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異世界花屋 (3話)

今日もわたしは、お花屋に来ていた。

「アンさんはミライさんとどんな風に知り合ったの?」

わたしは単刀直入に聞いてみた。
気になって仕方なかったから。
アンさんは、少し驚いていたみたいだけど。

「えっと、どこから話せばいいのかな?私が住んでいた近くで偶然会ったのよね・・シルバーウルフに襲われているところを助けられて・・」

「そうなんだ~いいなぁ。わたしも運命の人と出会ってみたいな」

「そっか~そういうお年頃よね」

今日もお花が元気に咲いている。
暖かくなってきて、王都の緑も増えきた気がする。

「そうだ!サクちゃんに内緒で見せてあげるね。こっち来て」

わたしはアンさんに連れられてお店の奥に入っていった。
そこには休憩のための椅子とテーブルが置いてあって、テーブルの上の花瓶には見かけない小さいつぼみを付けたお花が生けてあった。

「薄いピンク色のお花だね。見たこと無いかも」
 
「サクラっていうお花らしいのよ。このお花は販売できないからね、飾ってあるの」

「そうなんだ。可愛くてキレイだね」

小さい花々が集まって、不思議な雰囲気を醸し出している。
テーブルに散った花びらも独特な形をしていた。

**

四角い白い大きい建物があって、小さい子供が沢山いる。
限られた空間で子供たちが走ったり、遊んだり…。
キーンコーンカーンコーンと音が聞こえた、これは鐘の音?

「サクちゃん?どうしたの?」

アンさんに声をかけられて我に返った。
わたしはぼうっとしていたみたいだ。
これはお花の記憶?
違う世界の景色みたいな。

「すみません」

店頭から声が聞こえた。

「あ、お客さんだわ。サクちゃんごめんね、ちょっと行ってくるわね」

パタパタとアンさんは店頭に向かう。
わたしは、サクラの枝を1つ引き抜いてポケットに仕舞った。

****

「サクちゃんごめんね。あら?」

ピンク色の髪の少女はいなくなっていた。

「お家に帰ったのかしら?」

花瓶を見ると桜の枝が三本あったのが一つ減っていた。
持って行っちゃったのか。
まあいいけど。

このサクラの花はミライの能力で出現させたもので、いくらでも出せるみたいだから。
見たものとか、触った物じゃないと出せないらしいけど。
ミライは異世界から来たと言っていたから、サクラはこの世界には存在しない植物なのだ。

「言ってくれれば、花瓶ごとあげても良かったのに」

****

わたしは何てことをしてしまったのか・・。
思わず黙って持ってきてしまった。
家に帰ったわたしは、コップに水を入れ桜の枝を入れてみた。

「こういうの、どろぼうって言うんだっけ。謝りに行かないと・・」

でも・・。

「ごめんね。サクラさんさっきの景色を見せてもらっていいかな?」

わたしは再びサクラに意識を集中させた。

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