vol9 見つけた答え

あのとき動けなかった。
あのとき言えなかった。

それは後悔となったと思っていた。
またやってしまった、と。
踏み出せなかった自分の力の無さに、何度同じことを繰り返すんだろうと、再び、絶望感、虚無感に苛まれる。
ああ、まただ、まただ、もう嫌だ。
平気な顔をしているけれど、本当はもう、耐えられそうにない。

手に入れられなかった。
思い通りにならなかった。
そう思っていた。

でも違った。
私は、真実を見抜く目が欲しかったんだ。
痛み、苦しみと感じていたものは、わたしが望んだとおり、わたしのなかで、深みという形に姿を変えて、役割を終えた安堵感とともに、無へと還っていった。

ただそれだけだった。

痛みの代償として得たその目は、以前とは比べものにならないくらい、眩く輝いてる。
その目は、真実が何か、見えている。


この経験や想いが、必要な方へ届きますように。

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