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「オープンテック(Open Tech)」とは

オープンテックのイメージ(MS Copilot)

オープンテックとは、情報、ノウハウ、データ等の共有、コピーを、情報の所有者、作成者らの合意の下、合法的、円滑に進める仕組み、技術、またそうした取組のことである。情報等のシェアには、一定の手続きが求められる。クリエイティブ・コモンズなどが典型例だ。手続きに基づかない形での不正なコピー、改ざん等は認められない。あるいは仕組みとしてそれが排除される方向で取扱われることになる。

現在では、Wikipedia等のweb上の公開データベース・サービス、プログラム開発等の領域に止まらず、改ざん防止の暗号技術(公開鍵暗号技術 等)、ブロックチェーン技術、その他のネットワーク技術を用いて、ゲーム、通貨、NFTによるアート作品等にも応用されている。

なお、この「オープンテック(Open Tech)」という名称は、自分なりに名付けたものであるが、プログラム開発、オープンソース等の領域では、「(ホワイト)ハッカー文化」というような形で、かねてから言われている、既に普及した基礎的な概念・考え方である。

この取組の分かりやすい意義として、何らかの情報発信者が、問合せ等に個別に対応することが面倒となり、自分が知っている情報、ノウハウなどをオープンな場所に書いておく、ファイルを置いておく。それをFAQのような形で、誰もが自由に参照する。そのことで、繰り返しの煩雑なコミュニケーションを回避するということが挙げられる。タイトルから、一見、とっつきにくいと思う向きもあるかと思うが、このような取組が社会の基盤ともなる領域の一部で、脈々と広がっているというとイメージしやすいだろう。もともとインターネット技術自体が、こうした性格を備えている。

歴史的には、1990年代のインターネット黎明期に、プログラム開発者の貢献を認めつつ、それをシェアする文化を広めるため、特にOSやアプリケーション開発において、オープンソースイニシアティブ(OSI)などの活動として展開されてきた。古くはUnix、Linuxの開発とアップデートの取組みが有名だ。近年では、特にタブレット端末で普及しているAndroid OSや、ブロックチェーンのEthereumなどでも展開されている。また、日本初としても、Tron OSという組込み系では現在でも大きなシェアを誇る技術が発展してきた。

取組の効果として、プログラムのベースとなる部分(OSのカーネル等)やルールとなる事項を共通化、公開して、不特定多数のプログラマーの参画を得て、イノベーションが起こりやすくする、ということが知られている。

公開を前提としたコミュニケーションを行うことで、情報の拡散を意図したり、相互の信頼関係の醸成に役立てようとすることも推奨される。これは、情報発信意図を明らかにした拡散希望の表明として理解できる。その意味で、こうした技術、取組は、オープンマインドの人には当然のこととして理解されるが、そうではない人にとっては、理解不能、意味不明な取組に映ることも多いのではないか。例えば、「何か別の意図を隠しているのではないか。」・・・など。筆者としては、当然のこととして、広く普及されるべきという立場を取っている。情報の自己制御権、自己統制権が担保されるのであれば、オープンな情報、技術は、メリットが大きいと考えている。生成AIが普及しつつある現在だからこそ、ソースやその情報発信意図、立場が明示されない不確かな情報が拡散され、また、それが止められなくなる事態は望ましくない。

この技術の応用領域として、土地や不動産等の財産や会社等の社会的な管理のみならず(登記制度)、芸術作品等の知財の存在・所有証明、改ざん防止、資格・能力の証明、個人情報の一元的な自己管理などを促進させようとする取組であれば、何にでも応用できると考えられる。例えば、公開鍵暗号技術を見ると、公開鍵をオープンにする側面と秘密鍵の秘匿性を確保する側面があり、この技術がもともと様々な技術の組み合わせで成り立っていることが分かるだろう。ブロックチェーン技術も同様だ。こうした技術に支えられた無人管理、自動化の技術としてのスマートコントラクトの普及にも期待したい。

今後、このテーマについても考察を深めていきたい。特に、ブロックチェーン、Web3技術に注目していく。

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