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感動に理屈はいらない

私は、プロの演奏家から長唄三味線を教えていただいている。
ある日、師匠が、過去の出来事を語ってくれた。

今から24年前のことになるが、沖縄県でサミットが開かれた。
その時の、各国首脳を歓迎しての催し物の中に長唄の演奏があったらしい。
師匠の本業は唄方なのだが、演奏メンバーの一人に入り、各国首脳の前で唄ったそうだ。

サミットの開催がどの国であっても、開催国の文化レベルを示すために、その国の伝統的な芸能を見てもらうことになっているらしい。
日本で三味線音楽が選ばれるのは妥当だと思う。

ただ、それとは別に、不思議に思っていたことがある。
言葉が分からない作品を見て、何か意味があるのか?
テレビでオペラを見る時は画面上に訳が出るので楽しめるが、言葉も分からないし、そもそも好きでもないものを見る意味がどこにあるんだろうか?
文化レベルが示せれば、それでいいのか?
ってゆーか、眠くなるよね?

ここ数年、ずっと考えていた。

しかし、そんな疑問を解消してくれる人が現れた。
演技でファンになったリウ・ユーニンさんだ。

AppleMusicで毎日のように聴き漁っていた私の耳に、衝撃の歌が流れてきた。
それが『我愛的這個世界』という歌だった。
曲自体がうまい作りになっているとは思うんだが、彼の声によって感情の波がうまく表現されているような気がする。
簡単に言うと、終盤は高い山にダッシュで登っていくような印象を受ける。

髪の色と、バックが気になるかもしれないが、実際に歌っている動画がなかなか見つからないので、やむを得ずこれを載せることにした。
ちなみに、いつもの彼は黒髪だ。

声のかすれ方が絶妙で、美しいと思うのです…。

閑話休題。

広辞苑によると、『感動』とは
「深く物に感じて心を動かすこと」
だそうだ。
感動は理屈ではないことを、彼の歌によって、初めて知った。
そういう経験をさせてもらったので、私にとって、リウ・ユーニンさんは芸術品なのだ。

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