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サービスカウンター

まえがき-開店

とあるスーパーの三階。
エスカレーターの近くに、
サービスカウンターがある。
陽子と響子が働いている。
響子は、陽子と同じ高校の2年先輩。

陽子役に「与田祐希」、
先輩・響子役に「大島優子」
を考えています。

書きたかったのですよねー。
サービスカウンターの話。

スーパーの中でも、異彩を放っている場所ですからねー。

本当は、もっと年配の店員が働く場所のようですね。
映画だから、許してもらいましょう!

さあ、陽子と響子にどんなことが起こっていくのか、読んでいってみましょう。


No.1 サービスカウンター

とあるスーパーの三階。
エスカレーターの近くに、
サービスカウンターがある。
働く陽子、働く響子。
響子は、陽子と同じ高校の2年先輩。

4月1日。

女性客「スイマセン。
この贈り物の『のし』をかえて、包み直して欲しいんですけど…」

陽子が、初めて応対するお客様。

陽子「えーと、そうですねェー」
と言って、響子のほうを見る。
響子、知らぬふりをして、働いている。

陽子「こういう物は、お気持ちをカタチにするものですから、
   改めて購入するのが良いと思いますが…」

女性客「ソウデスネ…。
    お手数、かけしました」
と言って、エスカレーターのほうへ歩いて行く。

陽子、客がエスカレーターで降りるのを見届けてから、
「先輩、ヒドイじゃないですか!!
 どう対応していいか、分からなかった!」

響子「あれで良かったのよ。
   ああいう、お客様、いっぱい来るわよ。
   基本中の基本。
   とりあえず、陽子ちゃん、合格ね!」

陽子「そうなんだ」

響子「お客様のお呼び出しも、しなくちゃいけないのよ、ココ」

陽子「店内に、自分の声が鳴り響くんですか?」

響子「そうよ、
   5回もすれば、カイカンになるわよ」

陽子「そうですか。
   ここ、高卒で来る職場じゃないですね」

響子「配属されたんだもの――やるしかないわよ」


No.2 マクドナルドより良いスマイルを。

とあるスーパーの三階。
エスカレーターの近くに、
サービスカウンターがある。
働く陽子、働く響子。
響子は、陽子と同じ高校の2年先輩。

響子「陽子ちゃん、いつも表情が硬い。
   お客様が、逃げて行っちゃうわよ!
   入社したてだから、しょうがないって言えば、しょうがないけど!」

陽子「スミマセン」

響子「このスーパーの中でも、
   異色の部署なんだからね、ここ」

陽子「はい、分かっています」

響子「いろんなお客様が来るんだから、
   表情は、いつも柔らかく」
 
陽子「分かりました…」

響子「そうだ!
   マクドナルドより良いスマイルを心がけるっていうのは、どう?」

陽子「良いと思います!」

響子「じゃあ、そうしよう!
   マクドナルドのスマイルは、0円って書いてあるわネ」

陽子「書いてますネ」

響子「あたし達もマクドナルドを見習おう!
   100円あげるくらいの優しいスマイルで見習おう!」


No.3 レジ打ち

とあるスーパーの三階。
エスカレーターの近くに、
サービスカウンターがある。
働く陽子、働く響子。
響子は、陽子と同じ高校の2年先輩。

響子「お待ちのお客様、こちらでも、レジを受け付けております」
と、向かいのレジの列の最後尾にいた人に言う。

レジを打つ響子。手慣れている。

響子「どうもありがとうございました!」

陽子「ありがとうございました!」

そばで見ていた陽子――。
陽子「レジ打ちも、やらなくちゃいけないんですか? ここ」

響子「そうよ。 
   他のレジが混んでいるときにはネ!」

陽子「何でレジが、ここに置いてあるのか、
   ずっと不思議でした…」

響子「ここは旧式のレジスターだから、
   手で値段を打たなきゃいけないわよ」

陽子「ええっ! そんなァ」

響子「陽子ちゃんにも、覚えてもらうわよ。
   レジの“ブラインド打ち”」

陽子「絶対に、できませ~ん」

響子「打てるようになってもらうからネ! 義務よ!」


No.4 5回もすればカイカンになる

とあるスーパーの三階。
エスカレーターの近くに、
サービスカウンターがある。
働く陽子、働く響子。
響子は、陽子と同じ高校の2年先輩。

陽子「さあ、今日で5回目の店内放送だ!」

響子「頑張って」

陽子「カイカンになるでしょうか?」

響子「とにかく、やって」

陽子「はい
   それでは――」

♪ピンポンパンポーン

マイクに向かう陽子。店内に声が響いている――。
陽子「お客様にお知らせです。
   ただいま地下一階におきまして、
   お中元フェアを開催しております。
   皆様、ぜひ、お立ち寄りください――」
   
♯ピンポンパンポーン

陽子、響子の方に向き直り、
陽子「5回やった! 
   カイカンになりませんよ! 先輩」

響子「次からカイカンになるのよ!」

陽子「あー、そう言われれば、
   終わった後で、
   だんだん、カイカンになってきた」

響子「そうでしょう?」

陽子「自分の声が響くのって、なかなか、カイカンですネ!」

響子「陽子ちゃん、
   声を、もっとクリアーにしたほうがいいから、
   新聞を、毎日、5分、読むようにするといいわよ」

陽子「毎日ですか?」

響子「毎日よ!
   声がクリアーになると、
   話をしたくなるから、
   店内放送なんて、余裕になるわよ」

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