『親王殿下のパティシエール2 最強の皇女』感想

『親王殿下のパティシエール2 最強の皇女』篠原悠希 ハルキ文庫 5/21読了

清の乾隆帝の第17皇子愛新覚羅永璘のお抱えパティシエール見習いのマリーのお話。

今回は最初からマリーの頭を悩ますことになる新入りだけど兄弟子が登場したり、永璘も彼の正妃の紅蘭もお気に入りの公主様が登場したりと2巻にして盛り沢山。

新入りだけど兄弟子の王厨師は、当時の男性の価値観でガチガチで、女性のマリーが同じ厨房で働くことがどうしても納得できない。
1巻の登場人物たちもいろいろと不満を持っていたようだけれど、王厨師ほど頑なではなかったのか、それとも永璘と一緒にフランスから清にやってきたからなのか。

ともかく、厨房がマリーにはとても辛い空気になってしまったのは読んでて辛かった。

とはいえ、作中でもあったように禍福は糾える縄の如しというように、マリーの厨房ができたのは、パティシエールとしては一歩前進。
でも清の国の厨師として認められるにはやはり厨房での修行は欠かせないので、その部分においては前途多難。
きっとマリーならばなんとかなるんだろうとは思うけど。

そして今回登場のもう1人の人物の和孝公主が好きです。頭が良くて勝気で美人で男性よりも優秀でもしかしたら皇子たちの誰よりも乾隆帝に期待され可愛がられてきた、という彼女の属性から想像していた女性像とは違っていて、めちゃくちゃ可愛い。彼女には心から幸せになってほしいなぁ。次からも彼女が出てきてくれると良いな。

そんななかなかに強烈なキャラクターに目を奪われていますが、話の中身は結構重い。
男女差別や文化の違い、宗教観がこれでもかと押し寄せてくる。

ただ、男女差別にしろ外国人に対する目にしろ、その当時はそれが当たり前とされていたんですよね。現代に生きる私からするととてももどかしかったり腹立たしかったりするけれど、そんな考え方だったこと自体を否定して、なかったことにしてはいけないと思うのです。
あったことはあったこととしてちゃんと見つめて、これからの私たちはそういったことを無くす方向へ進むということ。

そんなこんなもありますが、これからマリーは、そして彼女を取り巻く人たちはいったいどうなって行くのか、とても楽しみです。

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