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本当のコラボレーションと誠実

六本木ヒルズで10月9日、10日両日にINNOVATION WORLD FESTAが行われた。テクノロジーと音楽の融合だし、時代の今ここが指し示されるフェスだ。

昨年は配信のみ。今年は六本木ヒルズのアリーナを使用して有観客でのトークセッションやライブの模様が配信された。

その目玉としてアジアン・カンフー・ジェネレーションとAR三兄弟のコラボレーションがあった。その詳細について川田十夢が書いている。

本人も冒頭で断っているが、これはとくに貴重なこと。なので多くのARにまつわる仕事をなさる方、XRで何かをやろうとなさっているかた、DXとはなにかということを今ひとつ掴めないビジネスマンの方。CXの向上に務める企業の方。イノフェス見たら読得しかしないですよ多分。

川田十夢は表現者としてのみならずその全体を見渡す稀有な存在。今回は感想文というかとにかくこの下のリンクを押して、読んでね。という気持ちで書いている。

そんな稀有な存在がアジカンのライブをAR三兄弟として演出した。INNOVATION WORLD FESTA、通称イノフェスに於けるアーティストとのコラボレーションは毎回楽しみで仕方ない。

もちろんAR三兄弟がコラボレーションするアーティストが私にとって馴染みのあるアーティストばかりということはない。
正直、アジカンについては私はあまり馴染みがない。もちろん大ロックバンドなのは知っている。さらりと聴いたことがあるだけでもすごく世界を持っていて素晴らしい曲を演奏していることは知っている。そういう距離感だからこそ新しい世界が広がるということがある。

とは言え、AR三兄弟がどのようにアーティストを拡張するのか。どのようにアーティストがそれにより変容するのか。川田十夢とその兄弟たちが全身全霊で立ち向かうその姿こそをみるのが楽しみという、いささかいびつで本来から逸脱した目線でコラボレーションを楽しみにしている。

自分の理解をこえた場所ではるかに遠くに輝くステージを眺めながら美しいものを見れてよかったなとか ミュージシャンってやっぱりかっこいいんだな、と言うふわふわしてキラキラした気持ちになって「うおおおおおおお俺たちの川田十夢!!」みたいな感じになっている。

なぜかというと。名だたるアーティストとコラボレーションができることがまずもってすごいから。『影響を受けた相手に影響を返す』と川田十夢はよく口にする。
アジカンは今年25周年。AR三兄弟は12年。アジカンに影響を受けたと川田十夢は言っていた。(もちろん数多のアーティストたちに影響を受けているのは明白。)

その影響を受けた存在と仕事をするというのは影響を受けた存在にまず、認められることから始まるのだし、存在を認められ、コラボレーションをしてその年に初めてその真価が問われるのだから。
もちろん失敗は許されないし、どこまでもそのアーティストを解釈するのか、解釈してどう演出するのか、その演出をアーティスト本人から認めて貰えるのか、その演出がどう響き合うのか。本番のその時までずっと走り続けるのだろうと思う。

偉大なアーティスト相手にその一歩を、踏みしめて踏みしめてコラボレーションが出来るのだとしたら。そしてその果てのアーティストへの川田十夢の解釈を可視化してARの演出として見せてもらうのだとしたら。そりゃあ私のような立場の者にとっては最高な時間だ。音楽がある、川田十夢の演出がある、AR三兄弟の真骨頂である。それに歓喜するオーディエンスの高揚がある。

そしてライブが終わる頃には大抵ミュージシャンもAR三兄弟も「かっけえええ」となっている。そう、今回で言えばゴッチはやっぱかっこいいなぁと思いながらみてしまった。AR三兄弟の演出を目で追うつもりが気づいたらゴッチを見ていた。でも、それってものすごく正しい演出を川田十夢がしていたと言うことにならないだろうか。

川田十夢の noteを読んでもらえばわかるのだが演出としては掟破り型破りなことを今回していた。しかし、概ね好評でアジカンのファンも喜んでくれたらしいし、私のような川田十夢のマニアも喜んだ。それが喜ばれるのはなぜか?構造として拮抗した強さがあるからだ。いわばアーティスト同士の真摯な表現のもとに作られた世界はどちらの力不足でも成立しないものだ。確固たる世界を持ちながらただただアジカンへのリスペクトがそこにはあった。深い、深い解釈と共に。

川田十夢にしかできない解釈の深さがある。それが表現として空間に解き放たれている。ARステージというARが付加価値として存在する空間で楽曲を邪魔するような演出絶対出来る筈がない。拮抗する力のある者同士が表現と表現で会話できたからこその美しさがあった。
それはけしてのっぺりとした美しさじゃない。川田が言うように『ただ美しいだけのものは嘘っぽい。拡張現実的ではない。』下らないものも惨めなものも一切合切を含めて森羅万象を内包させる強度のある美しさだからこそ私を惹きつける。

ラジオでも語っていたがARを出すだけですごいと言ってもらえる現状で何を起点にして何を表現して何を表現しないのか。その答えをアーティストに求めるのではなくアーティストの表現から導き出し表現で会話するのだ表現者同士は。壮絶だと、思いませんか?

実は2018年に予定されていたアジカンとのコラボレーションは台風によって中止された。その中止に川田十夢という男は大層心を痛めていた。双方のファンに対しても、現場を去る盟友のようなスタッフに対しても。多くの期待と多くの喜びを背負って台風というどうすることもできない気象相手にどうにかしたいと思うのが開発者でありテクノロジーを扱う男の気概である。

そのリベンジ、本当の意味のリベンジが今回果たされたことになる。数年で大きくARの技術は進化した。その全てを導入して挑んでいた。
そういうステージだったと思う。私は私の力不足で読み込む力が足りなくて取りこぼしていることがたくさんあるし、テクノロジーのことはわからないし、すごいとしかいいようがないのだけれども。と言うことで、配信をみれるならどうぞご覧になってみてください。17日夜23時59分までみれるはず。


私が書いてる意味が伝わるかと思います。そしてなんなら糸井重里と川田十夢、早川聖来のトークセッションもご覧になって欲しい。台本なしで語る三人のことばに目が眩みますよ。おすすめです。そして斎藤幸平さんとのセッションもとにかくやばかったです。

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