自ら患者になって初めて問題に気付く事も多いと思う。専門家ですら、認知できないのだから一般人にそれを理解してもらおうというのは、かなりハードルの高い作業だ。

なぜ障がい者が社会に出なくてはいけないのか?

日本には「障害年金」というものがある。それを貰って暮らせばいいのではないかと思われるかもしれない。だがふたつの問題がある。

まずは受給できる人と、受給できない人がいる。障がい者なら誰でも受給できるわけではない。まして、見えない障がいは社会的にも認知されにくく、行政的にも受給対象にするのが難しい。

もうひとつは「年金受給対象でも、それだけでは生活できない」事だ。障がい者と言えば、家族と暮らして介護を受けながら暮らしているイメージが強いのかもしれない。実際の年金受給額も、労働出来ない「障がい者2級」でさえ10万を超えて受給している人は少ない。それでも家族の世話になっているならギリギリ生活費にはなるだろうが、現代はそうではない。

特に精神に問題がある場合、家族とは独立して生活する必要があるケースが多々見られる。10万では生活できないが「一般労働が出来ない障がい者」はどうしたら良いのだろうか。

搾取される障がい者たち

障がい者が働く現場にはいくつかのパターンがある。福祉・行政が関わる会社。家族が経営する会社。独立して働く障がい者。

正直なところ、福祉・行政が関わる会社は内部公開できるところが少なく、上手く行っているとは言い難い。労働搾取であったり、パワハラであったり、障がい者への配慮がされていない場合も多い。

家族が経営している会社へ就職できる者は運が良い。だが、そんな恵まれた環境の障がい者は一部だろう。

独立して働く事が、ある意味では自分で仕事も生活もコントロールできるので良いと思うのだが、これには一種の才能や性格も関わってくる。障がい者にはいつも勧めているのだが実際にそれが出来る者は極わずかだ。

未来はどうなる?

いまフリーランスから法整備により見直しが始まっている。大企業に務めて年功序列・終身雇用制度は既に崩壊しており、大企業も次々と人員整理しての規模を縮小せざるをえなくなるだろう。それは人員が多いほど時代に適用できなくなるからだ。

フリーランスによる働き方は、自身で何もかも手続きを行わなくてはいけない。税金も保険も自己管理だ。しかし上司の配慮を求める必要もなく、労働搾取もなく、あとは大企業からの下請けイジメが解消されれば、働き方としては非常に快適だといえる。

障がい者雇用に未来は見えない。行政は必死に対応してくれているが、医師でも判別がつきにくい問題を行政が対応できるかは不透明だ。

「自分の身は自分で守るしかない」というのは、世知辛い世の中であるが、今の時代に家族まで守る事すら困難な状況では、障がい者にまで意識を届けてくれというのは難しい注文なのかもしれない。

運よく、今は誰でもPCを手に入れられる時代になった。手さえ動けば仕事の大部分がこなせる。上司のいない仕事の仕方もぜひ試してみてほしい。

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