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畑部活動報告(2023年7月)

はじめましてのご挨拶

2023年7月にヘルシーパスへ入社しました小野寛子と申します。
七夕の節句を過ぎますと旧暦の二十四節気では夏の暑さが本格的となる小暑を迎えます。
蒸し暑く不快な季節ですが、蓮が開花し始める季節でもあり、個人的には楽しみな季節です。

千秋公園(秋田市)のお堀に咲く蓮。7月14日~16日にかけての秋田豪雨にも負けず今年も清廉な姿を見せてくれました。(8月12日撮影)

人の感じる季節と植物の感じる季節の違い

8月上旬は夏本番というイメージですが、すでに日照時間は日に日に短くなっており、植物は一足前に秋を感じはじめ、それに合った生育に切り替わるタイミングだそうです。
実は「農」に関わっていますと、旧暦・二十四節気がしっくりきます。
二十四節気では、8月上旬に立秋を迎えます。体感は真夏でも、暦の上では秋なのです。
そのため、8月上旬を過ぎた頃から、農家さんはそろそろ夏野菜を片付けはじめ、秋冬作の準備に取りかかる時期となります。
夏の果菜類はまだまだ収穫できる時期ですが、ここでの切り替えが遅れると、秋冬の作付けが間に合わなくなることもあるそうです。

静岡市で活動する「小農を考える会」

さて、『日頃の食事が重要』と考えるヘルシーパスでは「農」に関心を持ち2年前より全国各地、様々な農作業に参加しています。
最近では、ヘルシーパスの地元・静岡市で活動している「小農を考える会」に参加し、農業について勉強しています。
「小農を考える会」とは、地元産の無農薬・有機野菜を販売する「リアルフーズあくつ」を経営される圷有恒さんが主宰する団体です。
農業従事者の高齢化や新規就農者の離農が課題となっている中で、小規模でも無理なく持続できる農業形態を目指し、それぞれが試行錯誤しながら実践し、時に集まり意見交換などをしています。

静岡における無農薬栽培の第一人者的存在、石上光春さん

今回は、「小農を考える会」の一環として、ヘルシーパスの地元・静岡市で約40年前より無農薬栽培に取り組む石上光春さんの圃場「石上農園」にお邪魔しました。
今でこそ有機野菜のニーズが高まり、有機栽培や無農薬栽培の生産に取り組まれる農家さんが増えてきているものの、それでもまだまだ少数派です。それが40年前ともなると周りからの風当たりは相当のものだったのではないでしょうか。それでも自分の考えを信じて無農薬栽培を続けてこられた石上さんには尊敬の念しかありません。

オクラの説明をする石上さん。オクラは五角オクラと丸オクラの2種類植えています。

「胡麻」の栽培

今回、石上さんの畑へ伺った目的は「胡麻」の生育観察をするためです。
様々な料理の名脇役といえる「胡麻」。
そんな身近な存在ではありますが、実はどんな植物なのか見たことない方が殆どではないでしょうか?
もちろん私自身も知りませんでした。だから見てみたかった。
とういうことで、植物としての「胡麻」を見ていただきましょう。

(写真1)手前が5月下旬に播種したもの、奥は6月中旬に播種したものです。この時期は植物の成長が著しく、1か月も経つと圃場の景色は全くの別物になってしまいます。(写真2)5月下旬に播種(はしゅ)したものは30 cmくらいまでに成長。ぱっと見、遠くからですと青紫蘇のようです。 最終的には倍以上の1 m位に成長するそうです。紫蘇のように見えるのは今のうちだけのようですね。(写真3)5月下旬に播種した個体はすでに花が咲いていました。 胡麻の花、こんなに可愛く綺麗なのですね。これは白胡麻なので花弁も白色です。 ちなみに黒胡麻は紫色らしいです。金胡麻ならば中間の桃色なのでしょうか? 妄想が膨らみます。
(写真4)5月初旬に播種した個体は結実しています。 (写真5)さやの中は未熟な真っ白い種子がびっしり。チュウレンハバチの卵を連想させる見た目に一瞬身体が強張ってしまいました。

この未熟果を味見したところ、胡麻らしい風味はまだありませんでしたが、糖の甘みを強めに感じました。
胡麻らしい油脂はどの段階で合成され始めるのでしょうか?

ちなみに5月初旬に播種した個体よりも6月中旬に播種した個体の方が生育スピードは速いそうで、1か月後には5月播種の個体に成長が追いつくだろうと石上さんは仰っていました。
その植物が最も元気に働ける条件の時に播種すると、その後の成長スピードも速いという、タイミングの重要性を学びました。
人間も同じだなと思いました。

植物から生き方のヒントを学ぶ

異なる生物種から学べることは、実は沢山ありますよね。
余談ですが、2018年に出版された植物は〈未来〉を知っている―9つの能力から芽生えるテクノロジー革命(ステファノ・マンクーゾ著)は、変化の激しい世の中で人間はどのように生きていけばよいのか、そのヒントを植物から学べる内容となっています。
植物LOVERへは勿論、そうでない方へもお薦めできる珠玉の一冊です。
植物は本当に偉大です。

さいごに

「胡麻」の収穫は一般的に9月〜10月です。
あと2〜3か月、胡麻の生育過程の観察を楽しみたいと思います。
「小農の会」は月一で活動しており、8月は座学の予定です。

異常気象があたりまえと思えてしまう程、毎年のように集中豪雨や熱波による災害が全国各地で起こっています。

はじめに話題にした旧暦は、自然のリズムに沿ったものであり、明治の改暦後も一次産業が主な地域では十数年にわたって使い続けられていたという報告があるように、農作業に適した管理ツールといえます。

しかし、異常気象が多発する近年の状況においては、その年、その土地の環境に応じて柔軟に対応を変えていく必要性が高まっているように感じます。

小規模農業は気象状況から見ても、これからの世の中にフィットする形ではないかと思います。

では。


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