エリックとエレンと龍安寺
京都は、東の左京区・哲学の道近辺の寺に魅了されたことがある。
修学旅行では、金閣寺・銀閣寺・清水寺・平安神宮・嵐山とまあ黄金コースを廻ったけど、何故か龍安寺の石庭を観ていないことに気が付いた。
「やべー、行っておかないとな。」
東京から京都までは、安い深夜バスが新宿から出ていた。
切符買う→寝る→朝の京都
すごくシンプル。
目が覚めると京都駅前のバス停にいる。当然だけど。
そこからあまり覚えていない。多分地下鉄とバスで龍安寺の前までなんとかたどり着いた。
龍安寺の門の前にお土産屋さんがあって、僕はちょろちょろと覗いていた。
さて、龍安寺に入ってみようかな。
と、そこに外国人カップルを見かけたので、挨拶しました。割とその頃はいい気分でいられる時間が長かったので。
「はろー」
そしたら、挨拶返ってくるわけですよ。英語が少しできるから調子に乗って一緒に龍安寺観ようと。
で、龍安寺の中も結構広くて、渋みがあるのですね。
緑豊かな夏、天気はいい。
彼氏の名前はエリック、彼女の名前はエレン。
カリフォルニア(たしか)から来たそうです。姓が違ったから夫婦じゃないと決めつけていたけど、わからないですよね。
「ところで、日本のどこが好きなの?」
「例えばこの寺の苔とかすごく気に入ったよ、平和だしね。」
そんなやり取りをしつつ、エリックとエレンを写真に写した。少し太っていて笑みを浮かべているエリックとスラリとして感じのいいエレン。
龍安寺の石庭を見て綺麗だなと感じながら、有名な上の写真のつくばい(後からレプリカだと聞いたが)を見た。
吾唯知足
私は(自分が)足りているということを知っている
かな?
帰りに池で再びエリックたちと出会い、
「俺たちは、金閣寺に行くけどどこに行くの?」
と聞いてくるので
「僕は銀閣寺だよ。」
と答えた。
「そっか、じゃあここでお別れだな、ありがとう。」
「写真送るよ。」
そして僕は、銀閣寺行きのバスに乗った。
銀閣寺の後、哲学の道で寄りたい店もあったから。
そして結構時が経つけど、2人の写真は送られないまま引き出しのどこかに眠っています。
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