『9人の翻訳家ー囚われたベストセラーー』感想

『9人の翻訳家-囚われたベストセラー-』3/22鑑賞
「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズ出版秘話に基づく本格ミステリーというあおりがついていたわけですが、てことはあれは翻訳の時にこんな感じのことをやったの?とうすら寒くなりました。

細かいところは、それな!と言いたくなるところもありますね。この翻訳家はファンに評判良くないから替えた方がいいとかね。ありますよね実際に。本の翻訳も、映画の字幕もね。
他にも、作品が好きすぎて作品世界にのめりこんで、登場人物のような言動になったり登場人物のような恰好をしたり、そういうこともあると思う。

なんだけど、それ以外の部分は怖かった。ホラーの怖さではなく、スリラーの怖さ。

この映画のすごいところは、シーンのどれひとつとして、コマ割りのどれひとつとして無駄なところがないところ。削れるところはすべて削ぎ落したみたいに感じます。
最後になってみれば、冒頭のシーンからなにから全部つながってるんだけど、それが小出しに明かされるので油断できない。
ポスターにだって意図があるのが、観終わった後にやっとわかる。

正直、観終わった後とても疲れました。ある意味、正統派なミステリで、謎がすべて明かされた後の充足感もある。なのに、とても苦いお話。
終わった後ぐったりとして、でも観て良かった、と思う映画でした。

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