曇りのちコナン | 中国隔離day10

雷のゴゴゴという大きな音で目が覚めた。

中国に来てから10日が経ったが、そのうち7日ぐらいは曇りか雨だったと思う。今日は雨こそ降っていないものの朝から天気が悪く、空は真っ白で、「名探偵コナン」でコナンが推理で確信をついているときのメガネのように窓全体がピカーンと光っていた。

私がこの隔離生活で特に精神を病むこともなく、割と呑気に過ごせているのは部屋に大きな窓があるおかげというのもあるだろう。この部屋の窓は、たたみ3畳ほどはある。

しかしこの建物が建ってから一度も掃除されたことがないのではというほど汚れており、景色はセピアのフィルター越しに見ているみたいに濁っている。

天気のせいか、窓の汚れのせいかは分からないが中国に来てからまだ一度も青空を見ていないので晴天の日に外に出るのが非常に楽しみである。

そんなことを思いながら、昨日の弁当の容器と空のペットボトルを部屋の外に置いてあるゴミ箱に捨てに行く。

黄色いゴミ箱には、仰々しく「医療廃棄物」と書いてある。

私のゴミは、普段なら世田谷区の普通ゴミとして回収されるが、ここでは医療廃棄物になってしまうのか…と若干切ない気持ちになった。

朝から天気が悪いことにテンションが下がり、起きてからなかなかやる気が起きず、今日はなかなかトレーニングを始められずにいた。

実際天気のせいでやる気が出ないのか、ただやる気がないのを天気のせいにしているだけなのかどちらかはわからない。どちらにしろどうしても天気のせいという事にしたいので、「天気悪い やる気出ない」などと検索してどこの誰が書いたかわからないようなネット記事を読んで自分を正当化しようとするのである。

とりあえず一章だけ読んでからトレーニングを始めようと読み始めた本も気づけば読了してしまい、仕方なくいつも通りのトレーニングを始めた。

私はトレーニング用の曲のプレイリストを作っているので、ポルノグラフィティの「Century Lovers」が流れたらもう後には戻れないのである。

始める前はやる気が起きなくて今日はメニューを一つぐらい減らしてもいいかなと思っていても、始めてしまうと最後までこなさないのは損な気がして結局全部やることになる。

私は華奢な体型というよりも、お尻や太ももが大きく、しっかり筋肉がついているような体型に憧れている。その為、初めの数日はスクワットを結構ガッツリやっていたのだが、ある日ダンスの練習中に腰に違和感を覚え始めて辞めた。怪我してももちろん整骨院なんていけないし、マッサージ師も呼ぶことはできないので、隔離生活中に身体を痛めることは絶対に避けたいのである。

私は筋トレをしに来たのではなくダンスをしに来ているので、筋トレのせいで怪我してダンスができなくなるなんて、本末転倒にも程がある。ただ尻がでかいだけで踊れない女がいても仕方ないのである。

怪我してしまうほど無理はせずに、でも決して楽はせずに、という絶妙なラインを狙ってトレーニングしなければならない。ということを肝に銘じた。


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