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『雲の色とか』

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既発表の自作短歌を集めています。 H26年1月~現在。 H28年「異人の祈り」にて第一回石井僚一短歌賞候補 H28年7月号から短歌人会。
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2020年3月の記事一覧

『短歌人』2020年4月号掲載五首

ロウバイが真つ先に咲くわが庭のうす透明な希望のかたち

極寒の地に身を沈め一年を耐へにしことの大切な繭

褒められることはなかりし長文の別れの手紙の愛の総量

あさまだき駅 駐車場に入らんと生涯初の逆走したり

お下げ髪とめる最後の黒輪ゴム濡れたやうなるシリコンの艶

『短歌人』2020年3月号掲載五首

待ち合はせ半時間まへに来てしまひ掃除の人の邪魔になりたり

朝までにシーツはよれてよれよれのこころで何度寝返りしたか

白菜をキャベツの代はり食感のしやりしやりとなり冬の焼きそば

霜つつむしろき河原のひろがりは静けさ深く迷ひこむ岸

なぜかしら欅の枝の先までも光をつけて祝ふ冬の日