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【私の年のせいなのか ここが日本じゃないからか54】退院まで(4)Day1③

 ここから体勢を立て直さなければいけない。まず、情報収集だ。二両が連結した大きなバスだが、古い型らしく、電光掲示板は遠くにしかなくて,人が邪魔してよく見えない。壁に貼られている路線図を見る。ふむ、このバスはこの路線を走ってて、今いるのは、きっとここ。どこかで降りないと郊外まで連れて行かれてしまうようだ。
 次に判断力だ。どこで降りるのがいいかというと、乗り換えのバス路線がたくさん書いてあるところにしよう。娘夫婦のアパルトマンは鉄道駅の近くで、どれか一つぐらいは駅へ向かうバスのはず。よし、二つ先のバス停で降りよう。

 比較的大勢の人が降りるバス停で降り、改めてスマホさんと向き合う。歩いて10分ぐらいのところのバス停で別のバスに乗るらしい。ちょうどこの時期、トラムの路線が3つ工事中で、バスによる代替輸送が行われている、そのバスに乗ることになるようだ。トラムが動いていたら、バスよりもずっと簡単なんだけどなー。

 この時点でアプリを使いこなせてないので、Googleマップさんの力を借りて、てくてく歩いて、トラムの駅=臨時のバス停に着く。インド系と思われる女性が一人立っている。きっとこの人もバス待ちね。良かった、この人にくっついていけばいいのよね。数メートル離れた日陰でバスを待つ。
 乗るべきバスが来た。あれ、さっきのあの人、何も動かない、バス乗らないの? え、バスが通り過ぎようとしている、待って待って、乗ります乗ります、慌てる。止まってくれた。長い連結バス、ドアが開かない。あ、一番前が開いてる、あそこから乗るのか。前のバスに乗ったときは、全部のドアが開いたけど、あれは降りる人がいたからなのね。一番前のドアから乗り込む。ちょうどそこへ3人連れの若いお嬢さんが駆け込んできて、私の後ろから乗り込んだ。運転手さんが何か怒鳴ってる。私に?お嬢さんたちに?どっちも? いいの、もう。乗れたから。

 後からバスの中の掲示を見て気づいた。バスに乗りたいときは、乗りたいバスに向かって手を挙げなきゃいけないんだ。そうでないと、降りる人がいない限り、バス停に人がいても通り過ぎてしまう。そして、乗るのは原則一番前のドアから。こういうことも、経験しないと分からない。日本でも普段バス乗らないからな。

 バス内は空いていたので、腰掛ける。次の失敗は、慌てて一番前に座った結果、前過ぎて電光掲示板が見えないこと。まあいい。トラムC路線の代行バスであれば、家の目の前を通ることは間違いない。そこで降り損なっても、鉄道駅の前で止まるから、そこでは大勢の人が乗り降りするだろう。そこで降りればいい…と思っていたら、結果的に家のすぐ近くのバス停で降りることができた。

 私のバス初チャレンジは、こうして終わった。ぜーはー。今日はこんなもんにしてやるがなあ、明日以降、今回の学びを生かしてリベンジしてやるぜ。
 予定していた帰宅時間より15分ぐらい遅くなった。シャワーを浴びて、持ち帰った洗濯物を入れた洗濯機を回して、夕飯を作る。婿は23時近くに帰ってきた。お疲れ様。

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