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社長の振る舞いと希望

我々昭和世代にとってSKY-HIと聞いたなら千の顔を持つ男のテーマ曲であった。それがいつからから端正な表情とラップとシンガーソングライター、トラックメイカーとして活動している人物の名称となっていた。

そして今やSKY-HIは新しい代表取締役社長CEOとしての在り方を芸能の世界に、いや業界を跨いで見せつけている。そんなSKY-HIへの思いを川田十夢が書いている。

新しい経営者像を見事に印象づけたSKY-HIである。川田十夢がナビゲーターを務めるJ-WAVE、INNOVATION WORLDに出演してそのイノベーターぶりを余す所なく披露してくれた。(その模様はこちらから読めます。)

ボーイズグループ発掘オーディション『THE FIRST』社会現象とも言えるくらい話題を集めていることはネット越しに知った。

その主催がSKY-HIであること、そういえばINNOVATION WORLDの学生向けに開かれる講座でそのよう構想をSKY-HIが語っていた記憶はあったがこんな大きな波になっていることは知らなかった。

だがSKY-HIのオーディションから誕生したアーティスト集団『BE:FIRST』の存在はデビューシングルがリリースされる前だというのに世界的な注目を集めている。

彼らのミュージックビデオのコメント欄には世界各国の言語が飛び交っており、黄色い歓声を通り越してレインボーと言ってほどの熱い熱が集まっている。

その様子と彼らのパフォーマンスを見る限り、これは世界に広く受け入れられるだろうと思った。パフォーマンス動画がミュージックビデオとなんら遜色がないのである。7人全員歌もダンスも歌唱もラップもゆるぎがないのだ。BMSG代表取締役社長CEOのSKY-HI、見事。

川田はSKY-HIの振る舞いに芸能界だけでなくビジネス全般を主軸とする人たちにとって、かなり参考になる。と言う。新しい世代とどう向き合うのか。どうしたら未来を背負う才能と出会えるのか。育てられるのか。それらのヒントがSKY-HIにはあると言う。

現在のSKY-HIをクリエイティブ無双。そんな風に川田はSKY-HIのことを評している。AAA時代のSKY-HIはその端正すぎる容姿からアイドル扱いされていた。音楽についてクリエイティブであっても評価には結び付かなかった。本望ではなかったろうと川田十夢は推察する。

その推察は自身の会社員経験に多少なりとも基づいていた。10年間のメーカー勤め。自らが強いられてきた不条理な修行期間を、新しく入ってきた人にも当然のように課したくなる気持ちが、とくに中間管理職には必ずある。と、自身も特殊な形(当時の社長からスカウトされたのである。)で入社した経緯がある。クリエイティビティがメーカーでどんな評価に結びついたのか。どんなに特許を取得しても組織にあって出る杭は打たれるもの。SKY-HIと同様の思いをしたのかもしれない。

しかしSKY-HIには自らが舐めた辛酸を絶対に踏襲させてなるものか。という意志が感じられる。川田の番組に出た時、SKY-HIは川田のこの指摘にこんな風に答えていた。

日高 それは丁寧にお話をすることが一番才能を伸ばすはずだと思っていたからであって。製作中というのは当然番組が盛り上がる盛り上がらない、三月四月つまり放送開始の段階では合宿が終わっている形になっているので反響を得られているかわからない段階で合宿をやっている時にもっと厳しくしてるシーンを撮りたい、みたいな事を言って下さるスタッフもいたんですけど。 
厳しくしてる場面を撮った方がこれはオーデション番組なんだし。みたいな事を言われる事もあったんですけど彼らのためにならないのでシンプルに今頑張らないと難しくなってしまうよ。ということを伝えるやさしさはあると思いますし、技術的に足りない事を指摘するとかは当然やらないといけないと思いますけど人が伸びる時って向かう道筋が拓けてる時と言うか。
努力の方向を自分だけで定めるのは不安だったり迷いだったりが大きいのであなたが指してるコンパスの方向でそのまま真っ直ぐ行けば大丈夫ですよっていうのを丁寧にやって行くことが一番、単純にそうされた方が自分が嬉しいですし。だからそう言った事をされた記憶が今までないので、反面教師が多いかも。

そして、自分のその思想を反面教師たちへの『やさしい復讐』だと言っていた。かっこいい、社長!!

川田十夢だってこの基本姿勢に頭が下がった。最初から簡単に出来ることではない。本当に実力がある者だけが示すことができるである。と全力で認めているしグッと来ているのである。

そこには通底するSKY-HIの設けた三つの審査基準も大きく影響しているようだった。クオリティファースト、クリエイティブファースト、アーティシズムファースト。
川田はこの柱を具体例を交えて解説している。クオリティファースト=パフォーマンスの基礎的能力。クリエイティブファースト=音楽を考えて生み出す能力、アーティシズムファースト=ステージ上で自己の能力を示す能力。この審査過程でのSKY-HIの振る舞いを川田は特筆する。

どの審査過程においても、SKY-HIは全身全霊で反応をする。いい音楽とパフォーマンスには、自らも身体を動かして感動を示す。いい時も悪い時も、言葉を尽くす。なぜ順位を落としたのか、なぜ評価したのか。なぜ落とさざるを得ないのか。余すところなく伝える。この姿勢にも胸を打たれた。全員分のコメントを用意するだけでも難しいのに、個々のメンタルそして技術的な段階を踏まえてその場で何を伝えるべきのなのか。何を伝えないべきなのか。言葉を選んで、ときに言葉を詰まらせながら考えを伝えた。と。

この川田の観察には川田自身の審査員としての経験が反映されているだろう。審査をするには"その世界ごとに自分の物差しを持っていなければ審査も出来ないし、審査員にもなれない。"と以前語っていたが、自分の感覚に自信がなければ審査も断言も出来ない。自分の感覚を信用できないようでは誰のことも判断出来ないのだということがよくわかる。

しかし川田十夢の心をこんなにキュンキュンさせるSKY-HI。若者たちの前でも常に理想的な新しい形の経営者として存在していた。経営センスのことをクリエイティブと呼んでもいいかもしれない。

現役で一線で活躍するアーティストであるSKY-HIは若者たちの前でパフォーマンスを披露する。成功事例の具体としてハイクオリティなパフォーマンスを披露して見せるのは何よりも説得力があり、権威的になることも威圧することもなく彼らを導ける。関係性のフラットさ同様、出し惜しみしない姿勢に川田のみならず私もキュンキュンさせられるのである。

川田は開発者であると同時に芸能の業界にも詳しい。エンターテインメントのど真ん中でアーティストたちとコラボレーションして来ている。そんな川田の耳にSKY-HIの悪評が入ってこないという。おなじ業界から嫌われないのは圧倒的だからかもしれない。私財を投じてのオーデション企画。

誰のバックアップも必要とせずにSKY-HIはやってのけたのである。しがらみも因習もぶった斬って。真摯にその世界に務める者なら応援したくなるだろうと思える。

私個人の印象ではその言葉、振る舞いからいわゆる"いいとこの子"感をバシバシ感じる。家柄という意味ではなく親御さんからのしっかりとした教育と愛情を受け取っているのだろうと。その思いはSKY-HI実家ワンマン配信動画をみて確信に変わった。いまや川田に負けるとも劣らないSKY-HI好きになってしまっているのである。愛を知る人の揺るぎない努力が好きだ。やさしさが好きだ。卑屈に逃げ込まない人間の朗らかさが滲んでいる。

日本ではあらゆる才能が認められない現状がある。政治も経済も芸能も、あらゆる業界が狭い日本にのみ囚われて世界のことを見ていない。SKY-HIはそんな中、ひたすらに世界に通用するボーイズグループを作ろうとしたのである。祈りという表現を川田十夢が使っているがまさに祈りのような願いの結実がBE:FIRSTなのである。

まだその伝説は始まったばかり。社長であるSKY-HIが現役のアーティストであるということもBE:FIRSTにとっては幸いに働くだろう。感覚に嘘をつかず、自分より若い世代に深い敬意を持ち、言葉を尽くす。アーティストとしても経営者としての側面にもなんの乖離もない。川田十夢が彼らに希望を見出し露骨に参考にしてゆきたい。という気持ちがよくわかる。

川田十夢も経営者であり表現者である。同じように言葉を尽くす。親御さんに愛されて育った。愛を知る人の揺るぎない努力が好きだ。卑屈に逃げ込まない朗らかさが好きだ。完璧主義で気難しいところも。それらがあますとこなく作品に反映されるところも。

多分にBE:FIRSTファンの皆さんもSKY-HIファンの皆さんとも共通する気持ちじゃないだろうかと内心思いつつ川田十夢のSKY-HIへの想いを読んだ。

(黒字は川田十夢/『社長SKY-HIに学ぶ、新しい世代との向き合い方』より引用)



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