傑作コント 『お洒落アイテム 貸出中!』
日曜の午後。リビングで母と娘が チョコクッキーなど頬張りながら、お茶の時間を過ごしている。
よしこ
「やっぱり冬は寒いね。先週は 雪も降ったし...」
母
「本当に寒いわ。暖房の設定を上げたけど。それでも寒い。今週も また雪かもね。天気予報、確認しなきゃ」
よしこ
「雪はイヤだな〜 明日の通勤も心配。風邪ひいちゃうわ。
あっ、そうだ。思い出した。お母さん、私の手袋を知らない?先週から探してるんだけど見つからないの」
母
「あっ、よしこ、ごめん...。玄関に置いてた手袋、ちょっと借りたのよ。買物に行く時に寒くて。借りっぱなしだったわね」
よしこ
「え〜っ、また借りっぱなし〜? この前も私のバッグ、勝手に使ったでしょ! やめてよ〜」
母
「ごめん!ごめん!ちょっと急いでたから 声をかけられなかったのよ。そんなに怒らないで。手袋もマフラーも ちゃんと後で返すから」
よしこ
「え〜?マフラーも? マフラーも勝手に借りてたの?次から、借りる時は ちゃんと声かけてよね」
母
「わかった、わかった。反省します。フフフッ!お母さんは深く反省します。次から気を付けますので お許しください」
舌を出して 笑って済まそうとする母。
少し ふくれっ面のよしこ。
母
「それにしても良いデザインよね。あれは、どこで買ったの?」
よしこ
「手袋は 駅前のデパートよ」
母
「手袋じゃなくて、マフラーよ。マフラーもデパートで買ったの?とても温かいし、色鮮やかね。赤色って、身に着けてるだけで気持ちまで温まるわ」
よしこ
「赤... 鮮やかな赤って カバンのこと?」
母
「違うわよ、マフラーよ。あのマフラー、肌触りがとても良いわね。お母さん、また貸して欲しいな〜」
よしこ
「赤色? マフラー?」
母
「そうよ、ちょっと長さは微妙だけど。あれは本当に、お洒落アイテムね。お母さん、ああいうシンプルなデザイン好きだわ!今、シンプルなのが流行なの?」
よしこ
「私、赤いマフラーなんか持ってないわよ。それって お母さんが自分で買ったんじゃないの?」
母
「もう〜 よしこ、とぼけないでよ。お母さん、そこまでボケてないわよ〜 いろいろ勝手に借りたのは謝るから。仲直りしましょ。もう怒らないでよ。マフラーも手袋も ちゃんと返すから。」
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詩人 ひろまる愛理の ユーモア小説、コント、エッセイです。
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