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【税務】山口県阿武町誤送金事件その3(質問検査権)


 誤送金事件の誤送金を受けた人は、国民健康保険税の滞納があったとされています。

 国民健康保険税は、裁判なくして差押えができるものでしたね。

 

 

 

(水利地益税等に係る滞納処分)
第七百二十八条 水利地益税等に係る滞納者が次の各号の一に該当するときは、地方団体の徴税吏員は、当該水利地益税等に係る地方団体の徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならない。
一 滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までにその督促に係る水利地益税等に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
二 滞納者が繰上徴収に係る告知により指定された納期限までに水利地益税等に係る地方団体の徴収金を完納しないとき。
2 第二次納税義務者又は保証人について前項の規定を適用する場合には、同項第一号中「督促状」とあるのは、「納付又は納入の催告書」とする。
3 水利地益税等に係る地方団体の徴収金の納期限後第一項第一号に規定する十日を経過した日までに、督促を受けた滞納者につき第十三条の二第一項各号の一に該当する事実が生じたときは、地方団体の徴税吏員は、直ちにその財産を差し押えることができる。
4 滞納者の財産につき強制換価手続が行われた場合には、地方団体の徴税吏員は、執行機関(破産法第百十四条第一号に掲げる請求権に係る水利地益税等に係る地方団体の徴収金の交付要求を行う場合には、その交付要求に係る破産事件を取り扱う裁判所)に対し、滞納に係る水利地益税等に係る地方団体の徴収金につき、交付要求をしなければならない。
5 地方団体の徴税吏員は、第一項から第三項までの規定により差押をすることができる場合において、滞納者の財産で国税徴収法第八十六条第一項各号に掲げるものにつき、すでに他の地方団体の徴収金若しくは国税の滞納処分又はこれらの滞納処分の例による処分による差押がされているときは、当該財産についての交付要求は、参加差押によりすることができる。
6 第七百六条の二の規定によつて徴収する国民健康保険税について滞納処分を行う場合においては、当該年度分の国民健康保険税額が確定する日までの間は、財産の換価は、することができない。
7 前各項に定めるものその他水利地益税等に係る地方団体の徴収金の滞納処分については、国税徴収法に規定する滞納処分の例による。
8 第一項から第五項まで及び前項の規定による処分は、当該地方団体の区域外においても行うことができる。

地方税法

 上記条文の水利地益税等の中には国民健康保険税が含まれています。

 以下が根拠です。

(水利地益税等の徴収の方法)
第七百六条 水利地益税、共同施設税、宅地開発税及び国民健康保険税(以下「水利地益税等」という。)の徴収については、徴収の便宜に従い、当該地方団体の条例で定めるところにより、普通徴収又は特別徴収の方法によらなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、市町村は、当該年度の初日において、当該市町村の国民健康保険税の納税義務者が老齢等年金給付(国民年金法による老齢基礎年金その他の同法又は厚生年金保険法による老齢、障害又は死亡を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定めるもの及びこれらの年金たる給付に類する老齢若しくは退職、障害又は死亡を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定めるものをいう。以下この節において同じ。)の支払を受けている年齢六十五歳以上の被保険者である世帯主(災害その他の特別の事情があることにより、特別徴収の方法によつて国民健康保険税を徴収することが著しく困難であると認めるものその他政令で定めるものを除く。以下この節において「特別徴収対象被保険者」という。)である場合には、当該世帯主に対して課する国民健康保険税を特別徴収の方法によつて徴収するものとする。ただし、特別徴収対象被保険者が少ないことその他の特別の事情があることにより、特別徴収を行うことが適当でないと認められる市町村においては、この限りでない。
3 市町村(前項ただし書に規定する市町村を除く。以下この項及び第七百十八条の二から第七百十八条の十までにおいて同じ。)は、当該年度の初日の属する年の四月二日から八月一日までの間に、当該市町村の国民健康保険税の納税義務者が特別徴収対象被保険者となつた場合には、当該特別徴収対象被保険者に対して課する国民健康保険税を、特別徴収の方法によつて徴収することができる。

地方税法

 そして、国民健康保険税の賦課徴収に関する調査のためとして、地方税における質問検査権の規定を駆使して、誤送金されたお金が決済代行業者に送金されたことがわかったのかもしれません。

 これは一般の民間人には利用できない規定ですね。

 役場だったからです。

 一般の民間人、民間企業では質問検査権など権限がありません。

 こういった質問検査権という権限が国にも国税徴収法で規定されていますが、地方団体も地方税法で規定されているということを知っていただければと思います。

(徴税吏員の水利地益税等に関する調査に係る質問検査権)
第七百七条 地方団体の徴税吏員は、水利地益税等の賦課徴収に関する調査のために必要がある場合においては、次に掲げる者に質問し、又は第一号から第三号までの者の事業に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。次条第一項第一号及び第二号において同じ。)その他の物件を検査し、若しくは当該物件(その写しを含む。)の提示若しくは提出を求めることができる。
一 納税義務者又は納税義務があると認められる者
二 特別徴収義務者
三 前二号に掲げる者に金銭又は物品を給付する義務があると認められる者
四 前三号に掲げる者以外の者で当該水利地益税等の賦課徴収に関し直接関係があると認められる者
2 前項第一号又は第二号に掲げる者を分割法人(分割によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。以下本項において同じ。)とする分割に係る分割承継法人(分割により分割法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。以下本項において同じ。)及び前項第一号又は第二号に掲げる者を分割承継法人とする分割に係る分割法人は、同項第三号に規定する金銭又は物品を給付する義務があると認められる者に含まれるものとする。
3 第一項の場合においては、当該徴税吏員は、その身分を証明する証票を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。
4 地方団体の徴税吏員は、政令で定めるところにより、第一項の規定により提出を受けた物件を留め置くことができる。
5 水利地益税等に係る滞納処分に関する調査については、第一項の規定にかかわらず、第七百二十八条第七項の定めるところによる。
6 第一項又は第四項の規定による地方団体の徴税吏員の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

地方税法


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