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海を走る(2018.10.23)

時には走ることを思い出す
体が重いのは重力を感じているから
そんなごまかしばかりが上達して
からだなりのひととなり

「足音を立てない」
と教えてくれた人
あの時息が上がっていたのは
下手な走りのせいばかりではなかったと
今なら白状できる

本当のことを言ってもいい
とは教わらなかった
凪いでいた海に
自ら飛び込んだのだ
溺れるのが嫌なら
泳ぎ出すしかない

顔を上げて泳ぐ
顎を引いて走る
息を吸う
息を吐く
息が上がる
息が切れる

「足音を立てない」
と教えてくれたあなたは
今も軽々と走るに違いない

重ければ重いほど
透明な浮力を受けられる
わたしは泳ぎ続ける

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