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小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-10

第1話 SCENE 4-②

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「そこで! キミにはそう!『夜の博物館長』という
 特殊任務に就いてもらい原因の究明にあたってもらいたいのよ!!」

 うるさいし、怪しい。あと響きがちょっと卑猥。
「……以上がキミをここに連れてきた理由よ」
 フードの奥の表情はうかがい知れないが、Xは明らかに満足げだった。

「頑張ってね、館長様? フフフ……」
「……おこと……お断りします」
 ここに連れて来られた時のように
 意識を失ったりしないかと一瞬ヒヤリとしながらも
 無事に自分の意思を伝えられたことに私は安堵した。

「……えっ? どうしてかしら?」
 一方でXの方は戸惑っていた。
「まだ理解出来てないなんて……、ちゃんと脳に栄養行ってる?キミって
 ひょっとして学校の朝礼で真っ先に貧血で倒れるタイプかしら?」

 それは佐々木くんの役目だ。……ではなくて
 
「どうして雇用できると思ったんですか?
 私に博物館に従事するための知識なんて持ち合わせていませんから。
「そもそもそういうのって 館長じゃなくて
警備員さんとかのお仕事じゃないんですか?」
 説明していて自分が虚しくなった。
 
「その警備員さんたちじゃ、対処できない案件なのよ」
「対処できない? じゃあ警察にでも相談してください。
 あいにく私は忙しいのです」

「忙しい? フフフ……ウソ。キミが忙しいはずないもの」
 

「だってキミ、今日で会社辞めてきたんでしょう?」
 
 
 <③に続く>

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