見えないあの娘
こう見えて(?)私はあまり喋ることが得意ではありません。文章を書くのは好きだし、歌詞を書くのも好き。でも話すのは得意ではありません。
どうしてかなぁと考えたりしたこともあるけど、自分でもよくわからない。多分、会話のスピードについていけないんじゃないかな?って最近は思っています。
咄嗟に自分の意見や考えを求められると、「え?私はどう思ってるんだろう?」って考えるところから始まるので、会話のスピードに乗れないのかな?
っていうか、みんなは常に、自分の意見や考えがすぐに言えるの?
急な質問にすぐに答えられるの??常にハッキリと明確な考えを持ってないとそんなの無理じゃないの???不思議!笑
私は文章を書くのが好きだけど、それは、ゆっくり自分の頭の中や心と向き合いながら、自分自身と対話をするように書けるからじゃないかと思います。書き進めながら、あぁ、私こんなふうに感じてたんだなぁって、少しづつ気持ちが整理されていって、初めて自分の本当の気持ちに気づいたりすることもあります。
もしかしたら人よりちょっとマイペースでのんびり屋なのかもな?思考という点において。いや、それとも普段あまりにも何も考えてないのかも・・?
先日、行きつけの美容サロンに行った時のこと。
いつもお願いしている担当のお姉さんと、いつもどおり個室で施術を受けていたのだけど、その日はあまり会話も弾まず、静かな部屋でお姉さんが作業する音だけが響いていました。
私は半分うとうとしながら、会話がないのを特に気にすることもなく過ごしていたのですが、そんな時、隣の個室に新しいお客さんと担当のお姉さんが入ってくる声が聴こえました。
「○○さん、髪切ったんですね~!すごく似合ってますーー!」
「そのバック、可愛いですねー!」
「少し痩せましたー?」
と、少し高めの担当さんの声。
「こんなに短くしたの初めてなんです」
「バーゲンで安かったんですよぉ~」
「え~、全然、めっちゃ食べてます」
少し落ち着いた感じのお客さんの声。
お客さんの声を聴きながら、私の頭はいろいろと想像を始める。
髪はショートかな?
ボブくらいにしたのかな?
声の印象から、少しボーイッシュな感じの顔をイメージして、大学生くらいかな?ちょっとぽっちゃりかな??
次々と繰り広げられる話題、洋服の話、何色が似合いそうとか、ダイエットに効果的な食事とか、最近美味しかったもの、仕事が忙しい、ずっと立ってるから足がむくんで困る、とか。
あ、働いてる人なんだなぁ、
立ち仕事ってことはショップの店員さんとかかなぁ。
ピンクの口紅が似合いそうな感じかぁ、、
少しづつ情報が付け足され、私の中で隣のお客さんのイメージが少しずつしっかりしてくる。
ひとしきりファッションやらドラマの話に花が咲いた後で、お客さんが付き合っている彼氏の話を始めた。
美容師さんで忙しく、あまり連絡をくれないらしい。しかも遠距離恋愛で、月に一度くらいしか会えないのにLINEもくれない、という。美容師って本当にそんなに忙しいの???と少し疑っているよう。
担当のお姉さんは、
「えー!それはすごく寂しいですよね!!」
「おやすみ、だけでもいいからLINEして欲しいですよねー!!!」
「でも私も昔美容師さんと付き合ってたことあるのでわかりますけど、美容師さんは本当に忙しいですよ。夜も結構遅くまで片付けとか練習とかありますし。本当に疲れて連絡もできないのかもしれませんよ。」
「浮気とかでは無いと思いますよ!!」
そんな二人のやり取りをラジオのように聴きながら、
接客業っていうのはすごいなぁ。お客さんを励まし勇気づけ、時には親友のように一緒に怒り、時にはお姉さんのようにアドバイスをして、どんな話題にも咄嗟に相手が元気になるような答えを返せるのだなぁ・・・・とぼんやり考えていました。
私には無理だなぁ・・・。
こんな風にポンポン返せる人はきっと頭の回転が速いんだろうなぁ。
頭いいのかなぁ。
なんて、
今度はサロンのお姉さんのことをイメージし始めたところで、「はい、終わりましたよ」と私の担当さん。楽しいラジオを聴いていたせいか、いつもよりあっという間に終わったような気がする。
お会計の後、ゆっくりお茶をいただいていると、隣の個室も終わったようで、担当のお姉さんとお客さんが出てくる気配がした。少し離れたところで話している声が聴こえる。
あぁ、どんな人なんだろう・・
私のイメージと似てるかなあ・・
姿を見るなら今がチャンス!と思ったけれど、いろいろプライベートな話を盗み聞き?してしまった手前、なんとなく気がひけて、顔をみたい気持ちをぐっと抑えてサロンを後にしたのでした。
また同じ時間になるといいなぁ、、むふふ
2019.7.13
ウスイヒロミ
ありがとうございます!創作の力と糧に!