『有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿』感想

『有閑貴族エリオットの幽雅な事件簿』栗原ちひろ 集英社オレンジ文庫 5/5読了

舞台は19世紀末のロンドン。幽霊男爵と陰で呼ばれるエリオットは心霊好き。交霊会という交霊会に顔を出し、かと思えば社交界で浮名を流し、風雅で珍奇なものを集める博物学的な趣味も持つ。
オカルト事件に目がない彼の目的は、インチキ霊媒師たちの嘘を暴くこと。

生者も死者もほとんど同じように見えてしまうエリオットと、彼の助手でそれなりに見えるコニー。コニーは人間扱いされていなかった過去にエリオットに救われ、今ではエリオットを崇拝しているけれど、エリオットもコニーがいることで救われている部分があるんだな。

コニーのエリオットへの心酔ぶりは読んでいてこちらが気恥ずかしくなってしまうところもあるんだけど、しかたがないな、この2人の関係性なら。と思ってしまう。

エリオットはいろんな理由で「まともな」恋や結婚をするつもりがなさそうなんだけど(それでもいつか雷に打たれたみたいに恋をするかもだけど)、彼の友人のヴィクターの恋の話は見てみたいなぁ。当時の時代なりにとても保守的な考えを持つヴィクターが、彼が考えているのとは正反対の女性に惹きつけられて右往左往するのとか見てみたい。本筋からはずいぶん離れるけど。

栗原ちひろさんは前に読んだ悪魔交渉人シリーズもそうだったけど、死と近い話が多いのかな。と思ってたんですが著書を見るとそうでもなさそう。私が見る機会の多かった話が、そういうのが多いのかな。

他のシリーズも読んでみよう。

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