映画感想 シンドラーのリスト

 こんにちは。ここ数日、雪がひどくて外に出る気が全く起きず、家で映画ばっかり観てます。そんな私が最近見た映画で特に印象に残った映画「シンドラーのリスト」の感想を書こうと思います。
 名前だけ聞いたことがあるけど、長いし古いから見たことがない。という人も多いのではないでしょうか。私もその一人でした。結論から言うと、私はこの作品を絶対に見ることをオススメします。

あらすじ 

 舞台は第二次世界大戦の真っ只中。ドイツ人実業家でこの物語の主人公、オスカー•シンドラーはポーランドの工場でユダヤ人を作業員として雇い、事業を成功させていた。 女遊び、金儲けにしか興味がない様なシンドラーだったが、ユダヤ人たちが住むゲットーでの、ユダヤ人たちに対する残酷な扱いを目の当たりにし、彼らを救い出すことに尽力する様になる-

感想

 初めに、この物語は実話を元に作られた作品であり、ほとんどの主要な人物は実在していた人物である。
 そういった特性の映画であるため、この作品には二つの大きな価値が生まれている様に感じる。1つ目は、単純に映画それ自体の価値。つまりそのストーリー構成や音楽、役者の演技を評価軸として鑑賞した時に、どれもハイクオリティであり、高い価値があると言うこと。2つ目は、歴史作品としての価値。この作品では、ナチス兵がユダヤ人に対して行った残虐な行為が鮮明に描かれている。ユダヤ人に対してナチスがした残虐行為で最も有名なのは、アウシュヴィッツ収監所での大量虐殺である。しかし、ナチス軍のユダヤ人迫害、いわゆるホロコーストは日常的に行われており、アウシュヴィッツでの出来事はそのほんの一部でしかない。私たち現代に生きる人間は、この出来事を反面教師として、二度とこの様なことを繰り返さない様にしなければならない。この作品はそれを見た人全員に訴えかけてくると言う意味で、歴史作品として大きな価値があると言える。

 私自身、この作品がどこまで脚色されているのか知らないが、主人公、オスカー・シンドラーの人物像というのはとても魅力的である。彼は多くのユダヤ人を、自分の全財産を使って救った英雄であることには間違いないのだが、完璧な善、日本でいう仏の様な存在ではない。彼は、戦争特需による一儲けを狙い、ポーランドの都市クラフクへやってきて、そこでユダヤ人を使い、自らの資産を築き上げたのだ。そして、映画でも描写されていた様に、彼は遊び人であり、女遊びや酒などに多くの金を費やしていた様だ。そんな彼が最後には自身の財産を全て使ってまでユダヤ人を一人でも多く救おうとする心境の変化が、この映画の見どころといえるだろう。
 この作品は基本的にあえてモノクロで撮られているのだが、赤い服のユダヤ人少女だけがカラーになっている。赤い服の少女の動向はシンドラーの心境の変化に大きく関わっている様な描写がされている。この一部をカラーにして主人公の心境に影響を与える、そして視聴者の印象にも残らせるという手法が私自身とても面白いと思ったのだが、この手法は、どうやらスピルバーグが日本の映画界の巨匠黒澤明にリスペクトを込めて使った手法らしい。
 この映画は、私たち鑑賞者が楽しんで見れるように脚色した作品でありつつも、映像として戦争の残虐さ残酷さを伝え、私たちに実感を与えると言う点で他の映像作品とは一線を画した価値が生まれていると感じた。

 

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