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両眼開放屈折検査と偏光視標の原理

1. 片眼遮蔽屈折検査


この資料の特に「2. 偏光視標の原理」は、
ある中堅?社員の電話での問い合わせに応えて作成したものです。
指を使った説明は、電話越しでもよく理解できたようです。

1-1. 片眼遮蔽屈折検査

ほとんどの眼鏡屋または眼科で行われている検査は、
片眼ずつで行われています。
まずは左眼を遮蔽し右眼の裸眼視力確認から行い、
度数調整しながら完全矯正を出します。
次に右眼を遮蔽し左眼も右眼同様に完全矯正を出します。

文字通りの片眼遮蔽屈折検査です。
学校でも視力検査は右→左の手順で行いますから、
疑問に感じる人はいないと思います。

しかし、「同時視」「融像」「立体視」の確認はしません。

実際に、同時視や融像、立体視ができていない人も案外います。

3Dアートとかマジカルアイと呼ばれるステレオグラムが
過去何回か流行りました。
交差法または平行法で見ていると、字や絵が立体的に
浮き上がってくるというものです。

1-2. 片眼遮蔽検査の問題点

実は、同時視、融像、立体視ができていないと当然ですが、
ここに何が書いてあるか、または描いてあるかは分かりません。

ドイツで始まり、アメリカで改良?された両眼開放屈折検査は
なぜか日本では定着していていないようです。
ドイツでもアメリカでも、両眼開放屈折検査は行われているのに、
日本ではあまり行われていないようです。

つまり、海外では視機能を検査しているのに、
日本ではほとんど視力しか問題にされていないのです。

眼が良ければ視機能に問題がないとは言えません。
視力偏重の検査では氷山の下が見えないのです。

(学生時代、視力を自慢したクラスメートに
「眼だけは良いんだな」と言った教師がいましたが)

慢性頭痛、首や肩のコリ、眼精疲労、飛ばし読み、学習障害、
注意力散漫等は、両眼視に問題がある可能性があります。

両眼開放屈折検査が広く行われ、眼鏡によって
そういう不具合が解消されたら・・・。
もしかしたら、落ちこぼれ(落ちこぼし)は
眼に問題があるのかも知れないのです。
従来の片眼遮蔽屈折検査では、発見もできなければ対処もできないのです。

昔からの専門店では両眼開放屈折検査をしているようです。
しかし、量販店やスリープライスでは片眼遮蔽屈折検査だけのようです。

片眼遮蔽で検査をしてはいけないと書きながら、
片眼遮蔽屈折検査の何がいけないかを書いていませんでした。
(両眼開放屈折検査の基礎データを取るために片眼遮蔽屈折検査を
することはあります。眼科でも、基本は片眼遮蔽屈折検査のようです)

しかし、改めて検索してみると分からないことが増える始末です。

ほとんどのサイトでは、片眼を遮蔽して検査すると瞳孔径が変化するとか、
水晶体の調節状態が両眼視の時と違うと書いてあります。

また近視が強めに出るとか、弱度の遠視が見逃される。
乱視の度数や軸度が違ってしまうと書かれています。

何故、どう変化するのかは書いてありません。

唯一、図書館で見つけた「光の百科事典」
(編集代表・谷田貝豊彦/丸善出版)
には以下のように書かれていました。

「瞳孔径が大きくなると、無収差光学系では結像特性が高まるが、
ヒトでは眼球の収差(aberration)が増加し視力は低下する」

「片眼遮蔽時は網膜照度が低下するため、瞳孔が散大し、焦点深度は
浅くなり、視力も低下し調節力(自覚的な近点距離)も低下傾向にある」

以上の記述から乱視はastigmatism(非点収差)ですから、
乱視が増加したり軸度が変化するのは理解できます。

また散瞳するのも納得できます。
(あるサイトには縮瞳すると書いてありました)
調節-輻輳-縮瞳は三位一体ですから、散瞳すれば調節力が
低下するのも分かります。

また、焦点深度が浅くなれば網膜上のボヤケは拡大しますから、
近視の場合ば強く度数を入れないと鮮明にならないと分かります。

しかし、弱度の遠視を見逃す理由は推察できませんでした。

遠視の場合、焦点深度が浅くなれば、やはり網膜上のボヤケは
拡大しますから、度数を強くしないと鮮明にならないと思うのですが・・・。

浅学非才の身では、取り敢えず推測できた範囲だけ書いておきます。

ちなみに、スナイパーライフルの射撃では
両眼を開けている人が多いようです。
片眼を閉じると瞳孔が開き、開いている方の眼も瞳孔が開き、
視界が白っぽくなるからだそうです。

2. 偏光視標の原理

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