『前田建設ファンタジー営業部』感想

『前田建設ファンタジー営業部』2/6鑑賞

この映画の元ネタとなったサイトをまとめた本を当時読んでいまして、好きだったなぁ、と懐かしく思って観ることにしました。どうやら映画の前に舞台になってたんですね。脚本家さんてすごい。ストーリーがないものにストーリーをつけてくるんだもんなぁ。

映画はとにかく小木さんが熱かったです! 小木さんて、おぎやはぎの小木さんですね。考えてみれば私はおぎやはぎのコントすら見たことないので、小木さんの演技を見るのは初めてだ。とにかく、熱くて鬱陶しい上司の役でしたが、ぴったりでしたね!(褒めてます)

舞台はかつてダムの前田と呼ばれた前田建設。昔のようには公共工事がなくなった昨今、どうにかできないかと頭をひねったのが熱くて鬱陶しい上司である小木さん。
まだこんなにやれることがあるじゃないか!と彼が目を付けたのが空想世界。アニメや特撮の世界です。最初に対象になったのがマジンガーZの格納庫。(もうずいぶん昔のことですがマジンガーZというロボットアニメがあってですね、そのマジンガーZが格納されているのが富士山の近くの汚水処理場。その格納庫兼汚水処理場を実際に作るとしたら、設計はどうなるか、どうやったら施工できるか、価格はいくらか、などということを大真面目に考えていくのです。
そのために小木さんが立ち上げたのが、前田建設ファンタジー営業部。

主役は高杉真宙くん。すみません、私、この映画を観るまで名前をなんて読むか知らなった。特に調べずに来たのですが、映画のオープニングでがっつり名前が出てまして。これで覚えた! 高杉くんは熱い上司に振り回される最近の若い男の子な感じの役柄。最近の、と言っても舞台は平成15年なんですけどね。
高杉くんは気が弱いわけではないけど、そこそこ空気読めてそこそこ仕事ができるもんだから熱い上司や先輩に振り回される役。
上地雄介がその先輩。やっぱりやる気がなかったのに、いっしょにマジンガーZのDVDを見て、その魅力に取りつかれた息子にほだされる。
同僚が岸井ゆきのちゃん。やる気がないのが前面に出てるし、自分の専門外のことを言われると宇宙に飛んじゃう(と言われるほど気持ちが明後日に行っちゃって何も聞いてない状態になっちゃう)のに、結局巻き込まれちゃう。
もう一人の先輩が本田力さん。こちらはむしろ私物のマジンガーZのDVDを持ってくるくらいノリノリで参加。
以上5名の広報担当が前田建設ファンタジー営業部として活動し、空想世界から注文を受け、設計、見積もりをする。
という体で前田建設ファンタジー営業部というサイトでそれを逐次報告します。そういうサイトがあったんです。いまもあるかは確認してないけど。

この映画で取り上げているのは、先ほどから何度も出ているマジンガーZの格納庫。これは当時(平成15年)にあったサイトで実際に最初に取り上げたものなんですよね。そのあとにも、他のアニメの他の施設の設計、見積もりもやってました。
私はそれをまとめた本を読んでいて、この映画はその時のうっすらした記憶によるとサイトに載っていたとおりに話が進んでいきます。つまり、マジンガーZの格納庫を本気で設計、見積もりしていく過程を描いたもの。
やる気のなかった3人が、だんだん燃え上がっていくのが面白かった!

当然、設計にしろなんにしろ5人だけで進むわけではなくて(学生の頃の専門が何にしろ、いまは広報なんですから)、周囲の人たちもよかった!
私が特にはまったのが、町田啓太くん演じる土質オタクと六角精児さん演じる土木設計の鬼。
町田くんは橄欖石だの玄武岩だののマシンガントークがよかった。徐々に岸井ゆきのちゃんといい雰囲気になるんですが、町田くんは背が高いのでその身長差もよかったなぁ。
六角精児さんはさすがの芸達者なんですが、ずるいよね! 革ジャンに大型バイクとかずるいよね!! 目が釘付けでしたよ。

そのほかにもゲストキャラがいろいろと豪華だったんですが、驚いたのはマジンガーZの登場人物から注文依頼があったという体で新規のアニメ映像があり、声優さんも(おそらくは)当時の方々が出てきたことです。私は何度目かの再放送の世代じゃないかと思うんですが、マジンガーZを作った博士だけでなく、アシュラ男爵でしたっけ? 敵方の顔の半分が男性で半分が女性のキャラ。あの人たちもですよ。しかも原作者の永井豪まで出てくるって何なの?

前田建設だけでなく、協力企業でIHIとかも出てきた……はずだし、マジンガーZの部分についてはバンダイナムコも協力してるし、すごかった。
キャラもよかったし、平成15年当時の古い携帯が小道具だったりするし、とにかくこの映画の制作陣の本気がすごい映画でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?