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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか4】ビザ取得大作戦(2)フランス大使館とのおつきあい

ビザが必要なのは私自身である。私が申請せねばならぬ。まずは一度、フランス大使館のホームページを開いてみるかな、と思うじゃないですか。前向きだなあ、私。
 ビザが欲しい人はここを読んでねって書いてあるから、読むでしょ。そうか、渡航予定日の3か月前からしか申請できないんだ、ふむふむ。一回は東京の大使館まで本人が出向く必要があるのね、ふむふむ。本当にあなたはビザが必要かどうか、確認するためにここをクリックしてねって書いてあるから、クリックするでしょ。そのとたん、あーら不思議、日本語が消えました。あれ?
 後で分かった、クリックした瞬間、日本のフランス大使館から離れて、フランス外務省に飛ぶらしい。その結果、フランス語、英語、中国語、スペイン語、アラビア語、ロシア語、つまり、国連の公用語しか使えない、わけです。
 おっと、と思った瞬間、私は速攻でページを閉じましたね。今日はここまでにしといてやるかって。で、翌日、昨日のは何かの間違いでは、って、もう一回最初からトライするでしょ。で、また閉じる、と。
 何回かそれをやって、諦めました。うん、分かった、英語読む。でもね、今、12月なの。私は高校3年生の担任なの。それなりに進学校なの。今から2月ぐらいまでが忙しさと緊張のピークなの。辛いんだけど。くすん。

 すんすんしている場合ではないのである。6歳ならともかく、60歳がすんすんしていたところで助けはどこからも来ないのである。何のための英検1級か。いやほんと、勉強続けてて良かったわ。そうでなかったら、母国語が使えない中で仕事と妊婦の両立やってる娘に全面的に頼って、ぶち切れさせてるところだったわ。もう来なくていいって言われてるわ。

 フランス外務省の英語の森を探索した結果、どうやら「ファミリー・ステイ・ビザ」というのを取ることになるようだ。書類を整えて、オンラインで申請する、申請は3か月前から可能、それから実際に大使館に出向く、そのためには事前にアポイントメントを取ることがマスト。平日の午前中しか開いてない。それは分かった。
 しかし、書類は申請するときにオンラインで提出するのか(だったらpdfにしておかないといけない)、それとも紙で提出なのか、大使館に行くアポイントメントも3か月前からしか取れないのか、それとも、もっと前からアポ自体は取れるのか、それが、どこを読んでも答えを見つけられない。

 そこで私、意を決して大使館に電話しました。はい、職場で勤務時間中にこそこそと。だって、平日の昼間しか電話繋がらないんですもん。
 電話、すぐに取ってもらえました。そして、フランス語でまくし立てられました。おっと。黙ってたら、日本語に変わりました。
 「あの、ビザの申請について、ちょっと伺いたいことがあって、それでお電話差し上げたんですが…」
 「電話での質問はお受けしておりませんので、メールでお願いします」
 「は、はい、分かりました…」。電話代返せ。

 これに先立って、一時帰国中の婿が、「東京に住んでる日本人がフランス大使館に日本語でメールしてもなかなか返事が来なくて、その配偶者のフランス人がフランス語でメールしたらすぐに返事が来たって言ってた」と語っていた。
 ということは、私がメールしてもダメってことじゃね? というわけで、婿に頼んでメールしてもらった。しかし、返答は要領を得なかった。「ビザの申請は3か月前からしかできません」、それは分かっとるっちゅーねん!!!

 フランス大使館の場所を検索すると、口コミが載ってたりする。見なきゃいいのに、つい見てしまう。大使館の「広報部」とコンタクトがあった人とか、大使館主催のイベントに参加した人とかの書き込みは、「とても丁寧に対応していただきました」「素敵な場所で、エレガントな時間を過ごさせていただきました」的なのに対して、「ビザ」関係になると、「ふざけんな、おい」的なものも散見される。ひええ。
 3月に息子から、「フランス大使館のビザ部にヤバい女性がいる。めっちゃ怖くて意地悪」という「ネットで仕入れた情報」を聞かされた。「別にフランス大使館について調べたわけじゃなくて、それでもこういう情報が流れてくるってことは、相当やばめなんじゃないの?」と。ひええ。母は頑張るよ。

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