#57,#58,#59 家族の発達段階「老年期」

1.従来の発達課題

老年期の家族
①夫婦が新たに出会い直し、夫婦の関係性を強化する
②加齢に伴うさまざまな変化を受け入れ、無理のない新しい生活スタイルを構築する
③地域活動に参加し、これまでの豊かな生活経験を社会生活に活かす
④子どもの配偶者やその親族などと新たな関係を構築する
⑤親の介護問題に夫婦で取り組む

・老年期はパートナーシップの再編成の時期
来るべき親、配偶者、自分自身の介護、看取りに備える
<家族の強み>
①家族、夫婦の紐帯
②物事の肯定的な捉え方
③生活への肯定的感情/満足度
④家族役割の適切な配分
⑤経済状態
⑥周囲・社会とつながる力

介護や看取りは自分たちの絆を強める意味がある 

・夫婦各々、夫婦でサードプレイスを確保する
安心・安全な場
社会性が試される

2.今後の老年期を生きる家族の在り方

従来の教育→キャリア→引退の3ステージが前提
ひっくり返る
人はマルチステージを生きると発達課題も刷新が求められるのではないか

1)良好な老い方とは何か?

エリクソン:老年期は自己統合の時期
その人がどのような老い方をするかは、その人が加齢についてどのような主観的感覚を抱いているかによる。

①未来志向の考え方
「ありうる自己像」への投資
結晶性知能の活用

②若々しい感覚とやがて訪れる老化のリスクに備えようという意識の間で適度なバランスをとる
 
*ALP(アドバンス・ライフ・プランニング)
*ACP(アドバンスケアプランニング) 療養が必要な状況になったとき
*AD(アドバンス・ディレクティブ)事前指示

2)家族の意義

伝統的な家族の在り方が崩れたとしても、ゆるぎない絆で結ばれた関係を築きたいという人々の思いは強まっても弱まることはない

①世界の激変に対する緩衝材
②メンバーと資源を共有すれば、リスクヘッジになる

3)対話と交渉で成り立つ家族

マルチステージの移行期に対話と交渉、意思決定が重要
これまでのような社会規範が通用しなくなる世の中で、それぞれのカップルが自分たちにとって有効な生き方を見出さなくてはならない

夫婦のコミュニケーションのまずさ、
ラポートトークとリポートトーク

家族の機能を高めるために大切なこと→対話と交渉
話し合いの枠組みをもつこと
→エフェクチュエーション

<エフェクチュエーションとは>
経営学で使われる意思決定理論
新規ビジネスといった極めて不確実性の高い市場においても問題解決を可能にし、成功に導く理論として構築された不確実性の高い家庭経営にも有効

【エフェクチュエーション5つの原則】

①手中の鳥の原則
自分たちがすでに持っている手段からなにがどこまで可能かと問いを重ねていく夫婦がもっている手持ちの資源、時間、体力、お金、人的ネットワーク、知識、過去の体験などのなかから移住の具体的なアウトラインを描く

②許容可能な損失の原則
仮に損失が生じても、どこまでの損失であれば許容できるのかを決めておき、それを上回らないように行動する。不確実性の高い状況では、期待する成果を追い求めるのではなく、どこまでなら損失可能かという視点から始める。そのなかで最善を尽くす

③クレイジーキルトの原則:つながる力、つなげる力
さまざまな人との意図的な、偶然な出会いを拡げ、チームを組んだ人が持つ資源や手段をつなぎ合わせ、当初は全く思いもよらなかったクレージなキルトを作り出して成果を上げていく

④レモネードの原則
「スパイレモンをつかまされたらレモネードを作れ」というアメリカの格言に由来する不確実性の高い状況のなかでは予期せぬことが起こりがち。
そのような事態に直面しても、この酸っぱいレモンを甘くて爽やかなレモネードにするには何が必要かを考え、問題を乗り越えていくための行動原則

⑤飛行機の中のパイロットの原則
4つの原則すべてに関連する原則。
この4つの原則を使いながら事態が望ましい方向に進んでいるかを俯瞰的に把握し、臨機応変に対応する



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