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ちょっとうんざり、だけど心温まるような、母の愛のかたち

今回はSHElikesのwebライティングコースで書いたエッセイを、恥ずかしいけど、noteに載せてみることにしました。

エッセイの課題として出されたテーマは、
「家族と贈り物にまつわるエッセイ」

自分なりに考えた簡単なペルソナや設定はこちら↓
ターゲット:20代後半~30代前半男女、小さな子供がいる。両親が遠方に住んでいる。
思い出の写真をミニカレンダーにし、送る「レター」というアプリを使用している人。使用しようか検討している人に向けて。

今回は、最近の母とのエピソードを書いてみました。
初めて「エッセイを書こう!」と思って、自分と向き合って書いたエッセイなので、公開するのがめちゃくちゃ恥ずかしいのです。
ですが、これからwebライティングコースを受ける人やライティングコースの課題が実際にどんなものか気になる人の参考になったら良いなと思い、載せてみることにしました。

ついでに、アイキャッチもCanvaで初めて作ってみました。作ったと言っても文字いじった程度ですが(笑)

これが私のエッセイストの始めの一歩ということにします。
ではでは、本編へ~!

ちょっとうんざり、だけど心温まるような、母の愛のかたち


娘と母は似ている。
自分はそんな風に思ったことは1度もなかった。
やや過干渉で保守的な母と自由奔放に生きてきた私。いつも視点や向いている方向が違ったので、意見が食い違いぶつかることも多かった。それでもいつも明るく賑やかな母のことは好きだったけど、徐々に実家の居心地が悪くなり、高校卒業と共に家を出た。


ピンポーン。インターフォンが鳴る。モニター越しに見えるのはいつも青いボーダーか、緑に黄色のストライプ柄のポロシャツだ。

インターフォンの通話ボタンを押して「今行きます」とだけ返事をし、テレビリモコンの電池の蓋をこじ開け取ろうと躍起になっていた息子を抱えて、玄関に向かう。もちろん1人で玄関に向かった方が楽なのだが、息子は絶賛後追い中。玄関までいっしょに連れていかなれば、これから迎え入れる客人どころか、お隣さんもドン引きの大声で泣きじゃくる。玄関ドアの内側には、磁石で貼りつくプラスチック製のマルチポケットに印鑑やポールペン、マスクも入っている。これだけ揃っていれば、全て片手で用事が済ませるのだ。

大体2日に1回はポロシャツの彼らと会っている気がする。

昨年の春、息子が生まれて以来なんでもかんでもネットで買っている。息子が好きな牛乳瓶の形をしたパンや有機栽培のバナナ、ミモザの柄でおしゃれなのに丸洗いができるカーペット、お家で気持ちよく過ごせるステテコ、保育園からのお便りを入れる壁付けラック。たぶん、ネットで買えないものってないんじゃなかろうか。少なくとも私が欲しいと思うものはすべ全てネット上で見つけられた。

そして、彼らと頻繁に会ってしまうのはそれだけの理由ではない。
おおよそ200kmの遠方に住んでいる母のせいである。
数日に1度は連絡が来て「もうすぐ保育園だよね。これ、送っといたから。」「これ可愛くない?どの色にする?」「パジャマ可愛くて選べなかったから全部買ったちゃった。」と次から次へと息子へのプレゼントが送られてくるのだ。

息子は1歳にして積み木3種類、パジャマ10枚、ズボンも10枚、Tシャツに至っては15枚も持っている。

「みてね」という、画像や動画を家族で共有できるアプリがある。私や夫が息子の写真を毎日のように投稿し、家族みんながこぞってそれを見てくれている。「みてね」には、いつ誰が見たのかという履歴が残る。中でも母は、それはそれは頻回に「みてね」を見ているようで、いつ履歴ページを見ても母の履歴が「数分前」になっている日が度々ある。さらに息子に何か起ころうと、起こらなかろうと”孫ちゃんあのおもちゃがブームなの?””孫ちゃん鼻水よくなった?”と毎日のようにラインが来る。彼女は本当にフルタイムで仕事をしているのかと心配にさえなる。

本音を言えば、少しめんどくさいなと思うこともある。
頻回な荷物受け取りや受け取れないときの再配達設定。月に数回しか回収のない段ボールは直ぐに溜まって場所をとっているし、仕事や育児の合間を縫って写真や動画をアップし、毎日ラインの返信をする。疲れているときはそれらが億劫になり、再配達通知書が溜まり、写真をアップする頻度が落ち、ラインの返信も遅くなってしまうときもある。

でも、ふと思い出したのだ。
息子を産んだとき、私は里帰り出産をしたので1か月ほど実家に帰っていた。そのとき時も母は、私がなにも頼んでいないのに薬局に行けばおむつを買って、スーパーに行けば粉ミルクを買って、衣服量販店に行けば大量の肌着を買ってきていた。私がいくらだった?と財布を出そうとするとその度に母は「これから先、こうゆうことでしか助けてあげられないから。いいの、いいの。」と言っていた。

そう、この大量のプレゼントは、あの高く積みあがった段ボールたちは、母の愛なのだ。母にとって息子は初孫であって、ただただ可愛くてしかたがないというのも事実だと思うが、遠く離れ暮らす孫と娘への愛のかたちなのだ。

そして、我に返ってみたら、私も母も同じことをしていると気づいた。結局私も息子のものばかりをネットで買い、イタチごっこのように母と変わらない頻度で「みてね」に履歴を残している。
今は二人とも同じ視線を息子に向けている。意見なんて食い違うはずもない。ただただ息子が可愛いのだ。

母に、少しでも恩返しをしたいと思うようになった。私に何ができるのかを考える。母が一番欲しいものは分かっている。息子と直接会える時間だ。でも現実、それをすぐに叶えるのは難しい。

考えに考え、ググって、ググった末に、「レター」というアプリでマンスリーフォトをカレンダーにして毎月送ることにした。
息子が成長する喜びを共有できたらいいなと思ったのだ。まん丸で真っ白なキルトの上に息子を寝かせ、お気に入りのくまのぬいぐるみを抱かせて、写真を撮り、それをカレンダーにする。前月のカレンダーの写真と比べると成長が一目で分かる仕組みである。

1歳の誕生日、ついに息子を連れて久しぶりに実家に帰省した。リビングの白い壁に12枚の息子たちが横一列にとてもきれいに並んでいた。


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