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小説【博物少女 ヒロメリエ!】#1-08

第1話 SCENE 3-③

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 春の匂いにほだされて、小鳥のさえずりが軽やかに耳に響いてくる今日この頃、ますますご清栄の事と存じます。 
 早速ではございますが、本日付けであなた様は当博物館の館長に任命されました。
 おめでとうございます。スタッフ一同大変嬉しく思っております。
 日程・待遇等に関しましては別途書類を近日中に郵送いたしますので、必要事項を記入の上、期日までにご返送いただきますようよろしくお願いいたします。
 何かご不明な点などございましたら、Xまでお問い合わせください。
 まずはご報告のみにて大変恐縮ですが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

X

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「───以上です。館長様」
 以上ですじゃないです。あと館長でもないです。

「どうだったかしら? ボクからの渾身のラブレターは」
「テンプレートから引用しまくったただの採用メールじゃないですか。
 というか今のメールを聞いただけでもご不明な点しかないのですが」
「……ここまで理解力に乏しい人間だとは思わなかったわ。ごめんなさい」
 なぜか謝られてしまった。いいや、私の理解力は正常なはずだ。

「こんな大袈裟な仕込みまでして…。
 流石にこれ以上は警察に通報させてもらいますから」
「お待ちなさい! …流石に歓迎の仕方がアヴァンギャルドすぎたようね」
「仕方ないわ、すべてお話しましょう」
 
 そう言うとXはようやく今回のいきさつを説明し始めるのであった。
 最初からそうしろ! 

 <SCENE4に続く>

 <前回>


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