見出し画像

救助犬ピンポン

第1回 一歳半

記者会見場。

夜。

救助隊の記者会見が始まる。
武史は、犬の救助隊のリーダーだ。

武史「それでは、記者会見を始めます。
   何か、ご質問、ある方?」

記者「ピンポンは、まだ、一歳半だと聞いたのですが、
   現場に出して大丈夫なのですか?」

武史「今日、ピンポンは大活躍でしたよ。
   何と12人、発見しました!」

記者「訓練はもう十分だ、ということですネ?」

武史「今日の結果が、
   全てを物語っているでしょう!」

記者「ところで、
   ピンポンが卓球をできる――
   というのは、本当なのでしょうか?」

武史「また、その話ですか。
   確かにまだ歯がかゆいので、
   卓球のラケットをかませていますよ!
   "ピンポンができる"というのは、たんなる噂です」

記者「今日は、ピンポンはどうしたのですか?」

武史「お待ちかねの、ピンポンに登場してもらいましょう!」

画面、暗くなる――。
テロップが流れる。
 

第2回 土砂崩れの現場

レスキュー・ドッグ・センターで――。

武史「ピンポン、今日は土砂崩れの現場だからな。
   また土砂崩れが起きたら、俺たちも危ない。
   気を付けていこう」

土砂災害の現場で。

武史「なかなか見つからないものだな」

武史たちが、1時間以上、探しても何も見つからない。

武史「そうだ。
   リードを離そう。
   ピンポンに任せよう」

ピンポンが、勝手に現場を探し始める。

武史「頼んだぞ、ピンポン」

ピンポンが、ワン! と吠える。

10分程して、ワンワン吠えるピンポン。

武史「見つけた!」

ピンポンが移動して、また、ワンワン吠える。

武史「田中くん、ここ、掘って! 
   こっちも後で掘って!
   埋まってる」

ここから先は

1,663字
この記事のみ ¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?